#1 朧月夜のかぐや姫 後編
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「みーちゃんが元気ないってねぇ」
体育の時間、サッカーの模擬試合の待ち時間に俺は卜部巴と体育座りで世間話をしていた。
「夏輝くんたらぁ、みーちゃんの事がそんなに気になるのぉ?」
巴の切れ長の瞳が三日月型ににやついた。
「そ、そりゃ元気なかったら気になるだろ……友達だし」
「あの子は巫女神だ。うっかり好きになってしまったら大変だよ。色んなものを背負う覚悟が必要だからね」
「好きにはならない。俺はいずれ常世へ帰る身だし」
そう言った矢先に、クラスの男子何人かが俺に情報を求めてきた。
「なぁ瀬戸って月姫神社に住んでるんだろ? 蓬莱さんって家でどんな感じ?」
「神社だから、帰ったら巫女装束に着替えて参拝者の対応を……」
「巫女はいいよなぁ、神秘的で。それに彼女、去年の秋祭りで神楽を舞っていたんだけど、かぐや姫かと思うぐらいに綺麗だったんだぜ」
俺は得体の知れないもやもやとした気持ちになった。美月さんがみんなから好かれるというのは友人として嬉しい事のはずなのに、なぜか心から喜べないのは俺が狭量だからだろうか。
「彼氏いないよな? 卜部も幼馴染だって聞いたけど彼氏じゃないよな? お前変わってるしさ」
突如、殺気を感じて隣を見ると、巴がまさに術を発動せんとしていた。巴の周囲に紫色の炎が巻き上がるのが見える。
「この僕を変人呼ばわりするとは命知らずな……あんたりをん、そくめつそく……」
「わーっ! 落ち着け、巴! 学校で陰陽術を使うのはやめろよ」
巴を制止していた時、突如サッカーボールが飛んできて俺の頭に当たった。
「痛っ!」
その瞬間に巴の陰陽術が誤爆して、俺は意識を失った。
イラスト/ひら様
⛩️常世現世裏話⛩️【巴の秘密】
クラスでは秀才かつクールな二枚目を貫いているが、所々で地が出る。
夏輝や美月に頼られるとものすごく嫌そうに引き受けるが、内心は嬉しくてたまらないツンデレ男子。
夏輝に遊びに誘われて物陰で小躍りしていた所を般若あかりに目撃されて気まずかった過去がある。




