第6話 近代:神代重工との接触
≪神代重工資料編纂室 内部記録 / 羽鳥家文書との照合≫
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≪神代重工 資料編纂室 — 接触記録 / 作成:支倉梓(資料編纂室 第一班)≫
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 接触の経緯 | 神代朔也が羽鳥家の文献目録に関心を持ったことを起点とする。「鏡淵地区における境界変動の記録が最も詳細な家系」として特定した。 |
| 羽鳥家の対応 | 当初は協力的。境界変動の概念、Δs値の原型となる観測方法、「揺らぎの地図」の概念を共有した。ただし「核心となる情報」は一切渡されていない。 |
| 渡されなかったもの | 「音を通す者」の体質に関する詳細。「間を歩く者」の識別方法。鏡への直接干渉の危険性。「揺らぎを止めると壁になる」という核心的理解。 |
| 神代重工の反応 | 「測定できないなら、測定可能にすればいい」という結論を出した。この時点で、羽鳥家と神代重工の方向性は決定的に分岐した。 |
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梓は、この記録に以下のような注を添えている。
「陽子さんは知っていたんだと思う——どこまで渡すべきかを。
核心を渡さなかったのは、羽鳥家の選択ではなく、
渡しても理解されないと分かっていたからだ、と私は思う。
「鏡は測定できない」という言葉を陽子さんは伝えた。
朔也は「なぜできないのか」と問い返した。
陽子さんは答えた——「測定しようとした瞬間、鏡は沈黙するから」
朔也はこれを「観測者効果の一種」と解釈した。
——そこに、全ての誤りの種があった」
——支倉梓 付記
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≪補足記録 — 羽鳥家側の視点 / 出典:羽鳥陽子談話(如月澪採録)≫
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 陽子の言葉 | 「神代重工の研究者たちは誠実だった。特に宗一さんは——愛していたから連れてきた、それが全てだと思う。悪意はなかった。でも、誠実さと正しさは別のことだから」 |
| 羽鳥家の方針変更 | 干渉実験が開始された段階で、羽鳥家は「見守り」から「備え」に移行した。澪を鏡淵に送ったのはこの判断に基づく。「何かが起きた時に、そこにいる者が必要だ」という理由で。 |
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> この接触が「鏡淵事件」の遠因になったことは間違いない。
>
> しかし——接触しなければ、澪も雫も鏡淵にはいなかった。
> 晴斗に「ズレたまま繋ぐ」という言葉を渡す者も、いなかった。
> 夕奈は、戻れなかった。
>
> 因果は、切り分けられない。




