第19話 勇者(見習い)現る
いったい、誰だ?
オレとエドは、言い合いをやめて振り替えった。
そこには、
身長よりも、長い杖を重そうに持ち、急いで来たのか、肩で息をしている人間がいた。
ポニーテールを揺らして、黒目がちな大きな目で、オレたちをにらんでいる。
「破壊なんて、してないぞ」
「オレたちは、釣りをしていただけだ。なあ、ストラウス?」
「そうだ。オレたちは、静かに釣りを楽しんでいたんだ。」
「う、うそよ!私、見たんだから!」
「そっちの人が、湖を破壊したじゃない!」
そう言って、エドを指さした。
まずいな、見られていたんだ。
「おまえ、一体、なんなんだよ?」
エドが、不満そうな声を出した。
「私は、勇者見習いの葉月。お兄ちゃんの代理で、魔族と戦いにきたの!」
――今、『見習い』って言ったか?
勇者にも、見習いなんてあったんだ。
で、お兄ちゃんの代理?
突っ込むところが多すぎる。
「きょ、凶暴な魔族、か、覚悟!」
セリフに、いちいちつっかえながら、葉月という勇者見習いが突っ込んできた。
ひょい。
オレは、横にスッと避けた。
葉月は、そのまま勢い余って転んだ。
なんだろう。すごく、走るスピードが遅い。
「や、やるわね……」
いや、オレは横に避けただけだぞ?
「た――っ!」
今度は、エドに向かって突っ込んでいった。
ひょい。
エドも、オレと同じように避ける。
葉月は、また転んだ。
これを、何度か繰り返した。
はぁ、はぁ……。
葉月の息が上がり、苦しそうにしている。
「ま、魔族……。な……なかなかやるわね……」
「そうか?」
いや、何もしてないぞ?
……この子、大丈夫か?
相手がオレたちじゃなかったら、瞬殺されてそうだぞ?
やたらに元気はいいけど、動きが伴っていない。
「こうなったら、最後の手段!」
葉月は、長い杖をオレたちに向けた。
杖の先が、赤く光ってくる。
集中して、エネルギーを貯めているように見えた。
……これは、さすがにヤバいかもしれない。
葉月は、大きな声で叫んだ。
「あ、悪霊退散――!!」




