第39話 恐ろしい乗り物
オレは、アウグストゥスに耳打ちした。
ふんふん、と頷きながら聞くアウグストゥス。
そして、ニャッと笑った。
「最高ですね、ストラウスさん。やりましょう!」
言うが早いか、アウグストゥスは手を合わせて魔術を唱えはじめた。
すると――
魔物たちの動きがピタリと止まった。
そのまま、次々と地上へ降りてくる。
「えっ、何をしたの?」
攻撃の構えをしていた、葉月が目を丸くする。
「ちょっとだけ、動きを誘導したんですよ」
アウグストゥスが、なんでもないような素振りで言った。
初めてアウグストゥスの魔力を見たけれど、あれは、サラリとできる魔術じゃない。
「す、すごい……」
エドも、葉月と同じように、目を丸くしていた。
二列に並び、ユラユラと歩く魔物たち。
そして、アウグストゥスが改造したジェットコースターに乗り込んでいった。
魔物たちが、ジェットコースターに座ったのを見届けると、
「出発しま――す!!」
アウグストゥスが、ポチッとボタンを押した。
ギュイーンッ!!!
なっ!なんだ、このスピードはっ!!
一瞬のうちに、ジェットコースターは、遠くまで行ってしまった。
高いところまで一気に上がり、
そこで、いったん停止。
高さの恐怖と、これから落ちる恐怖の、2つを味わったところで、グルグル回転しながら落下した。
さらに、頭を下に向けたまま、地面スレスレを走行する。
絶対に、乗りたくない……。
エドも隣で青ざめていた。
魔物たちの、声にならない叫び声が聞こえてくる。
恐ろしい。恐ろしすぎる。
5、6周はしただろうか。
「これで、ラストですっ!!」
アウグストゥスが、線路を変形させ、一箇所を切断した。
ヒューン!!
ジェットコースターが、空へ飛び出した。
その姿は、ばあちゃん家で見た、機関車が宇宙を飛んでいくアニメさながらだった。
そして、きれいな放物線を描きながら、魔物もろとも海へ向かって落ちていく。
やがて、遥か遠くで、
ザッパ――ン!!
大きな水飛沫が上がった。
わぁ――っ!!!
いつの間に集まっていたのか、人間たちから拍手と歓声が上がる。
すると、サッと物陰に隠れるアウグストゥス。
そんな、隠れなくても。
さっきまでは、あんなに生き生きしていたのに、極端だなあ。
「え――! あっくん、凄いっ!!」
葉月が大喜びしている。
「ねえ、あれが直ったら、私も乗りたいっ!!」
な、なんだって!?
葉月だけではない。
「面白そうだったね」
「乗ってみたいなあ」
そんな声が、あちこちから聞こえてくる。
どこをどう見たら、面白そうだったんだ!?
……魔物よりも、人間のほうが強いのかもしれない。
人間に驚異を感じていると、
「勇者様たち!」
突然、声をかけられた。
いったい、誰だ??




