指名依頼(3)
大広間を満たしていた激しい討伐の熱気が、静かに、そして重々しく引いていく。
「ギギャアアァッ!」「ギャアッ!」
足元を爆発的な精霊魔法で狂わせられ、前衛のダグとキースによる死力の反撃を受けた残存ゴブリンたちは、血と泥に塗れながら悲鳴を上げて広場の最奥へと逃げ惑っていた。
「ハァ……ハァ……逃げていくぞ……っ!」
ダグが小ぶりのブロードソードの先を湿った泥に突き立て、荒い息を吐きながら膝をついた。左肩と左腕はガルム直伝の受け流しで衝撃を殺し続けたものの、ズキズキとした重い打撲で青黒く腫れ上がり、呼吸するたびに胸の骨が軋むような痛みを主張している。キースも壁に背をもたれかけ、脇腹に掠った浅い切り傷を抑えながら肩で息をしていた。
だが——勝ち誇ったように逃げ去ろうとしたゴブリンたちに、思いも寄らない惨劇が襲いかかった。
広場の最奥、落盤しかかっていた脆い岩天井が、激しい戦闘の振動とゴブリンたちのパニックによる足踏みに耐えきれず、激しい地鳴りを上げて崩壊したのだ。
ドドドドドドドォォォンッ!!!!
「ギギャッ——!?」
断末魔の悲鳴すら巨大な崩落音にかき消された。数トンにも及ぶ巨大な落石と大量の土砂が天から降るように襲いかかり、逃走していたゴブリンたちを一瞬にして押し潰した。巻き上がった猛烈な泥塵と煙幕が広場全体を覆い尽くし、一瞬にして静寂が戻る。
「ゲホッ……ゲホッ! みんな、大丈夫!?」
コレットが服の袖で口元を覆いながら、『光』の明かりを崩落現場へと向けた。マーサも神官杖を構え、警戒を怠らずに泥煙の向こうを凝視する。
やがて煙が薄れると、そこには落石の下に潰されたゴブリンたちの無残な姿と、崩れ落ちた広大な岩壁の残骸があった。そして——崩れ去った自然の岩肌の奥深くに、何百年もの間ひっそりと隠されていた異物が姿を現していた。
「……これ、は……?」
コレットが息を呑む。
落ちてきた巨大な岩の隙間から露出していたのは、自然の石ではない。精密に削り出され、寸分の狂いもなく組み上げられた巨大な黒御影石の壁面。そしてその中央には、大人の身長の二倍はあろうかという、重厚で精密なレリーフが刻まれた石造りの扉が存在していた。
レリーフには、現代の王国では見られない、星と歯車、そして複雑な幾何学模様を組み合わせた古代王国の紋章が深く刻み込まれている。
「自然の洞窟の中に……こんな巨大な建造物があるなんて……」
マーサが神官杖を握り締め、驚愕の面持ちで巨扉を見上げた。ハーフエルフとして長く生きてきた彼女ですら、これほど完全な状態で保存された古代王国の遺跡を目にするのは滅多に無いことだった。
「崩落の衝撃で、隠されていた外壁が剥がれ落ちたんだな……」
ダグが傷つく身体を引きずりながら、呆然と扉を見上げる。
キースは傷の痛みをこらえながら一歩ずつ近づき、扉の表面を静かに撫でた。指先に伝わるのは、氷のように冷たく、けれどどこか微かな魔力の脈動を秘めた滑らかな石の感触。扉の隙間からは、数百年以上も外気に触れていなかったと思われる、冷たく乾いた古文書のような独特の匂いが漂い出しているような気持ちがした。
「……仕掛けがある。鍵穴じゃない。円盤を滑らせて特定の星位を合わせる連動式のパズル錠だ」
キースの鋭い目が、扉の中央に埋め込まれた複雑な幾何学機構を見抜く。
「無理に壊そうとすれば、洞窟ごと崩落させるような強い防衛機構が連動しているんじゃないかな。でも……仕掛けの構造自体は、シルヴァさんに教わった古代機構の基本パターンと同じだ。僕の持っている道具で解除できる」
キースはポケットから、シルヴァに貰ったばかりの上質な『ピックセット』を取り出した。繊細な鋼の爪をツールの隙間に差し込み、カチリ、カチリと音を確かめながら思考を巡らせる。
「今すぐ僕が鍵を開ければ、中の調査ができるよ。院長、やってみていいかい?」
キースが情熱を帯びた瞳で振り返る。ダグもブロードソードを握り直して意気込んだ。
「俺も行くぜ、院長! 傷なんて大したことない! 俺たちはもう子どもじゃない、立派な冒険者なんだ! このまま一気に調査して成果を持ち帰ろう!」
「僕も同感だ。ここで引き返したら、いつまでもただのガキ扱いだ。冒険者として、目の前の機会を逃したくない」
息を荒らげて主張する14歳の二人。
だが——マーサの反応は彼らの予想と大きく異なっていた。優しさの中に、かつて数々の生死を潜り抜けてきたベテラン冒険者としての冷徹な厳しさが宿っていた。
「いいえ。ダメよ。絶対に許可できません」
「えっ……!? どうしてですか院長!」
キースが反論しようとした瞬間、マーサの凛とした声が洞窟内に響き渡った。
「二人とも良く聞きなさい。……あなたたちのその考え、冒険者としてあまりにも『甘い』わ」
マーサの射抜くような眼差しに、ダグとキースは思わず言葉を呑んだ。
「自分はもう大人だ、冒険者だと言うのなら、なぜ自分の足元も見えていないの? 二人とも腕や体が腫れ上がり、疲労でスタミナも落ちている。私の魔力もコレットの魔力も残り少ないのよ。そんな消耗した状態で、未踏の古代遺跡に入って『何とかなる』と思っているの?」
「う……そ、それは……」
「本物のプロの冒険者ならね、そんな状態で未知の領域へ飛び込んだりしないわ。それは勇敢でも何でもない、ただの無謀な自殺志願よ。本当の冒険者ほど、自分の限界を正確に把握して、最善の状態で挑むために撤退や休養の判断を下せるものなの」
マーサの毅然とした叱責に、ダグとキースの胸の中にあった背伸びの熱気が、冷や水を浴びせられたようにスッと引き下がっていった。
「ゴブリンの群れは全滅したの。ミレット村の脅威は去ったわ。この扉が急に勝手に開いて魔物が飛び出してくる様子もない。……一度ミレット村へ戻りましょう。安全な村で休みましょう。私の残りの魔力を全部使ってあなたたちの傷を完璧に治し、一晩ぐっすり休むの。そうして万全の状態を取り戻してから……明日の朝、改めて仕切り直して探索に入ります。それが、本当の冒険者のやり方よ。分かったかしら?」
マーサの厳しくも母性あふれる言葉に、ダグもキースも恥ずかしそうに視線を落とし、素直に首を縦に振った。
「……すみませんでした、院長。俺たち……調子に乗ってました」
「僕たちの判断が甘かったよ。院長の言う通りにする」
「よろしい。じゃあ、ミレット村へ帰りましょう」
マーサの柔らかい笑みにほっと毒気を抜かれ、四人は古代の扉を一旦そのままにし、冷たい洞窟をあとにしたのだった。
「おおっ……! ま、マーサ様! ダグ様! 皆様!!」
洞窟を出て岩山を降り、ミレット村へ到着すると、待ちわびていた村長と村人たちが一斉に駆け寄ってきた。
「村長さん、ご安心ください。洞窟のゴブリンは全滅しました。家畜を襲う奴らは一匹も残っていませんよ」
「ああ、ありがとうございます! ありがとうございます!」
村長は涙を流してマーサの手を握りしめていた。
ダグが恥ずかしそうに頭を掻きながら報告すると、村人たちから割れんばかりの歓声が上がった。先日の『深緑の森』で救われた少女リリも駆けつけ、ダグたちに感謝の笑顔を振りまいた。
村長宅の静かな一室に入ると、マーサは二人を畳の上に座らせた。
「さあ、ここならもう魔物を警戒する必要もないわ。二人とも、服を脱ぎなさい」
マーサは神官杖を両手に抱え、集中を高めた。洞窟内では温存していた自身の残余魔力を、この安全な場所ですべて解き放つ覚悟だ。
「神よ……傷つきし我が子らに、惜しみなき慈愛の光を……」
神官杖から、眩いほどの柔らかな緑と白の光が溢れ出し、部屋全体を温かく包み込んだ。
ダグの左肩と腕を覆っていた青黒い酷い打撲痕が、光が触れた先からみるみるうちに薄くなり、引き裂かれていた筋肉と組織が急速に再結合していく。キースの脇腹の切り傷も、跡形もなく綺麗な肌へと塞がっていった。
「うわ……すっげえ……! 痛みが完全に消えた……! 腕が元通り動くぞ!」
ダグが驚喜の声を上げ、腕を大きく回す。キースも自分の身体を確かめ、痛みが一切残っていないことに息を呑んだ。
そこへ、薬草の入った桶と湯気の立つ湯呑みを抱えた村の老薬師が足を踏み入れた。
「傷の手当の準備をしてきたんじゃが……って、なんじゃあこりゃあ!?」
おばあさんは目を見開き、手にした桶を落としそうになった。さっきまで酷い腫れと出血で痛々しかったはずの少年の皮膚が、まるで何事もなかったかのように滑らかに治癒していたからだ。
「な、なんという高度な神聖術じゃ……! 打撲の内部出血も、筋の損傷も完全に治っておる……! 何と言う神聖魔法の力じゃ……」
薬師の驚嘆に、マーサは照れくさそうに微笑んだ。
「いいえ、強力な癒しの奇跡を起こせるほどの力量はありません。安全な村に到着できたからこそ、魔力の枯渇を気にせず何度も軽症治癒の魔法を使うことができたのです。……でも、身体の組織は治せても、彼らの蓄積した精神的な疲労までは消せません」
「なるほど……心得たぞ、神官様」
薬師のおばあさんは深く感服し、持ってきた湯呑みを二人へ差し出した。
「これは我が村に伝わる『星紡ぎ草』を煎じた疲労回復の薬草茶じゃ。身体の芯から温まり、深い睡眠をもたらしてくれる。飲んでゆっくりお休みなされ」
「ありがとうございます、おばあさん!」
ダグとキースが薬草茶を飲み干すと、身体の奥からポカポカとした心地よい温もりが広がっていった。
その夜、村長宅で振る舞われた豪勢なシチューと黒パンを腹一杯に食べた四人は、ふかふかの羊毛の布団に横たわった。
「……なぁ、キース」
「ん? なんだい、ダグ」
「院長に怒られて、良かったな。もしあのまま強がって洞窟の奥に入ってたら……俺たち、絶対足元をすくわれてた」
「……そうだね。自分の限界を知るのが本当の冒険者だって言われて、ハッとしたよ。明日からは、もっと慎重に、確実に前衛を務めよう」
心身ともに完璧に回復した二人は、穏やかな安らぎの中で深い眠りへと落ちていった。
マーサは二人とコレットの満足そうな寝顔を見つめ、優しく毛布を掛け直すと、静かに祈りを捧げた。
(明日も……全員で無事に帰ってきましょうね)
翌朝。やわらかな冬の太陽が、ミレット村を爽やかに照らしていた。
十分な睡眠、手厚いもてなし、そしてマーサの全魔力による完全治癒により、ダグの打撲もキースの傷も完全に消え去っていた。コレットとマーサの魔力も満ち足り、全員のコンディションは文字通り「完璧」であった。
「村長さん、行ってきます!」
「はい! どうかお気をつけて!」
リリや村人たちの温かい見送りを受け、完全武装を整えた四人は、再び岩山の自然洞窟へと足を踏み入れた。
昨日の激戦の跡が残る大広間を通り抜け、落石の向こうに鎮座する石造りの扉の前へと立つ。
「よし……それじゃあ、鍵を開けるよ」
キースが腰をかがめ、手慣れた手つきで上質な『ピックセット』を取り出した。
昨日の下調べがあったおかげで、作業は極めてスムーズだった。キースの指先が細い鋼の爪を繊細に操り、重厚な石の円盤を一つずつ滑らせていく。
カチリ……カチリ……ガコンッ!!
最後の星位が完璧に噛み合った瞬間、ずうぅぅん……という地鳴りのような重低音が広場に響き渡った。
数百年もの間、閉ざされていた黒御影石の巨大な扉が内側へと静かに滑り込み、冷たく乾いた特有の古風な空気を噴き出しながら、漆黒の道を開いた。
「開いた……っ!」
コレットがすかさず短杖を掲げ、『光』の魔法を紡ぐ。
「——灯れ、『光』!」
短杖の先からぽんと浮かび上がった純白の光球が、扉の向こうを鮮やかに照らし出した。
そこに広がっていたのは、削り出された美しい石造りの一直線の回廊だった。壁面には青白い魔導光の鉱石が一定間隔で埋め込まれており、滑らかな石畳を神秘的、かつどこか浮世離れした静寂で満たしている。
「気をつけて。古代の遺構には、踏み込んだ者を排除するための物理的な罠だけじゃなく、魔導機構による『魔法の罠』が生きているわ」
マーサの警告に、先頭に立つキースは深く頷いた。
「分かってます。僕の目と感覚を信じてついてきてください」
シルヴァから叩き込まれた気配察知と罠の見破り。キースは一歩一歩、石畳の微小な段差や空気中の魔力の歪みに全神経を集中させて歩みを進めた。
回廊を進むこと数十分。一本道は大きな曲がり角へと差し掛かっていた。
「……止まってください」
キースが低く制し、水平に手をかざした。
「足元の石畳……ここだけ薄く青い光の筋が見える。物理的な圧力仕掛けじゃない。古代の『感応式魔導陣』だ。踏むか、強い魔力を近づけると、陣が反応して属性攻撃が飛んでくる」
「魔法の罠……!? そんなものまで残ってるの!?」
コレットが息を呑む。
キースは屈み込み、ピックセットの中から小さな金属具を取り出した。魔導陣の結節点となっている石の隙間に慎重にツールを差し込み、魔力の回路をバイパスさせるように慎重に解いていく。額から冷や汗が一筋流れる。
「……よし、魔導陣の反応を一時的に遮断した。この枠の中を踏まないように、一人ずつ飛び越えて」
「すごいよキース! 本当に魔法の仕掛けまで解除しちゃうなんて!」
ダグが感心して頷き、コレットとマーサが慎重に魔導陣を跳び越えていく。
キースのスカウトとしての能力と、老兵たちから受け継いだ道具の性能は完璧だった。しかし——古代王国の防衛機構は、単一の罠破りだけで突破できるほど甘くはなかったのだ。
魔導陣を越え、四人が回廊の曲がり角を曲がり切ろうとした——その瞬間!
カチッ……!!
壁の内部で、極小の金属線が切れる音が響いた。目に見える魔導陣の下に仕掛けられていた、二重構造の術連動式トラップ!
周囲の空気に満ちていた魔力が急激に跳ね上がり、壁面のレリーフから赤黒い火焔の術式が浮き上がった。
ボォォォッ!!!! スバババババンッ!!!!
直後、壁から爆発的な『火炎の奔流』が吹き出すと同時に、反対側の天井の隙間から、数本もの重厚な鉄製の太矢が、暴風のような速度でキースの背後へ向けて射出された!
「キースっ!! 」
死角からの不意打ち。炎と鉄矢の二重攻撃に対し、回避が間に合わないキースの背中へ、ダグが躊躇なく飛び込んだ!
ダグは左腕の丸盾を強引に跳ね上げ、ガルムから受け継いだ鉄補強の腕甲を交差させるようにしてキースの身体を力任せに抱え込み、横の安全な石畳へと押し倒した!
ガガガガギィィィンッ!!!!
凄まじい金属打撃音と炎の爆風が回廊に轟く。
鉄矢の二本は丸盾の表面を激しく叩き、強烈な衝撃がダグの左腕の骨に痛みを走らせた。 そして、跳ね返し
きらなかった最後の一本が、ダグの右肩の革鎧の隙間を深く貫いた!
「ぐあぁぁっ……!? ぐっ……!!」
「ダグ——ッ!?」
キースが倒れ込みながら悲痛な叫びを上げた。ダグの右肩から、鮮血が石畳の上にドッと飛び散り、焦げた革の匂いが漂う。
「ダグ! 動かないでっ!!」
マーサが即座に駆け寄り、両手をダグの右肩へかざした。顔色は蒼白だ。神官杖を強く握り締め、自らの魔力を激しく絞り出す。
「神よ……傷つきし者に光の加護を……『軽傷治癒』!!」
温かな緑の光がダグの肩を包み込み、肉を接合していく。しかし、古代の鉄矢の先端には古く乾いた毒(麻痺毒)が塗られていた。傷口は塞がりつつあるものの、ダグの身体に急激な悪寒と麻痺の激痛が走り、ダグは荒い息を吐きながら膝をついた。
「ハァ……ハァ……くそっ……身体が……重ぇ……」
「ダグ……僕を庇って……ごめん、僕が二重罠を見落としたせいで……!」
キースが激しい悔恨の表情でダグの身体を支える。
だが、ダグは血混じりの歯を見せて、力なくニヤリと笑った。
「謝るな……キース。前衛の仕事は……仲間を庇うことだろ……? ガルムの親父の言った通りだ……俺の盾は……みんなのを守るためなんだからよ……」
「ダグ……っ」
ダグの手当を終えた矢先、回廊の奥——青白い魔導光の漂う暗がりから、ズシン……ズシン……という、地響きのような重厚な足音が近づいてきた。
石畳を揺らして姿を現したのは——人間の倍近い体躯を持つ、身の丈三メートルにも及ぶ全身金属製の自動人形、アイアンゴーレムだった。
頭部には単眼の赤い魔導石が怪しく発光し、両腕は丸太のように太い鉄のハンマーとなっている。数百年もの間、この遺跡を守り続けてきた防衛兵器だ。
「ゴーレム……!? 嘘でしょ、あんなデカいのが動いてるの!?」
コレットが青ざめた顔で短杖を構える。
「侵入者を検知……排除対象に指定……」
機巧仕掛けの低い重低音が壁に響き渡り、アイアンゴーレムが重厚な足音とともに地を揺らし、突進を開始した!
「あたしが倒す! 貫け、光の矢よ!!」
コレットが神経を研ぎ澄ませ、高密度に凝縮した『光の矢』をゴーレムの胸元へ射出した!
ガギィィィンッ!!!!
しかし——まばゆい光の矢は、ゴーレムの表面に張られた強大な『古代魔法抵抗』の気波によって、甲高い金属音とともに呆気なく弾き飛ばされ、空中で霧散してしまった!
「嘘……っ!? あたしの光の矢が……全然効かない……!?」
「古代の兵器には、強力な魔法抵抗のコーティングが施されているのよ! 生半可な攻撃魔法じゃ傷一つつけられないわ!」
マーサが悲痛な叫びを上げる。
魔法が効かない。ダグは麻痺毒と打撲で動けない。
絶体絶命の危機の中、ゴーレムの巨大な鉄のハンマーが、動けないダグと後衛陣へ向けて容赦なく振り下ろされようとしていた!
(続く)




