第6話 真夜中の収穫
「よしっ!やるぞ――っ!!」
「エド、静かに!」
日が沈み、真っ暗になると、我々魔族の活動が盛んになる。
エドがやる気になるのもわかるけど、あまり大きな声を出すと、人間に怪しまれそうだ。
さて……、リンゴを、あの箱に入れていくんだな。
果樹園の人間が、あらかじめ用意していたらしい。
一つ一つ取っていたら、何日かかるかわからない。
さっき、エドが風を吹かそうとしていたな……。
あの魔力は、オレもつかえる。
そうだ、2つを組み合わせてみたらどうだろう?
「エド、さっきの風、木をユサユサ揺らすぐらいに調節できるか?」
「誰に言ってる。もちろんできる。」
「よし、わかった。」
「じゃあ、オレは木の根元の方から、あの箱に向けて風を送るから、エドは、木を揺らしてくれ。」
「……よくわからんが、それで上手くいくんだな?」
「そのはずだ。」
……できなかったら、次の手を考えよう。
最悪、手で収穫かもしれない。
「じゃあ、オレが先に、風を吹かすから、合図したら、エドも始めてくれ」
「わかった」
オレは、集中して風を練り、風の流れの終着点を箱になるよう、調節した。
これが、なかなか難しい。
「おい、まだか?」
「ちょっと待ってくれ。もう少しだから」
なんせ、あの小さい箱に入れるように調節するんだ。
そう簡単にはいかない。
しばらく、調節を繰り返していると、流れにのった葉っぱが、すぽんっと、箱に入っていった。
――できた、ここだ!!
「エド、頼む!!」
「よし、いくぞ!!」
エドが、すかさず木をユサユサと揺らしはじめた。
落ちたリンゴは、オレが流している風にのって、次々と箱に入っていった。
「「よしっっ!」」
しばらく、風を送ると、あっと言う間に、収穫が終わった。
「やったな、ストラウス!」
「ああ、これで魔王さまに、りんごを献上できるな!」
早速、持てるだけのリンゴを持って帰ろうとしたオレたち。
でも……、
大変なことに気がついた。
「今、夜中だよな?」
「もちろんそうだけど、何かあったか?」
「エド……」
「もう、帰りの電車がない。」
「え………。」
「な、なんだって――!!!」
魔力を使い果たし、飛ぶこともできないオレたちは、そのまま、ガックリと座りこんだ。




