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第74話 ケモ耳

続きです。


2018/02/12 読みにくい箇所を修正しました。

 偉大なる先達はこう言っていた。


『獣人の女はな、感情が高ぶると、人間族みたいな姿に変身するんだぜ?』


 そして、その言葉は今! 証明されたのだ。



 俺の目の前のセシルの特徴だが……



 髪は黒で短髪。ベリーショートとか言うやつか?

 獣人形態の時と同様艶があり、凄く肌触りが良さそうだ。

 瞳の色は金で、キラキラと輝いている。

 少しふっくら目のピンクの唇は潤み、その柔らかさは触れずとも分かるほど。


 全体的にスラリとした印象だが、ただ痩せているだけではない。

 肌の下に、獣人特有なのか引き締まった筋肉があるのが分かる。


 胸は、うちのメンバーからしたら小ぶりな方だが、しっかりと服を押し返している。

 肌の張りを考えると、弾力があるタイプだな。


 お尻から足にかけて。

 ……素晴らしい。


 安産型の腰回りに、びっしりと筋肉が付き、無駄な贅肉などない。

 足も陸上選手の様な感じで、お尻から太もも、ふくらはぎへ曲線が芸術品の様だ。


 顔、身体も素晴らしいが、何より……








 ケモ耳と尻尾があるーーーーーーーーーーーーー!







 ヒャッフーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!





 ピコピコと前後左右に動き、時折ぺたんとなるケモ耳!


 しなったかと思えば、ピクっとその表情を変える尻尾!!


 変身時の驚きの表情をしながら、上記を考えるまでの所要時間は0.001秒 。

 自分でもどうかしてると思うほどに興奮していた。


「あの! あの……これは、そういう(・・・・)のじゃなくてですね、え、と……」


 恥ずかしさで人は死ねるんじゃないだろうかと思うほど、目の前のセシルさんは褐色の肌を真っ赤に染めてワタワタしている。


 攫われそうになった恐怖、間近で見る戦闘。そして気の緩み。

 そこに俺が触れたもんだから、獣人女性にとっては恥ずかしい人間形態、いや、ケモ耳形態になってしまったんだろうな。


 風呂上がりにバスタオル巻いて牛乳飲んでたら、急に開いた扉にビックリした拍子にバスタオルが落ちて全部見られた、とかそういう感じだ。


 ここは紳士的に振る舞わねばなるまい。


「緊張から解放されて気が緩んだんでしょう。とりあえず、座って落ち着きましょうか」

「は、はひ!」


 促されたはいいが、ギコギコとロボットの様に歩きながら進むセシルさん。

 あらら、右手と右足が一緒に出ちまってるよ。


 微笑ましい光景だな、と思って女性陣を見る。


「はぁ……」

 オードリーは額に手を置いて頭を振り、


「獣人さんおいでませ〜」

 アンジーは手に持った焼き鳥をパクつきながら空いている片手で手招きをし、


「どんどん増えるわねぇ〜。んー、複数で回さないとダメかしらぁ?」

 腕を組んで胸を持ち上げながら、ルイーズは何事か考えている。


「ひぃ、ふぅ、みぃ……6人目?」

 さらに指折り数えて首を傾げるステフ。

 え? 何が?


 俺が思っていたのとまるで違うんだが。


「流石エーリですね。今度は南地区ですか」

「しょうがないです。エーリ様ですから」

「次は西ぃ? 北ぁ? 中央はマチルダがいるから大変そうねぇ」

「うーん……ここまで来るともう才能のせいにしていいと思う」


 俺を置いていきながら、女性陣が話している。

 え? 何が?


 ま、まあいい。

 律儀にぴょこんと座っているセシルさんの所に行こう。


 まだ湯気が出そうな顔をしたケモ耳形態のセシルさん。


「エーリ、様。あの、ありがとうござい……ました。とても、お強いんですね」


 チラチラと俺を見ながら、たどたどしい言葉遣い。

『憧れの先輩と思いがけずお話し出来ることになった後輩の女の子』みたいな感じに見えるんだが、流石に上級受付がそうほいほい惚れたりはしないだろう。


 ランクだってSやSS、そもそも冒険者じゃなくても強い奴なんていっぱいいるだろうし、見た目だってただの可愛い男の子だ。まだ10歳だぞ。


「ありがとうございます。でもやはりAランクは伊達じゃないですね。結構危なかったです」

「とても、その様には……。あ、ゾラさんが所属している『極炎』には、ギルマスを通じて抗議させていただきますので、ご安心ください」


 久しぶりに仕事モードに入っているが、形態は変わらないか。


「ゾラさんはどうします?」


 あのままというのはマズイだろう。


「あ、大丈夫です。多分そろそろギルマs ドッカァーーーーーーーーン!!

「グヘェエエエエア!!」

「「「「「「あ……」」」」」」


 天井から何かが降ってきた。

 そして拘束していたゾラに直撃した。



「セシル! 大丈夫か!?」

「ギルマス!!」


 もうもうと上がる土煙の中、やたらデカイシルエットがセシルさんを呼ぶ。

 どうやらギルマスのご登場らしい。


 ……屋根破壊してっけど大丈夫なんだろうか。


 ズンズンと煙の中から出てきた大男は、上半身裸のガチムチだった。

 アイルビーバックなあの方のボディービル現役時代を想像して、金髪&金の胸毛をワッサー生やせばいい。

 一応手とか足とかは獣人ぽいぞ。


「あの〜、セシルさん? この方が……」

「あ、はい。当支部のギルドマスター、【金獅子】バルディエル・バルザック様です」

「やあ! 私がギルドマスター、バルディエル・バルザックだ!! 状況を見るに、ゾラはもう倒していた様だね? 礼を言おう! ありがとう!!!」


 いい笑顔で顔を近づけて来るな!

 歯が! 歯が白い!!


 バルディエル・バルザック ……長いな。

 バル……あ、うん。

 バルバルさんでいこう。


「あの、『虹の絆』リーダーのエーリと申します。Cランクです。お目にかかれて光栄です。バルバルさん」

「「バルバルさん?!」」


 オードリー、セシルさんのツッコミが入る。

 他の3人は納得顔である。


 当のバルバルさんは、変わらない笑顔を向けている。


「ははは! 好きに呼ぶがいい。それにしても、CランクがAランクのゾラを倒したか!」


 快活に笑っているのだが、表情が変わらない。

 これが、デフォだと?!


「まあ、ランクなんぞ飾りだからな。強い者は強い。今も昔も、それは変わらん!! はははははははは!!」


 悩みなさそう。

 話している最中も筋肉をピクピク動かしているしな。


 ……つっても、全く隙がないのが恐ろしいわ。

 ニコっと笑ってさ、線みたいな目なんだけど、よーく見ると冷静にじーっくり観察してんだよね。

 多分今攻撃したら吹っ飛ばされそう。


 ギルドの支配者(ギルドマスター)、か。


「ところで……セシル」

「はい、なんでしょう?」


 突然話しかけられてキョトンとするセシルさん。

 ピコピコのケモ耳と尻尾が素晴らしいぜ!


 だが、心なしかバルバルさんが動揺している様に見える。


「その……姿なんだが……」


 にこやかに冷や汗をかくという芸当を行うバルバルさん。

 まあ、先達の言葉を借りれば『感情が高ぶる』、言葉を選ばなければ『発情している』状態だからな。

 相当なフェロモンが出ているんだろうと思う。


 良かった、子どもで。

 ……なぜ俺はまだ子どもなんだぁあああああああ!!


 って考えると、やっぱりそう(・・)なんだろうか。


「え、と。あの! ………………はぃ」


 最後の方は消え入りそうな声だった。


「そ、そうか。……お前もついに見つけたか。だが、ライバルも多いようだが?」


 バルバルさんがうちの女性陣をちらりと見やる。


「あ、私は妹なんで、カウントに入れないでください。あと他に東地区のセシルさんの同期と、『ココア・ド・コ』の店主もそうです!」


 はい! と元気よく我が妹から爆弾発言が出た。


「なんと……!」

「ジャンヌまで?!」

「え?! マジ?!」


 うーん、女子会とかで聞いたんだろうか?

 セシルさん程わかりやすくないから、半信半疑だなぁ。

 ココアには気に入られているのは間違いないと思うけど……まだ会ったの1回だけだし。

 あ、配達のお礼行かなきゃ。

 それにしても、皆に好かれているのはわかってるけど、結婚とかそういうのは話してないな。

 俺の一人相撲で


『皆は俺と結婚したいの?』→ 『身体目当てです』『好きだけどぉ、そう言うんじゃないわねぇ』『ご主人様とはちょっと……』『お気に入りの冒険者ではありますが、考えたこともありません』『レシピがもらえればそれで』


 ……地獄だな。


 などと俺が考えていると、


「強い雄は複数の雌を妻に迎えることが出来る。が、それにはセシル、お前もそれ相応に強くあらねばならん」

「はい」


 真剣な表情の2人。

 これが上半身裸と発情してなければいいシーンなんだけど。


「そうだな、あそこで伸びているゾラくらいは倒せるようになれ。あれを圧倒したエーリの横に立つならば、それくらいは出来なければならんぞ! はははははははは!」

「大丈夫です。絶対に強くなりますから」


 そう言ったセシルさんは俺の方を向く。


「エーリ様」「はい」


「私はどうやらエーリ様を好きになってしまったようです。あなたの子が産みたいです!!」

「あ、はい……」


 子作り宣言からとは、なんか凄い恥ずかしいな。

 うちの女性陣ではオードリーが目を見開いている。

「(先越された……)」

 なんか呟いてるがよくわからん。


「ですが、今の私ではまだあなたの横に立つ資格がありません。受付嬢としては特級、強さも最低Aランク程度にはなります。もしそうなったら、私と結婚してくださいますか?」


 まさか人生初のプロポーズを女性から言われることになるとは思っていなかった。


「まだ10歳なので、結婚とかの話は初めてですが、私でよければ」

「あ、ありがとうがざいましゅ」


 ボン! という効果音が聞こえてきそうな状態になったセシルさん。

 ケモ耳と尻尾がピコピコブンブンしてとても可愛い。

 オードリーは今にも泣きそうな目をしている。

 ステフから『これ何とかしなさいよ』の目で見られた。わかってるよ。


「ただ……」

「ただ……、なんでしょう?」

「その時に既に()がいるかもしれませんが、それでもいいですか?」


 言い終わって女性陣を見る。

 オードリーはパァっと明るい表情になったし、ルイーズは珍しく目を逸らして顔を赤くしている。

 アンジーは……ちょっとだけほっぺたが赤い、かな?

 多分だけど、俺の一人相撲にならなそうで良かった。


「大丈夫です。エーリ様ほどの方なら、何人いても構いません。よろしくお願いします」

「はははは! うちの受付嬢を頼むぞ!」


 深々と頭を下げるセシルさんと、逆に上を向いて笑うバルバルさん。

 南地区で観光予定が、結婚の話まですることになっちゃったけど、何とか纏まったようだ。


 ……ケモ耳の嫁候補かぁ。

 1人ニヤつく俺であった。


書いていて、『こんなにホイホイ嫁候補が集まるかよ!』とか思いますが、まあエーリだしな、と作者も思うようにしています。


いつも見て下さってありがとうございます。

お気に召しましたらブクマ、評価をよろしくお願いいたします。

感想もお気軽にどうぞ。

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