第2話 魔王様に目をつけられた
だんだん、書くのが楽しくなってきました(笑)
第2話 魔王様に目をつけられた
「ふぁ――あ」
しまった、あくびがでてしまった。
思いのほか、大きな音がでて、幹部たちが一斉に振り返った。
いや、これでも我慢したほうなんだよ?
かれこれ、10回以上は、なんとか噛み殺していた。
「今、あくびをしたものがいるな!?」
運の悪いことに、魔王様の耳にも入ってしまったらしい。
「あくびをしたのは、お前か?」
「起立して、名を名乗れ」
オレは、仕方なく、ゆっくりと立ち上がった。
「ヴァルディス・ストラウスです。」
「おおっ!ヴァルディス家の者か!」
「たしか、その昔、『東京タワー』とかいう高い建物を破壊したのは、そなたのおじいさんだったな!」
……それって、自慢話なのか?
じいちゃん、よけいなことをして。
「ただ、いくら、ヴァルディス家の者でも、あくびは規律に反するな。」
「ストラウスよ。もし、何か妙案があれば、言ってみよ。さもなくば、魔王軍の規律にしたがい、それなりの罰を与えるぞ」
大変なことになった。
それなりの罰って、なんなんだ!?
なんとか、この場をきり抜けないと!
全身に冷や汗をかきながら、必死に考えた、
それなのに。
「あの……、世界征服のメリットって、なんなんですかね?」
言ってしまった。
「はっ?」
予想もしなかった、世界征服の意味を問うオレの発言に、魔王様は困惑している。
「いやね、街を一つ潰すって、仰ってましたけど、街潰した後、どうするんですか?」
「そ、それは……魔族によって、新たに復興するのだ!」
「その街で取れてた、農作物、手に入らなくなりますよ?」
「街潰したら、一からやり直しですよ。そんなの、めちゃくちゃ手間がかかるじゃないですか。」
「うーむ」
「………」
魔王様は、黙ってしまった。
幹部たちも、ザワザワしている。
「たしかに、街を潰したあと、我々は食糧難に陥っていたな」
「ヴァルディス家の若造よ。そこまで考えていたとは……!」
な、なんか、幹部たちに良いように解釈されてないか?
でも、
オレは、長年疑問に思っていたことを吐き出せて、ちょっと清々した気持ちにもなっていた。
「ストラウスよ、ではおぬしなら、どうする?」
魔王様が、オレの名前を呼んだ。
「そうですねえ……。街、キレイなまま残して、人類に働いてもらえばいいんじゃないですか?」
「なにっ!」
絶句する魔王様。
「その考えは、なかったな。」
「なかなか切れものなんじゃないか!?」
幹部たちから、感嘆の声が聞こえた。
――そんな、感心するようなことは言ってないはずだ。
魔王様は腕を組み、しばらく黙り込んだ。
幹部たちも固唾をのんで見守っている。
しばらくして、魔王様が口を開いた。
「……おぬし、幹部になれ。」
「はぁ?」
思わず、変な声が出てしまった。
「幹部になれと言っておる。」
「おぬしの知恵、存分に発揮してもらおうじゃないか!!」
いやいやいや、幹部なんて、冗談じゃない。
会議だけでも面倒なのに、これ以上責任を負いたくない!
「魔王様。私には、とても勤まりそうにありません」
「先ほどの発言、どうぞなかったことにしてください。」
慌てて言ったが、もう遅い。
「いや、もう決めたのだ。
ストラウスよ、正しい世界征服に、おぬしの力を貸してくれたまえ!!」
おお――っ!!
わ――っ!!
拍手に包まれる会場。
やめてくれ、盛り上がるな。
雰囲気に押され、ヴァルディス・ストラウスは、魔族で、最年少の幹部になってしまった……。




