第4話 魔王様は『りんご』がお好き?
地下から外に出ると、太陽が眩しかった。
毎度のことながら、この明るさには慣れない。
「果樹園、どうやらここみたいだな」
地図を片手に、エドが果樹園を指さした。
ちなみに、ここまでは電車を乗り継いで、半日ほどかかった。
飛行機を使いたかったが、魔王軍も経費削減らしい。
大きな声では言えないけれど、どうやら財政難のようだ。
一応、魔族は空も飛べるけど、昼間に飛ぶと目立ちすぎるので、原則、戦いなどの緊急時以外は飛んではいけないことになっている。
ちなみに、魔族といっても色々種類があって、我々は人間と瓜二つの見た目をしている。
この見た目は、怪しまれなくてとても便利だ。
――長時間の移動で、オレは、すでに疲れていた。
「エド、早く終わらせて帰ろうぜ」
「何を言っているんだ、ストラウス!」
「ここは、魔族の威力を、人間たちに知らしめるチャンスではないかっ!」
エドは、早速、果樹園を破壊しようと、風の魔力を練り始めた。
「――待つんだ、エド。」
「はっ?なんで待たないといけないんだ!?」
「この果樹園をよく見てみろ。何がなっている?」
「知っているぞ。これは、『りんご』という食べ物だな。」
エドは、得意気に胸を反らせた。
「そうだ。――そして、この『りんご』は、魔王様の好物でもある。」
……たぶん、好物だった気がする。
(オレは大好きだ。)
「そうだったのか!!だから魔王様は、我々に、果樹園の占領を任せたのだな!」
オレは大きく頷いた。
「今から、お前が強風を吹かすだろ?そうすると、『りんご』はどうなる?」
「……落ちて、木っ端みじんじゃないか?」
「粉々になったりんごを見て、魔王様、喜ぶか?」
とたんに、エドの魔力がスッと引いた。
「そ、そうだな。りんごは、美味しく食べたいよな。」
「じゃあ、どうすればいいんだよ?」
「任せろ。果樹園は、壊さずに占領する。」




