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「わたしのために死んでちょうだい」と言われて殺されるモブ令嬢に転生しましたが、生き延びるため魔法騎士を目指します  作者: 倉本縞


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101/105

101.初めての贈り物


「マティルド嬢、久しぶりだね」

「え? あ、はい……」

 軍事訓練でもお会いしたし、そんなに久しぶりってわけでもないのでは。と思ったけど、とりあえずわたしは頷き、挨拶をした。


「王太子殿下におかれましては、ご機嫌うるわしく……」

「そういうのはいい」

 ジェラルド様は苦笑してわたしの言葉をさえぎった。


「君はいつまでたっても他人行儀というか、よそよそしいね」

 ふう、とため息をつくジェラルド様。

 ただため息をついただけなのに、なんか『憂愁に閉ざされた王子様』ってタイトルの絵画のようだ。ほんとに驚異の美貌だよ。


「も、申し訳ありません」

「……いや、いいんだ。謝ってほしいわけじゃない」

 ジェラルド様は困ったようにわたしを見下ろした。

「マティルド嬢、今日の予定は?」

「あ、はい。次は歴史のテストです。今日はそれで終了なので、昼食は摂らずにタウンハウスに戻るつもりです」

「そう……」


 ジェラルド様は少し考えるそぶりを見せたが、

「昼食に誘いたかったが、テスト期間中は勉強に集中したいだろうしね。……その代わり、テスト期間が明けたら、王宮に来てくれる?」

「王宮!?」

 わたしが飛び上がると、ジェラルド様はくすっと笑った。


「前に話しただろう、三日月斧を使った型を見せると」

 ああー、そうだった! 王宮には行きたくないけど、あの巨大な戦斧を使った型は見たいなあ……。

「大丈夫だよ、君を招待するのは王子宮の奥まったエリアだし、人払いをしておくから」

 それなら、まあ何とかなるかな?

「かしこまりました」

 ジェラルド様は嬉しそうに笑い、それから真顔に戻った。


「君にはいろいろと聞きたいこともあるしね。……師団長の求婚の件とか」

 うっ、とわたしは言葉に詰まった。


 それは……、ジェラルド様の婚約者になれなかった場合、ケルテス家から婚約を強要されないようにするため、必要な措置だったんだけど。

 でもジェラルド様は、必ずわたしを正式な婚約者にする、っておっしゃってたからなあ。自分の言葉を信じていないのか、って怒っていらっしゃるのかも。


「……自分がこんなに心の狭い男だとは思わなかったよ」

 ジェラルド様がつぶやくように言った。

「師団長と君がお揃いの指輪をはめ、君が師団長に手巾を渡したのを見た時は、はらわたが煮えくり返る思いだった。……ああ、そうそう、ユニーク魔術で生み出したという真紅のバラの花も師団長に贈ったんだってね」


 えっ!? なんでそんな事知ってるの!?

 ま、まさかランドール様の密告!?


 ジェラルド様の後ろに立つランドール様の表情は読めない。……いや、かすかに眉根が下がっているから……、困惑している? ランドール様がチクったわけではない、のかな?


「……ミレー伯爵が嬉々として自慢してくれたよ。マティルド嬢は、ユニーク魔術で生み出した真紅のバラを、愛の証として弟に捧げてくれた、と」

「そっ……、それは何というか、確かに事実は事実なのですが、解釈の違いと申しますか」

「ふうん。事実なんだ」

 ジェラルド様は目を細め、わたしをじっと見つめた。


 な、なんかよくわかんないけど、マズい気がする! 本能が危機を知らせている!

「あの、その、アレです! コレット様にバラを……、ユニーク魔術で創ったバラを贈ったのですが、せっかくなのでその場にいらした他の方々にも、瞳の色と同じバラを進呈しようと、そう思いまして!」

「他の方々?」

「あ、はい。ランドール様とガブリエル様にもバラの花を贈りました」

 ジェラルド様が、はーっとため息をついた。


「そう。……三人もの男性が、君からバラの花を贈られたんだね」

「いや、何ていうかそれは、成り行きと申しますか」

「君には、私という求婚者がいるのに。君だって、私の求婚を受け入れてくれたのに」

「それはですね……、あの、えーっと」

 ああもう、めんどくせー! なんて言ったら不敬だけど。

 でもなんか、ジェラルド様は拗ねているみたいだ。バラの花を他の人に贈ったから?


「……バラの花を『創造』する」

 色々と面倒くさくなったわたしは、右手を掲げてユニーク魔術を発動させた。

 ジェラルド様の瞳の色をイメージして、輝かしい青いバラの花を創り出す。


「どうぞ、ジェラルド様」

「……マティルド嬢」

 驚いたように目を丸くするジェラルド様に青いバラを渡す。


「殿下の瞳の色のバラです」

「………………」

 手にした青いバラをしげしげと見つめ、ジェラルド様はその香りをたしかめるように顔を寄せた。おおお、絵になりすぎて怖い! バラもジェラルド様も輝きすぎている!


「ありがとう。……ごめんね、こんな風に贈り物を強要するつもりじゃなくて、私はただ……」

 なんだか少し落ち込んでいるみたい? 別にバラ一本くらい、大した手間じゃないからいいのに。

「あの、お気に召していただけたでしょうか」

「……うん。すごく嬉しいよ。君から初めてもらった贈り物だ。一生大切にする」


 え! 困った、普通のバラよりは長持ちすると思うけど、さすがに一生は持たないと思う。たぶん一か月くらいで枯れちゃうんじゃないかな。


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