第33話 もう乗らないぞ
「◯☓△□♯*≒%―――!!」
「キャ〜!!すぅくん、楽しいねっ!!」
な、なにが楽しいんだ!?
大きな船が、左右に大きく揺れるたびに、胃がギュッとなる。
それに、なんともいえない、フワッとする感覚はなんだ!?
「すぅくん、景色がキレイだよ!!」
いやいや、景色なんて、見ている余裕はない。
これは、苦行すぎるぞ!!
じぃちゃんが、花畑の向こうで手を振っている……。
ハッ!!
危ない。見えてはいけない世界が見えてしまった。
限界を感じた、その時。
船の揺れが徐々に小さくなり、ようやく苦行が終わった。
やった……。降りれる……。
船から降りても、なんだか気持ちが悪い。
「すぅくん、大丈夫?」
「……。」
返事もできない。
葉月のお兄さん、乗り物酔いしたって言ってたな。
よくわかった。これは、しないほうがおかしいぞ。
「ちょっと休憩しよう」
葉月に連れられて、ベンチに座る。
「魔族だから、無敵かと思ったら、そうじゃないんだ?」
ものすごい勘違いだ。
というか、人間、どうなっているんだ??
オレがグッタリしていると、エドとアウグストゥスが帰ってきた。
「いや――、世の中には、こんなに楽しいものがあったんですね!!」
生き生きしているアウグストゥスと、口元を押さえて、青ざめているエド。
楽しいだって?
オレとエドは、信じられない思いで、アウグストゥスを見た。
「エドさん、お久しぶりです!!あ、この人は??」
葉月が、アウグストゥスを見た。
二人は、初対面だったな。
「この子は、勇者見習いの葉月。で、こっちは、アウグストゥスだ。」
「よろしくね、あ、あぅ、あぅ、あぅっ」
大丈夫か?アシカの鳴き声みたいになってるぞ?
「あう……、トゥ――スっ!!」
ガクッ。
オレたちは、一気に脱力した。
途中、どこへいった!?
「あ……ストラウスさんたちと、協定を結んだ勇者さんですか。」
アウグストゥスがつぶやいた。
なんか、エドの影に隠れている。
そういえば、人見知りだったな。
「協定……?よくわからないけど、仲良しだよっ!」
いつの間に、仲良しになったんだろう。
説明するのもめんどうだから、とりあえずこのままでいいか。
「ねえ、もう一つ、乗らない?」
葉月が、大きな乗り物を指差した。
「あれは、ゆ――っくり回るだけだから、大丈夫だよ!!」
なんでも、観覧車、という乗り物らしい。
葉月の大丈夫、が信用ならなくなったオレは、五分ほど『観覧車』の観察をした。
よし、本当にゆ――っくり回るだけみたいだな。
「あれならいいぞ。」
「すぅくん、慎重すぎっ!」
「でも、乗ってくれるんだね!いこいこっ!」
葉月がオレの手を引っ張った。
今すぐ行くのか?
オレはまだ回復してないぞ!?
「ストラウスさん、押されてますねえ」
「あの子、元気すぎるんだよ」
後から、アウグストゥスと、エドの声が聞こえた。
「君たちも、一緒に行くんだよ!!」
葉月から声がかかる。
よしよし、みんな道連れだな。
こうして、勇者(見習い)と、魔族三人の奇妙な組み合わせで、列に並ぶことになった。




