第35話 魔王様には内緒
エヘン、と咳ばらいをして、アウグストゥスが話し始めた。
「私の魔術を使えば、半日もあれば直せますね。」
「しかし、それでは急に直って不自然なので、修復に三年程度かかるように調整します。」
なるほど。三年が妥当なのかは分からないけど、半日よりは、不自然じゃないだろう。
「調整の仕方ですが……、あらかじめ、私の魔力を分け与えた魔族を、修復作業をする人間の中に紛れ込ませます。」
ふーん、なかなか面倒なんだな?
「この方法のいいところは、人間の技術を覚えられることですかねえ」
それって、ただの人間の手伝いじゃないか??
たまに、アジトの中の魔族が少なくなっているけど、修復に駆り出されていたのか。
「魔王様は、それを許してくれるのか?」
エドが、アウグストゥスに聞いた。
そうだよな、それはオレも疑問に思った。
「そうですねえ。これは、私の趣味の範囲ですからねえ……」
なんだか、歯切れが悪くなったアウグストゥス。
「ここだけの話ですが……、夜中に、体力のありそうな魔族に、ちょ――っと魔術をかけるのですよ」
「そして、次の日には自主的に現場に向かってもらいます。」
「内緒ですよ?」
オレとエドは、かなり驚いた。
そんなカラクリがあったなんて、ぜんぜん知らなかった。
「もしかして、オレも働いたことがあるのか?」
心配になって聞いてみると、
アウグストゥスが、じっとオレの体を見た。
「ストラウスさんは、無いと思います」
――なんか、体力無さそうに見えたのか?
ちょっと引っかかるけど、魔術をかけられてないなら、まあいいか。
「オレも無いよな??」
エドが聞くと、アウグストゥスが、
「は、はい……」
答えながら、あからさまに視線を逸らせた。
「えぇ………。」
がっくりと肩を落とすエド。
「いつ、やったんだ!?」
「ややや、や、やってませんって」
必死に否定するけれど、もう意味がない。
――これは、間違いなく黒だな。
ドンマイ、エド!!




