第7話 人間と契約
――光が眩しい。
変だな。魔族のアジトは、光はないはずなのに。
妙に爽やかな空気の中、目を覚ました。
ここは……?
あっ、そうか、果樹園か!
昨日の収穫の疲れで、いつの間にかその場で寝てしまったらしい。
……お腹の上には、布団がかけられていた。
(人間がかけたのか?魔族は、風邪はひかないんだがな)
かけられた布団を畳むと、隣で寝ているエドを起こした。
「起きろ、エド!」
「帰るぞ!!」
「ん……?」
「あ、ストラウスか!俺たち、寝てしまったんだな。」
エドが目をこすった。
「昨日は、魔力を使い果たしたからな……。」
「人間がこないうちに、帰ろうぜ」
リンゴを、カバンに詰めようとした、その時。
「おーい!!」
人間が、こちらにやってきた。
しまった、遅かったか……。
慌てて、リンゴを元に戻した。
「あなたたち、ひと晩で収穫してくれたんですね!」
「父から話を聞いた時は、信じられなかったけど、これはすごい。」
「おかげで、とても助かりました。ありがとうございました。」
どうやら、腰を痛めた人間の息子らしい。
これは……、感謝されているのか?
「あのう……、突然のお願いで恐縮ですが……、」
「これから、毎年収穫のお手伝いをお願いできませんでしょうか?」
「この果樹園を家族で収穫するのは、なかなか大変でして。人手も、思うように集まらなくて、困っていたんです。」
「もちろん、労力に見合った金額をお支払いしますし、リンゴは好きなだけ持っていってください。」
「いかがでしょうか?」
なんだって?
お金をくれて、りんご、食べ放題だと!?
「ちょ、ちょっと、待ってもらえますか?」
オレは、エドを引っ張って、その場を離れた。
「ストラウス、これは美味しい話だな。」
「でも、毎年、収穫にこないといけないんだろ?」
「人間と契約するんだ。一度、魔王様に相談したほうがよくないか?」
デメリットはないか、オレは考えた。
「魔王様は、りんごがお好きなんだろ?」
「これなら毎年、安定して献上できる。」
「りんご食べ放題なら、魔王様も、お喜びになるぞ。」
「……まあ、そうだな。」
「これだけの好条件なら、魔王様も反対されないか。」
特に魔族に、不利な点もなさそうだ。
「よし、じゃあ決まりだな!」
オレとエドは、振りかえった。
「その話、お受けします!」
「……ただ、一つだけ。」
オレは、言おうかどうか少し迷った。
だけど、契約するなら、騙し続けられないだろう。
「オレたちは、人間じゃない。」
「――魔族だ。」
「…………え??」




