表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

65/352

第54話 プリン

続きです。


プリンのお話です。


2018/02/05 読みにくい箇所を修正しました。

 うっかり前世の知識(プリン)の話をしてしまった。


 右耳を触る!


 非常事態!


『もしかして、前世のお菓子ですか?』


 そう! やばい、どうしよう……。


『作り方は知ってるの? お兄ちゃん』


 え? ああ、簡単だからな。


『じゃあなんとかするよ』


 マジか?! 頼んだ!


 オフ!


「エーリ様?」

「え? ああ、プリンですね。えーと……」

「お兄ちゃん、もしかして赤ちゃんの時の?」

「え?」


 何?


「お兄ちゃんは赤ちゃんの時、ミルク様の御力をその身に通していた時期があるんです」

「ほ、本当ですか?!」

「ええ、私達、ミルク村出身ですから」

「! あの有名な……」


 口に手を当て、知らずに有名人に接していた人、みたいな状態のショコラ。


「その時期はミルク様ともお話出来ていたようなので、時々私達が知らない知識を持っていたりして驚くんですよ。そのプリン、もそうなんでしょ?」


 妹よ……ナイスだ!


「そうなんだ。俺の中には普通にある知識だったから、当然あるものだと思ってしまったんだよ」

「なるほど。ミルク様からの知識、ですか。まるで初代のようですね」


 なんとか納得してくれたか?


「作ってみようk 「いいのですか?!」 ……ああ」

「新しい食べ物、ワクワクします」


 アンジーは安定だな。


 その後、厨房に入れてもらって、俺の言うレシピでプロに作ってもらった。

 俺が作ってもいいんだけど、聖域にズケズケ侵入などしたくないし。


 卵に動物の乳、チヨコレイトにお好みで生クリームや砂糖。

 これを混ぜて、漉しながら容器に入れ、蒸し器で蒸せば出来上がりだ。

 蒸す、という調理法がなかったらしく、フライパンに水を半分くらい入れてもらって、そこに置いて蓋をする形をとった。


 10分位で固まる。

 氷魔法の冷蔵庫で冷やせば……


「完成です」

「こ、これが、ミルク様の伝えた新たな甘味……」


 ゴクリ。


 喉の鳴る音がそこかしこから聞こえてくる。

 ハードルたっけぇな。


「エーリ様、どうぞ」

「え?」

「このレシピを伝えてくださったのはエーリ様なのですから、当然です」


 周りを見ても頷く人ばかりだ。


 いや、ステフとアンジーだけプリンを凝視している。


「では……」


 パクリ


 ……


 にへ


「……美味しいよ。皆さんもどうぞ」


「わーい!」


 ステフの声をきっかけに、あれよあれよと大量に作ったプリンがなくなっていく。


「ん〜〜〜〜! この滑らかな口当たり! ツルっとした喉越し! 濃厚で舌に残るチヨコの風味! あんな少ない材料と手間で、こ、こんな甘味が出来るだなんて!」

「お兄ちゃんこれ凄いよ! いくらでも入っちゃう!」

「はぁ……幸せ」

「長生き、してみるものねぇ。こんな美味しい甘味、食べたことがないわぁ」

「エーリ様、もっとください」


 プロのショコラティエ達も、唸りながら次々口に運んでいる。


「チヨコを入れなければ普通のプリンですし、動物の乳を紅茶や豆乳などに変えても色々な味を楽しめるみたいですよ。上にホイップした生クリームを乗せてもいいですし」


「それは、素晴らしいですね。どうしましょう、興奮が止まりません!」

「「「「右に同じ!」」」」


「配合や蒸す時間などを変えても違いが出るようですから、後はプロにお任せします」


 ギラっと目を輝かせたショコラティエ達が、あちこちで会議と試作品の作成に動き出す。

 どうやら上手くいったようだ。

 これで、この世界に美味しい甘味が次々と誕生するだろう。


「エーリ様、レシピの買い取りについてお話が」

「え? いらないよ?」

「なりません。この商品は絶対に売れます。そのレシピをタダで受け取るなど、商売人である私の矜持が許さないのです!」


 気持ちはわかるけどなぁ……。

 ……あ。


「じゃあもし自信作が出来たら、それを1番に食べられる権利、でどうかな?」

「そんなことで……」

「いやいや、皇帝陛下に求められても、俺の方が先ってことだよ? そう考えると結構勇気いるでしょ?」

「それは……確かに」


 想像したのか、唾を飲むショコラ。


「じゃあそれで」

「……それでももらいすぎな気がいたしますが、わかりました。当店の威信にかけて、最高のプリンをお作りいたします」

「頼んだよ」


「「「「「はいっ!」」」」」


 ショコラ含め、厨房の全員が頭を下げる。

 いやぁ〜楽しみだなぁ。


「エーリ様、このチョコ食べたいです」

「ん? これは?」


 そこには、チョコのかけらや、割れたチヨコレイトが入ったボウルが置いてあった。


「そちらは製作過程で出た商品にならないチヨコレイトです。私共のおやつになったりしています」


 ふーん……。


「これ、チヨコレイトフォンデュに出来ないかな?」

「それ何?!」


 ステフの目が輝く。

 ついでにショコラティエの目も輝く!


「あ、ミルク様の知識で……。溶かしたチヨコレイトに生クリームとか入れて、そこに一口サイズのパンや果物、他のお菓子とかをフォークで刺して、チヨコレイトを絡めて食べるんだ。鍋に入れて溶かしたり、どうやっているのかわからないけど、溶かしたチヨコレイトを滝のように流してそこに入れたり」


 じゅるる。


「エーリ様、早く、早くぅ」


 俺がやるのか?!


「あ、じゃあ鍋を 「こちらに」……ありがとう」


 ふつふつと鍋がいい匂いを出している。


「じゃあここに自分達で好きなものを入れて食べてみてよ」


 各々好きな物を絡めて食べていく。


「あ、2度づけは禁止ね。あとちゃんと刺しておかないと 「あっ」 こうなる」


 アンジーが刺したものをチヨコレイトの中に落としていた。


 チヨコソースの粘度が高かったか。

 あの滝のように流す装置のやつも、勢いに負けて落としたりしてたなぁ。


 ……


 ……


 なんだ?

 何かが引っかかる。


 ……粘度の高さ。


 ……流れ?


 ……


 ……あっ!



「わかった!!」

「ひう! あっ!」


 オードリーがビクッとして、果物を落としてしまった。


「ご、ごめん!」

「もう、どうしたんですか?」

「驚かさないでよ! もぐもぐ」

「何かあったのぉ? もきゅもきゅ」

「美味しいれふ。むぐむぐ」


「エーリ様?」


アレ(・・)の対策が、わかった!」


 メンバーがハッとする。


 俺は頷いてみせる。

 わかったぞ、武技の対策!


「皆、帰るぞ!」

「「「「えー〜?」」」」


「いや、あのね?」


「だって美味しすぎて止まらないんです」


「私達もうちょっと食べてから帰る」

「ちょっと今忙しいので」

「止まらないわぁ」

「エーリ様、また後で」


「なぁ……ちょ、ちょっと」


 もぐもぐ。


 もはやこちらも見ない。


「あの、エーリ様。皆様は私共でお送りいたしますので。お急ぎでしたら馬車をご用意いたしますが……?」


「いや……いいよ。あ、配達とプリン、お願いね……」


「はい!」


 今俺を見てくれるのはショコラだけだ。


「ありがとう、ショコラ。君が居てくれて良かった……」

「エーリ様……。私もそう思っております。一緒ですね」


 ニコッと笑ったその顔は後ろでチヨコレイトを貪り食っている奴らと違って眩しかった。




 そして俺は、一人寂しく家に帰ったのだった。




 彼女達は3時間ほど遅れて帰ってきた。

 チヨコレイトの匂いをプンプンさせながら……。


 何故だろう?

 浮気されたような気持ちになるのは。


いつも見てくださってありがとうございます!


評価、ブクマしてくださってありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ