#11 雨乞いの終わりに 後編
「いや、俺の名前は青二才じゃなくて瀬戸夏輝ですけど」
「そうだったか?」
「いや名乗りましたよねあの時! 戦いの後に互いを認め合った感動的な瞬間がありましたよね!」
「……既に忘れたな」
悪気のなさそうな悪王子の態度に、あの時の熱い気持ちは一体なんだったんだと俺は脱力した。
「それよりも、奥さんたちに会いに行かれたんじゃないんですか?」
「ああ、行ってきたぞ。皆、元気で変わらず麗しかった。しかし、オレは巫女神のそなたが気に入った」
ちょうど茶の間に入ってきた宿禰さんが、凍りついたような表情になる。
「オレの妻になれ。そなたに一生涯の幸せを約束しよう。花が好きなら、オレが手ずから育ててやってもよい」
「い、いえ……謹んでご遠慮させていただきます!」
度重なるプロポーズに美月さんが真っ青な顔で後ろに下がり、代わりに俺と宿禰さんが前に出て悪王子を境内の社へ押し戻す。
「お願いですからお帰りくださいっ!」
「――ニュースの時間です。気象台から鳳凰市が梅雨入りしたとみられると発表がありました。例年と比べると二十日程度遅くはありますが、専門家によりますと農作物への影響は今のところないということです――」
テレビから流れてきたのは、遅い梅雨入りのニュースだった。
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お読みいただきありがとうございました。
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いよいよ次章、最終章となります。
夏輝と美月、二人の関係がゆらぐ中、本作品至上最大の敵が現れて…!
夏輝は無事常世へ帰ることができるのか? そして、美月への想いは──。
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