表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
100/121

第99話:士気の連鎖

 夜の田舎道を走るワゴン車の中。

「……強かったな」

 大吾が、ぽつりと呟いた。

 そこには負けた悔しさ以上に、己の傲慢さを削ぎ落とされた一人の剣士の潔さがあった。

「強かった。……だけど、嫌な感じが全然しなかったんだ」

 瞬の言葉に、凛が深く頷く。

「そうね。……なんて言うか、打たれたのに、大切にされている感じ。一生懸命さが伝わってきて……上手く言えないけど」

「試合中の相手の気持ちか。……考えたこともなかったな」

 守屋が、窓の外を流れる夜景を見つめた。

 虎皇館という「勝負の機械」だった場所から明鏡館へ来ても、まだ届いていなかった深淵。

「次、会ったら聞いてみましょう。疑問は解決しないと気が済みませんからね。成瀬先生、また行くんですよね?」

 佐伯の問いに、康介がミラー越しに力強く答えた。

「もちろんだ。だが、次に行く時は今日の反省を徹底的に強化してからだ」

 康介は言葉を切り、五人を見渡した。

「結果で見る程、実力はそう変わらない。加賀谷は別格だがな。……お前たちに足りないのは技術じゃない。チームになることだ」

「チーム? 前が勝ったら後ろが守る……みたいな戦略ですか?」

 守屋が眉をひそめる。だが康介は首を振った。

「そうじゃない。士気だ。自分の前が必死に繋いだ想い、それを引き継いで戦う。その想いが伝染したチームは、個人の実力を超えた爆発力を発揮するんだ」

 五人が息を呑む。

 康介の視線が、瞬の瞳を射抜いた。

「その爆発力のきっかけ。それが先鋒……瞬、お前だ」

「俺が……?」

「お前の熱い気持ちを、試合にぶつけろ。結果じゃない。相手がどんなに強くても必死に食らいつく姿を、後ろの四人に見せるんだ。『俺は逃げない。後に続け』とな」

 瞬の胸の奥で、何かが熱く弾けた。

「俺は……自分が勝つことばかり、考えていた」

「お前ならできる。それが、先鋒の役目だ」

 康介の言葉に、五人の心が静かに、しかし強固に結びついていく。

 仲が良いだけの集団から、互いの想いを預け合う「チーム」へ。

 ワゴン車は、新しい決意を乗せてゆっくりと家路を急いだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【読者の皆様へ】 ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます! 本作は全160話完結済みです。 完結まで毎日2回(朝・夜)、欠かさず更新してまいります。 もし少しでも「続きが気になる」「瞬を応援したい」と感じていただけましたら、 **下の【ブックマークに追加】と、【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】**にして応援いただけると、執筆の大きな励みになります。 皆様の一票が、より多くの読者にこの物語を届ける力になります。 よろしくお願いいたします!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ