第24話 気にしなくていいぞ
下を向いたまま、葉月が、話始めた。
「シュ、ストラウス様たちに、た、助けていただいたのに……、
テレビでは、魔族が、悪いことをしたみたいに、報道されて……」
ひっく、ひっくと、泣きながら話す葉月。
次から次へと涙があふれて、なかなか止まりそうになかった。
しばらくすると、横にいたばあちゃんが、葉月の手をとった。
「……葉月ちゃん、立ち話もなんだから、上がってお茶でも飲みながら話そうか。」
「……はい」
ばあちゃんは、葉月を居間に連れていった。
――――
葉月の前には、紅茶と、アップルパイが置かれている。
家に上がると、少し落ち着いたようだった。
「ばあちゃんは、隣の部屋にいるから、葉月ちゃん、ゆっくりしていきなね。」
笑顔で言うと、ばあちゃんは立ち上がった。
「ありがとうございます……」
小さな声で、お礼をする。
「落ち着いたか?」
オレは、アップルパイを食べながら聞いた。うん、今日も美味しいな。
「はい……。」
でも、見るからに元気がない。
「テレビのこと、気にしてるのか?」
とたんに、また涙が溢れた。
「だって、破壊したのは私なのに、ストラウス様たちが、悪者になってしまっていて……。」
「私、きちんと、説明したいです。」
なるほど、それでこんなに落込んでいるのか。
――オレたち魔族のことなんて、そんなに気にしなくてもいいのに。
「気にしなくて、いいぞ」
びっくりして、顔を上げる葉月。
「いいえ、気にしないなんて、できません。」
「私が黙っていたら、全部ストラウス様たちのせいになってしまいます。」
「いいんだよ……。」
「オレたちが、山を破壊しても、またか。って思われるだけだろ?」
「でも、勇者は違う。勇者が山を破壊した、なんて言ったら、勇者になれなくなってしまうんじゃないか?」
葉月は、ビクッと、肩を震わせた。
……やっぱり、そうなのか。
「あれは、オレたちがやったんだよ。葉月も見ただろ?エドが、湖の岩を破壊したのを」
「オレたちは、破壊すれば、魔王様に褒められるんだ。だから、あれはオレたちがやった。今ごろ、魔王様は、報道を見て喜んでいらっしゃるって。」
「だから、今回は、このままにしよう。だけど……、」
オレは、言葉を切った。
「練習して、ちゃんと狙い通りにできるようになれよ。」
「!!」
「……ストラウス様。ありがとうございます。私、おっしゃる通り、頑張ります!」
「そうだな。あと、様。は無しでいいぞ。ストラウスって呼んでくれ」
「はい。わかりました、シュトラウス……あっ!」
今度は名前が違う。ストラウスって、言いにくいのか?ばあちゃんも、「すぅくん」だしな。
「ストラウス、ストラウス……」
一生懸命、練習し始めた葉月。
いつの間にか泣き止んでいた。
「葉月、アップルパイ、食べろよ。
ばあちゃんが焼いてくれたんだぞ」
「これ、手作りだったんですか!」
「では、遠慮なくいただきます。」
パクっと、一口食べると、葉月の顔がほころんだ。
「すごく、すごく美味しいですっ!」




