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#8 狐狸妖怪(こりようかい) 後編
「巫女神様がそうおっしゃるなら」
「それにしても巫女神様が月姫神社のお嬢様だったとは。あの時、野狐と化狸の皆でこっそり結婚式を見に行ったのが懐かしいですな」
狸の長老の言葉に、美月さんの表情が不安の翳りを見せる。
「雛人形のように美しいお二人が、美しいユリの咲き乱れる境内で、たくさんの人に囲まれて祝福された心温まる結婚式でしたな。遠方からも大勢の親族と氏子がお祝いに駆けつけていた」
狸の長老が懐かしそうに瞳を細めた。幽浅の噂話と全然違う。俺はひとまず安心した。
「子どもには苦労をかけるかも知れないが、大切に育てたい、幸せにしてあげたいと笑顔で話していましたよ」
「……お父さんと……お母さんが……」
うつむきながら、狐の長老の言葉を噛みしめている様子の美月さんに、狸の長老が尋ねた。
「巫女神様。あなたは今、幸せですかな?」
「はい……!」
うなずいた美月さんの目には、うっすらと涙が浮かんでいた。




