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夕食はルームサービスを取ってくれた。あなたは涸れることのない泉のようで、何度もひとつになった。回数を重ねる度に、良くなっていった。もうあなたを手離したくなかった。官能から始まったものだが、恋へと発展しているかもしれなかった。
身を寄せ合い、部屋のテレビで映画を観た。ラブストーリーだった。作品はそこそこだったが、私たちは燃え上がった。「ねぇ、愛してる?」と問われた。「恋してるかも」と返すと、「そっちのほうが嬉しいわ」と言ってくれた。「なぁ、どうして君はお金持ちなの?」「まだ内緒」「そうか、いつか教えてくれる?」「ええ、私もあなたの仕事とか訊かないわ、そんなこと私には関係ないもの」「分かった、確かに人間性には関係がないように思う」「私には秘密が多いかもしれないけれど、許してね」「あぁ、許すよ」と返すと、甘いキスをしてくれた。
「私たちは身体の相性がいいわ、そう思わない?」「重ねる度に良くなっていってる、何処までもいけそうだ」「深いところまで、連れていって」「分かったよ、ふたりで溺れよう」「地獄でも?」「それでも構わない、ふたりなら」「嬉しいわ」「君を喜ばせる為に、俺の口はあるらしい」とあなたを愛撫した。情熱的な声が漏れた。
朝になった。あなたがカーテンを開いた。美しい光りが差し込んだ。逆光になったあなたは天使みたいだった。実際は悪魔だけれど。裸のまま、お互いに触れ合った。心地の良い時間だった。あなたがお風呂を溜めてくれた。仲良く入った。あなたがイタズラをしたので、私は元気になってしまい、お風呂場でも致すことになった。あなたの声が反響し、浴室全体がすけべになった。
あなたは美しい黒髪をドライヤーで乾かした。私は飽きもせず、その様を眺めていた。鏡に映るあなたも妖艶だった。「君は魔女だね」と言うと、「そうよ、バレてしまったわね」と返った。「悪女なんだな?」「そうよ、私は悪い女よ」
ベッドで裸でいちゃつき、それから服を着て、近くのカフェへ向かった。ふたりでモーニングサービスを食べた。あなたといると、通常よりも美味しくなる気がした。コーヒーを飲み、加熱式タバコを吸った。「歌が上手いのに、タバコを吸うのね」と言われてしまった。「こうやって喉を鍛えてるんだ」と私は嘯いた。「禁煙チャレンジしてみたら?」「それは君の言うことでも利けない」と私は笑った。
散歩をした。良い天気だった。あなたはこの島に住んで長いのか、顔見知りが多いようだった。そういった人々に見せつけるようにして、腕を組んできた。「熱いねぇ、おふたりさん」とからかわれても平気そうだった。
大きな木の下で、腰を降ろし休憩をした。あなたはこちらに身を預けた。あなたの重みが快かった。道路はバイクで忙しそうにしていた。皆さんが働いていると思えば、甘美で贅沢な心地があった。
木漏れ日が気持ち良かった。あなたの顔が斑点になった。「木漏れ日で、素敵な模様になってる」と言うと、「あなたもよ」と返ってきた。キスをした。周りの目は気にしなかった。ここであなたを抱けてしまそうだった。世間に私の女だと知らしめても良かったかもしれない。
私が歌の練習をしたい、と言うと、あなたはカラオケに付き合ってくれた。あなたはお酒を飲んだ。色気が増した。歌の練習のつもりだったが、あなたへラブソングを送っていた。それも悪くない練習になったかもしれない。
あなたは喜んでくれた。歌っている最中に頬にキスをされて、良い気分になった。あなたの腰に手を回した。温もりがあった。その温もりとひとつになりたかった。私たちは限界まで身を寄せ合った。
あなたもラブソングを歌ってくれた。見つめられた。私に灯るものがあった。間奏で情熱的なキスをした。二番はより濃厚に歌ってくれた。いつまでも聴いていられたら、と思った。きっと幸せだろう。




