第49話 天才技師、アウグストゥス
「絶叫ランドに、新エリアがオープンしました!!」
テレビで、特集が組まれている。
絶叫ランドのゲートの前には、長蛇の列ができていた。
アウグストゥスが、嬉々としてアトラクションを作った結果、場所が足らなくなってしまった。
結果、敷地を広げ、新しいエリアを作ることになった。
――新しいアトラクションの設営。
これが、株式会社M.A.O.Uの初仕事になった。
『斬新すぎるアトラクションを、たった一人で設計・製作した、謎の技師』として、アウグストゥスは、話題になっていた。
「いや――、こんなに沢山、作っていただけるなんて、本当に感謝です!」
絶叫ランドの社長と、営業部長のオレは、ガッチリと握手を交わした。
「技師の方に、直接お礼を言いたいのですが……」
気持ちはわかるけど、アウグストゥスは、頑なに人に会うのを拒否していた。
「技師は、とてもシャイなので、私が代わりに伝えておきますね」
「そうですか……。残念ですが、どうぞよろしくお伝えくださいね。」
社長の話では、とてつもないアトラクションができたと、オープン前から、かなり話題になっていたそうだ。
オープン後は、連日の超満員。
社長をはじめ、絶叫ランドの運営陣は、嬉しい悲鳴をあげていた。
無事にオープンして、オレも一安心だ。
そこへ、オレのスマホが鳴った。
「はい、ストラウスです」
「ストラウス、今度は、温泉から呼び出しだぞ!」
エドからの電話だった。
忙しい。
すごく忙しい。
オレのゆとりの生活はどこへ行ったんだ?
「部長さん、忙しそうですね。」
「よかったら、アトラクションに乗っていって欲しかったのですが」
冗談じゃない。
アウグストゥスが作ったアトラクションに乗ったら、1週間くらい動けなくなりそうだ。
ここは、丁重にお断りをした。
「残念ながら、次の仕事があるので……」
忙しい、忙しいと独り言を言いながら、オレはそそくさと逃げ出した。




