第13話 勇者ではない、魔族です。
「え!?」
突然の声に驚いたオレとエド。
エドの攻撃は、もう止められなかった。
動揺したエドは、狙いがぶれて、波動は地面に直撃した。
ドォン!!
大きな音がして、地面に深い穴があく。
そして――
勢いよく、水が噴き出した。
と同時に、湯気も立っている。
これは……水ではなくて、お湯、か?
「ゆ、ゆ、湯が出た!!」
「おーい、みんな、湯が出たぞー!!」
「本当か!?」
いつの間にか、人間が集まってきて、オレたちは囲まれてしまった。
しまった、これは逃げられない。
興奮した人間の一人が、話しかけてきた。
「あなたがた、もしかして勇者様ですか?」
なんで、勇者になるんだ?
人間の考える勇者は、大きな穴をあける存在なのか?
「……は?」
この世で一番嫌いな存在と勘違いされてしまい、思わず冷たい声が出てしまった。
「勇者じゃない、オレたちは、魔族だ!」
エド、気持ちはわかる。
でも、ここは、こらえたほうがよかったかもしれない。
人間たちは、驚きの声をあげた。
「な、なんと、魔族様でしたか。」
「実は、この一帯は、温泉街だったのですが、数年前に、急に温泉が出なくなってしまいまして。」
「なんとか、新しい源泉を掘り当てたかったのですが、どこを掘っても出てこなかったのです。」
「つまり、お湯が出なくて困っていたのか?」
「そうなんです。それを、あなたたちは、1日で掘り当ててださいました。」
「本当に、ありがとうございます。魔族様。」
うわっ、魔族様ってなんだ!?
『様』は、魔王様だけにつけるものだぞ。
「そ、それはよかったな。」
とりあえず、話を合わせることにした。
だけど――
一つだけ、疑問が残っていた。
繰り返し出てきたけれど、何のことか、サッパリわからない。
オレは、思いきって聞いてみた。
――「なあ、『温泉』ってなんだ?」




