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「わたしのために死んでちょうだい」と言われて殺されるモブ令嬢に転生しましたが、生き延びるため魔法騎士を目指します  作者: 倉本縞


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88.さらなる誤解


 応接間でランドール様とグレース伯母様と一緒にお茶を飲んでいると、すぐコレット様の到着を告げられた。

 三人で玄関ホールで出迎えると、

「わあ……!」

 わたしは思わず声を上げてしまった。


 コレット様、すごい綺麗! いつも春の女神か妖精みたいって思ってたけど、今日はマジで背景に花が舞い散っている!

 これは聖女さまに匹敵するレベル!


「コレット様、すごく素敵です!」

「……そう?」

 何故かコレット様は不安そうな表情だ。どうしたんだろう。


 コレット様は、やはり制服ではなく淡いピンク色のシルクのデイドレスを着用していた。袖やスカート部分がふんわり膨らんでいてとっても可愛い。アンダースカートやボディスのスタンドカラーには繊細な白いレースが飾られ、コレット様の妖精のような愛らしさを引き立てている。


「本日のドレス、とてもお似合いですよ」

「でも……」

 コレット様はわたしに顔を寄せ、小さな声で言った。


「あなたのドレスに比べて、なんだか派手すぎるような気がするわ。……わたし、実を言うと誰かのお屋敷に招かれたことが一度もないの。ケルテス辺境伯家に伺ったことはあるけれど、あれはシモン様との顔合わせのためだったし……」

「コレット様」

「だから、どういうドレスを着るべきなのかわからなかったの。侍女頭がミレー伯爵家を訪問するならシルクのドレスを着るべきだって言ったから、それでこのドレスにしたんだけど……、でも、あなたのドレスとは随分違うような気がするわ」


 不安そうな表情でぼそぼそ言うコレット様に、わたしは思わず微笑んでしまった。

 なんだか女の子って感じで可愛いなあ!


「大丈夫ですよ、コレット様。本当はわたしも、もう少し派手な紫色のドレスにすべきだって伯母様に忠告されたんです」

「じゃあ、なんでその紫色のドレスを着なかったのよ」

「そのドレスはベルベッ製なので、後で手入れが面倒だろうなーって思って。今日は勉強会だからずっと座っていることになるでしょう? そうしたらブラッシングとかスチームを当てるとかしなきゃいけないでしょうし。それに、万が一汚してしまったら、すごく目立つだろうなあと思って」

 このドレスは汚れが目立たないんですよ、と言うと、コレット様は唖然とした。


「……あなた、汚れが目立たないっていう理由でそのドレスを選んだの?」

「まあ……、そうですね。でも、別にこのドレスでミレー伯爵家を訪問しても失礼にはあたりませんよ」

「それはそうでしょうけど」

 コレット様はくすくす笑い出した。

「あなたって、本当におかしな人ね! 北部の女の子って、みんなあなたみたいなの?」

「北部は質実剛健を旨としてますからね」


 コレット様とひそひそ話していると、グレース伯母様に声をかけられた。

「ようこそいらっしゃいました、リヴィエール侯爵令嬢。ミレー伯爵家へはわたくしもマティルドの付き添いで一緒にまいります」

「ありがとう、よろしくお願いするわ」

 コレット様は機嫌よく言い、ランドール様にも「じゃあ行くわよ」と声をかけていた。

 よくわからないけど機嫌が直ってよかった。


 コレット様とわたしがリヴィエール侯爵家の馬車、グレース伯母様とコレット様の付き添いがもう一台の馬車、ランドール様は馬でミレー伯爵家へ向かうことになった。

なんだかすごい大所帯になってしまった。ちょっと友達の家を訪ねるだけなのに、貴族って面倒だなあ。


 コレット様は珍しくちょっと緊張しているみたいだ。

「ミレー伯爵家って魔術の名門なのよね? わたしも一応、魔力はあるけれど魔術の授業は取っていないし、魔術の話なんかされてもちんぷんかんぷんだわ」

「今日は第二外国語の勉強会ですから。それに、ミレー伯爵家のほうで薬学の教師をご用意してくださったそうです。よければわたしも薬学について先生のお話を伺いますわ」

「あら」


 コレット様はわたしをじっと見た。

「あなたはランドールと一緒にいたいんでしょう? わたしに気を遣わなくてもいいわよ」

「いえ、それは……! ランドール様のことは、その……」

 わたしは必死に考えた。


 ランドール様とわたしの関係を、コレット様は完全に誤解している。しかし、それなら何故わたしがランドール様と関わりを持とうとするのか、本当のことを説明するのは不可能だ。「ランドール様って本当はケルテス辺境伯の実の息子で、スキルを呪術で封印されてるんですよ~。封印解除のためにガブリエル様の力が必要なんで、それで今日は二人を引き合わせようと計画したんですよ~」……うん、無理だ。絶対言えない。


 ぐるぐる考え込むわたしを見て、コレット様はちょっと困ったような表情になった。

「……そうね、いくら好きでもランドールは平民だものね……。ランドールのことは学院にいる間だけに留めておいたほうがいいのかもしれないわね」

「え」

「あなたはユニーク魔術の使い手なんだし、王太子殿下やソレル魔法伯から求婚されているんだもの。……今は辛くても、きっと幸せになれるわ。大丈夫よ、マティルド」

「あ、はい……。ありがとうございます……?」

 よくわからないが、何故か励まされてしまった。


 ミレー伯爵家に到着すると、ガブリエル様だけでなくミレー伯爵家当主とその奥方まで並んでお出迎えしてくれた。

 え、ええ……、どうして? 当主とその奥方揃って出迎えるなんて、王族クラスの貴賓扱いなのでは?


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う~ん小学生にも劣るマティルドちゃん恋愛知能周りの察知能力以下。自分の悪くなる立場は解るけど恋愛話はまさに火に油、暗殺依頼やら陰の物に天こ盛りで狙われそうな、ガブ君から学園話を聞いてご両親にとって魔術…
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