第47話 第103回 世界征服プロジェクト会議
数日間、オレは、本屋とアジトを行ったり来たりする生活をおくった。
ずっと本を読んでいるオレに、
「ストラウス、たまには一緒に温泉に行かないか?」
エドが声をかけてくれた。
「ごめん、エド。もうちょっとなんだ。アウグストゥスと一緒に行ってくれないか?」
エドが、残念そうな顔になった。
「ストラウス、何をしてるかよくわからないけど、無理するなよ」
エドの優しさがありがたい。
「ありがとう、エド。あとちょっとで終わるから、そしたら一緒に行こうな。」
エドが、ションボリしてアウグストゥスと出て行った。
――ごめんな、エド。
心の中でエドに謝ると、オレは本に集中する。
早く、知識を身につけて、エドたちと温泉にいくぞ!
―――――
「魔王様と幹部の皆さんに聞いてもらいたいことがあります。」
――第104回 世界征服プロジェクト会議。
オレは、珍しく、自分から手を挙げた。
「おお、ストラウス。なんだ、申してみよ。」
魔王様も、驚きに目を丸くした。
オレは、その場に立つと、呼吸を整えて話し始めた。
「魔王軍は、人間とのやり取りが多くなってきています。」
「オレが、交渉係になっていますが、一人では、手が回らなくなってきました。」
「そこで、やり取りを円滑にするために、『会社』という物を、新たに作ることを提案します。」
「ほう、『会社』とな?」
魔王様が、興味を示してくれた。
オレは、本で得た知識をもとに、みんなに説明しはじめた。
「今まで、人間と取り引きをするのに、『魔族です』と言うと、怖がられたり、驚かれました。」
まあ、魔族と人間が取り引きするなんて、前代未聞のことだし、それは仕方ないだろう。
「そこを、〇〇会社と取引します、と言うと、人間は少し安心します。
人間の心理的に、会社というものは、信頼できるもののようだからです。」
「なるほどな。まずは、人間を油断させるのか」
幹部の一人が頷いた。
油断させる、と言うと騙しにいくみたいだけど、とりあえずは、このままにしておこう。
「会社名義で取引すると、契約の相手が明確になります」
「そして、あらかじめ決めておけば、契約に背いた場合のペナルティを課すこともできます」
「それはそうだ。何事も、契約に背いたときは、罰を与えねばならん。」
なぜか、魔王様の後ろに黒いオーラが見えた。魔王様は、悪魔の契約を思い浮かべているようだ。
まあ、契約がイメージできるなら、いいか。
「それから、会社になると、人間から依頼が来るようになるかもしれません。」
「例えば、アウグストゥスの修復能力を、人間からの依頼で、お金と引き換えに、生かすこともできます。」
「魔族ならではの力をアピールすれば、他にも依頼が来ると思います。」
「魔族の力を、人間にアピールできるチャンスだな!!」
「よし、今度は、スカイツリーを破壊するか!?」
おっと、それはまずいぞ!
オレは、すぐに訂正した。
「力を示すといっても、人間にプラスになりそうな力をアピールしなくてはいけません」
「壊す力も、活かせる現場はありますが、頼まれてないものを壊すのは、マイナスポイントになってしまいます。」
発言した幹部が、シュンとしてしまった。
気の毒だけど、スカイツリーは、守られたようだ。
「会社を作れば、人間とのやりとりが増え、魔族の影響を大きくすることができます。」
「つまり――」
「我々魔族が、人間界で、堂々と活動できるということです!!」




