第55話 対策会議再び
続きです。
ちょっと短いですがどうぞ。
たまに表現がえちちな方向に走るのは作者の仕様です。
2018/02/05 読みにくい箇所を修正しました。
浮気された後、改めて会議を開いた。
「お兄ちゃん、もう怒らないでよ。すっごく美味しかったんだもん!」
「エーリ、ごめんなさい。ちょっと手が止まらなくて」
「あの美味しさには抗えなかったのよぉ〜」
「あの美味しさで手を止めるのは無理です」
さあ皆、
美味し → 気持ちよ
手 → 腰
変換してもう一度読んでみよう。
俺の言っている意味がよくわかると思う。
……何気にアンジーが1番ヤバいな。
「わかったよ、(浮気者の)皆。この話はこれで終わりにしよう」
俺の精神が持たん。
「え、と。それで、武技の防ぎ方がわかったんだっけ?」
「ああ、実際見せてみるよ」
俺は改良したゲム魔法を纏う。
「透明なので見た目にはよくわかりませんね」
「だろうね。じゃあさわってみて」
オードリーが恐る恐る俺の肩に触れる。
「うわ!」
その手は俺の背中側に流れ、オードリーを抱きしめる形になった。
「すんすん。……はぁ〜。エーリ、急に手が持っていかれたんですが、理由を聞かせていただけますか?」
「……まず離れようか」
「チッ! はぁ〜い」
舌打ちって……。
「オードリー、どう感じた?」
「正直何が起こったのか……。でも、そうですね。以前より粘り? を感じました」
「ベタベタしてるってこと?」
「まあ半分正解。粘度を高めた。後半分は?」
「私にも触らせてぇ」
「いいよ」
ルイーズは指先でツンツンしたり、手のひらを触れるか触れないかの距離で動かしている。
「魔力を、動かしているのねぇ?」
「正解!」
「エーリ様、もっと詳しくお願いします」
「よろしい。では説明してあげよう。まず、アルベルトさんにやられた武技は、多分ライアンさんも使えたはずだ。じゃあなんであの時は使わなかったのか」
「……使えなかった?」
「流石ステフ。そう、多分使えなかった。じゃあアルベルトさんの時と何が違った?」
「じっとしているか、魔法を使っているか」
「そう、あの時俺はライアンさんの魔法の対抗すべく、ステフの周りのゲム魔法を補充し続けていた。そのせいで魔力が流れて、ナイフが刺せなかったんだと思う」
「……つまり、固まっている魔力や魔法は切ったり刺したりできても、流れている物にはそれが出来ないってことですか?」
「恐らくね。ただ、最初からその想定で、本気の斬撃だったら切られていたかもしれない。だから、粘度を上げた」
「エーリくん、ちょっと試してもい〜い?」
「ああ」
ルイーズはナイフを持ち、俺の肩めがけて突きを放った。
グルン!
ギュっ!
「ぁん」
「ちょっ! ズルい!」
「ズルいて。オードリーにもやったろ?」
「……もっと」
甘えん坊め。
「後でな。それで、ルイーズ。どうだった?」
「後で……ふふふふ」
「そうねぇ。多分これなら防げると思うけどぉ。もうちょっと改良できると思うわぁ」
「お、聞かせてくれ」
尚、オードリーは夢想中である。
「今は全体的に動かしているでしょう? それだと、一点突破型の攻撃には耐えられないと思うのよう。だ、か、らぁ……積層構造にしてみたらどうかしらぁ?」
「積層構造、か。やってみる」
一層、二層、三層、四層、五層……。
「ちょっとナイフを投げてくれ」
「私やるぅ! ……えい!」
ギギギギギギギギギギギン!
ナイフは効果音分細切れになった。
「よし、想定通りだ」
「ど、どうやったんですか?」
お帰り、オードリー。
「今のゲム魔法は、色んな方向に回転する刃がいっぱいの状態って感じかな。皆、触ってごらん?」
皆が手を触れてくる。
「まず一層はこんな感じの流れ」
グググ。
皆の手が右に流れる。
「次に二層。今度はこっち」
グググ。
今度は上。
「次はこっちでって感じに、全十層で色んな方向に魔力を流してる。そこに粘度が加わると、ああなる」
細切れのナイフを指差す。
「普段はこの上に、今までのぷるんとした層を被せてあげればいいかな? 大抵はあれでなんとかなると思うし」
「そうですね。触っても一層目があれなら、武技使いをおびき寄せられると思いますし」
「囮か。いいんじゃないかな」
「ふふふ。どんどん強くなっていくわねぇ」
「エーリ様、カッコいいです」
「ありがとう。……でも、アルベルトさんが武技の存在を教えてくれなかったら、この先どこかで、武技にやられていたんだなぁ、と思うと、背筋が凍るよ」
「そうですね。この縁に感謝しましょう」
皆で頷く。
本当に、いい人に巡り合えていると思う。
……多少変な人もいるけど。
その夜は他にもゲムの使い道や、連携の確認など、普段よりも熱がこもった議論になった。
終わった後は、皆でお風呂に入って寝た。
……生殺しはキツい。
いっそ殺せ!
はぁ。それにしても濃い1日だったな。
ジャンヌの名刺の威力にビックリして、ショコラと出会ってでっかい買い物をして、ショコラに気に入られて。プリンの話をしちゃって試作。チヨコフォンデュで皆に浮気されて……くそぅ。対策会議で熱い議論した後で生殺しか。
……全然冒険者してないな。
明日から数日は依頼をこなそう。
1週間後のプレゼントの日、どうなるか楽しみ……だ……。
俺はゆっくりと、夢の中に落ちていった。
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