1節
「……ございます、……様、朝です。」
落ち着いた女性の声が耳に入る。
「ああ、おはよう……、」
「ん、…?」
声を合図に、低い男性の声も聞こえ、背中にあった温もりが離れていった。
温もりを追いかけ振り返ると、男性の暖かな瞳と目があった。
…はっ! ギルバートさん!? つまりわたし、昨日寝落ちした!?
理解した勢いでベッドの端に逃げて距離をとると、女の子が1人ドアの入り口に立っていることに気がついた。
きれいな子…。
彼女も切れ長の目で小さな唇はぷっくりと愛らしい。瑠璃色の髪に空色の瞳だからか、クール系の印象が強い。髪は前髪と触覚を残してきれいにまとめてるから確実とは言えないけど、サラサラストレートっぽい。
服装は白のセーラー襟が特徴の黒の膝下丈のワンピースに白のエプロンをを重ねている。
無表情にも関わらず、纏うのは冷たさだけで硝子のような美人さんだ。化粧っ気がないから幼く見えるけど、彫りの深い目元に筋の通った鼻は大人びてみえる。どのくらいの歳なんだろう。
いいなあ。私の髪はもったりと重く、しかも若干くせっ毛だから基本ボブかミディアムくらいで揃えてるんだけど、サラサラストレートロングは憧れる。髪色よりこっちが変わってほしかった…っ!
「やっとお目覚めですか。」
「え、ああはい。朔良です。よろしくお願いします。」
じっと見つめてしまったのがいけなかったのだろう。微動だにしなかった彼女は一瞬目があったあとぷいっとそっぽを向いてしまった。ツンとした言い方で突然声をかけられて慌てた私は、そのままベッドの上で正座で深く頭を下げた。
「変わった挨拶ですね」
引かれたのだろう、声には抑揚も見られなかった。
やばい。わたし、明らかに変人…!




