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第45話 働く魔族


テレビには、葉月とオレたちが最初に出会った湖が映っていた。


『魔族によって、破壊された山と湖の修復作業が、急ピッチですすんでおります!』


「あ!あの湖、修復作業が始まったんだね……」


葉月が破壊してしまった山と湖だけど、世間では、魔族が破壊したことになっていた。


「そうだな、あの攻撃の破壊力、すごかったなあ。」


思い出しながら、映像を見ていると、作業員たちの姿が映った。



作業員の中に、一際、テキパキと働く人がいる。


重い岩を軽々と持ち上げ、次々と運んでいく。



あの顔は……。



一瞬映ったその顔は、まさしく、オレの知っている顔だった。



――今日の朝、魔王様が探していたっけ。


結局、見つからなくて、


「温泉にでも行っているのか?」


なんて言われていた。


逞しい体の彼は、アウグストゥスに、こっそり魔術をかけられたに違いない。


アウグストゥス、早速やったな……。


葉月も、違和感を感じたようで、


「もしかして、あっくんが魔法をかけたの??」


苺を口に運びながら、テレビに釘付けになっていた。



温泉でのんびりするどころか、懸命に働く彼。


それなのに、オレはパフェを食べながらのんびりしている。


「なんか、申し訳ないね。」


湖を破壊した本人である葉月が、ポツリと言った。


「……まあ、気にするなって。働いてくれた彼には、苺、多めに渡しておくよ」


とはいえ、働いたことは、本人の記憶には残らないんだよな。


アウグストゥスの魔力の凄さを、改めて思った。


記憶に残らなくても、せめてもの救いで、やっぱり苺は渡しておこう。


甘い物を食べると、疲労回復するって、葉月も言っていたからな。



あ、そういえば。


「そうだ、葉月。これからは、ここに連絡してくれないか?」


オレは、最近手に入れた、『スマホ』を取り出した。



「あ!ついに、すぅくんもスマホデビューしたんだね!」


魔族も連絡手段がないと、人間と連絡をとるのに不便になってきたんだ。(特に、オレが人間と連絡をとっているのだけど。)



魔王軍は、一人一台、スマホを持つことが前回の臨時会議で可決された。



スマホを持ったことで、人間と連絡先が交換できるし、魔族同士も連絡が取りやすくなった。



これによって、世界征服へまた一歩近づいたと、魔王様はお喜びになっている。


……スマホゲームにハマる魔族が続出しているけど、魔王様には内緒だ。



「そういえば、すぅくん、人間との交渉係になったんだってね!」


葉月は、ばあちゃんから聞いたらしい。


「オレは、乗り気じゃないんだけどな」


「すぅくん、すご――く嫌そうな顔してるよ!!」


葉月がアハハと笑った。



いや、本当に嫌なんだよ。

オレは、のんびり過ごしたいんだ。



「そんなに嫌なら、会社でも作って、他の人にも手伝ってもらえばいいのに」


――ん?


――他の人に手伝ってもらう??


今、すごく良いことを聞いた気がするぞ!!


「……葉月、会社って、なんなんだ??」


「え――、すぅくん、会社知らないの?」


「魔族に、そういった物はないな」


魔族は、魔族という括りでしかないからな。


「そうなんだね。え――っと、会社っていうのはね……、」


葉月が、会社について説明してくれた。



話を聞きながら、オレはひらめいた。



――これだ。



これなら、人間との交渉を誰かに押しつけ……


いや、任せることができるぞ!



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