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「アレッタ、目が覚めたし彼女の世話を頼みたい。サクラ、彼女が昨日伝えておいた侍女だ。困ったことがあれば彼女を頼るといい。」
ギルバートさんが私達の間を取り持つように紹介してくれる。
アレッタさん、アレッタさんね。覚えた。
「俺は湯浴みをして来る」
「ギルバート様、また無理をなさったのですか?」
「書類仕事だけだと高を括っていたのがいけなかった。これからは控えるよ」
汗臭い男は嫌われるだろうしな、とギルバートさんはアレッタさんから視線を移動し、にこやかに微笑んだ。
完全に蚊帳の外だった私はいきなり舞台に上げられ大慌てである。
「汗臭い、とは特に思いませんでしたが」
「そうか? 魔法で清拭くらいはしたからそれが良かったのかもしれないな。」
私のフォローに安心したのか、ギルバートさんはにこりと微笑んだ。
「とはいえあくまでも間に合わせのものだから、きちんと入ってくる」
「はい」
そうね。時間があるならそうしたほうがいいと私も思う。
「まあ今後生活態度を改めてくださるなら良しとします。ではお着替えを準備しておきますので、お先に向かってください。」
「分かった」
アレッタさんは慣れっこなのか、ぶすりと釘を差した。ギルバートさんは特に意に介した様子もなく返事をして部屋を出ていく。
「では、私は準備をいたしますので、あなたはもう少しここで待っていてください。」
「はい。」
そう言うとアレッタさんは壁際のクローゼットを開け、てきぱきと服を選んでは取り出していく。
…会話は問題なくできてるんだけど、さっきから目が合わないんだよなあ。意識的に私を視界に入れないようにしてる感じ。嫌われるようなことはしてないと思うんだけど…。
変人に思われるようなことはしたけど。
「では、着替えを運んできますのであなたはここにいてください。くれぐれも勝手にどこかに行かないように」
「はっはい。」
そう言うとアレッタさんもそそくさと部屋を出ていった。




