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第53話 計画

続きです。


エーリの壮大?な計画が明らかに!


2018/02/05 読みにくい箇所を修正しました。

 俺はある考えのため、まず『ミルク』を食べてみることにした。

 武器を知らなければ作戦は立てられない。


「じゃあまずこれをください。皆、食べてみよう」

「「「「はーい」」」」

「ありがとうございます。では用意を」

「はい」


「こちらへどうぞ」


 恐らくVIPルームであろう部屋に通される。

 うわ、椅子がふっかふかだ。


 待っていると、目の前に小さな『ミルク』がやってきた。


「どうぞ。お召し上がりください」


「では」


「「「「「いただきます」」」」」


 パク


 ……


 ……


「ふふ」

「ふふふふ」

「ふ、ふふふふふふふふ」

「「「「「美味しい!」」」」」


 本当に美味しいものを食べると、笑いが起きる。


 ココアさんも微笑んでいる。


「ありがとうございます。その言葉が、私共の喜びです」


 うん、これなら……。


「なあオードリー。ギルドの受付って何人くらいいるんだ?」

「え? そう、ですね。東地区支部だと確か……上級が60名、中級が140名。見習いがその4倍ほどだったと」


 総勢1000名か。


「中央は?」

「……正直何とも。支部のようなカウンターと、特殊依頼用や高ランク専用の、マチルダさん達特級受付が担当するカウンターもありますから。何人いるかは正直……」


「50名ですよ」

「え?」


 声の主はココアさんだった。


「中央ギルドは50名の受付嬢が在籍しています。見習いはいません。各支部から引き抜いた上級以上が在籍しておりますから。特級が15名、上級が35名、ですね」

「ありがとうございます」


 情報通はこういう時に助かる。

 意外と少ないんだな。

 そもそも案件自体が少ないのか?


「エーリ、受付嬢の数を聞いてどうするつもりですか? 」

「ん? 全員に『ミルク』、贈ろうと思って」


「お兄ちゃん?!」

「こらステフ、店内で騒ぐな」

「だって……」


 右耳を触る。


『相当な金額になるじゃない!』


 だが見返りも大きい筈だ。

 考えてもみろ。ギルドの受付嬢は情報の宝庫だ。彼女達を味方につけておいて損なんて全くない。

 幸運なことに既にジャンヌさん、マチルダさんという入り口は作った。

 ここで他の受付嬢の好感が上がれば、今後の冒険、養成所での生活に役に立つと思わないか?


 少なくとも、東部と中央に強力な味方ができる。

 楔が打てれば、あとは拡げるだけさ。


 ……


 ……


『お兄ちゃん』


 ん?


『大好き』


 ふふ。

『ふふふ』


 はぁーはっはっはっはっはっは!

『はぁーはっはっはっはっはっは!』


『この兄妹は……』

『磨きがかかってきたわねぇ』

『黒い宝石のようです』


 よし、オフで。


「ではまず、東地区の受付嬢の方、上級の方は5個入り、中級の方には3個入りを。見習いの方にはミニを1つに金貨1枚程であちらのチヨコレイトを見繕って詰め合わせで。休憩時間に摘めるように、詰め合わせを……予算は金貨600枚ほどでお願いします。 中央ギルドの受付嬢の方には、上級は5個入りと金貨2枚の詰め合わせで、特級の方には……10個入りでお願いします。こちらは金貨500枚で詰め合わせをお願いします」


 Cランクでは普通買わない量を注文したのだが、ココアさんは顔色ひとつ変えずにメモを取り、計算している。

 流石高級店の店主だけある。

 恐らく在庫や材料の計算も行なっているに違いない。


「エーリ様、なぜ差があるのでしょう?」

「ん? まあ、『面子』ってやつだよ。簡単に言えば、見習いよりも中級が、中級よりも上級の方がいっぱい頑張ってるんだから、それに見合った物を贈らないと、『私の方が頑張ってるのに、なんで同じ評価なの?』って不満が出るんだ。それは地区支部とエリートの集まりの中央も一緒でさ。そこは差をつけてあげた方が上手くいくんだよ」

「めんどくさいですね」

「そう、めんどくさいんだ」


 やがて


「ありがとうございます。総額、金貨3815枚のお買い上げですが、お支払いはどうなさいますか?」


 10歳の子どもが払える金額ではなくなってしまったが、必要経費だ。


「金貨はないのですが、ルイーズ、アレ(・・)を。()で」

「? ……! はぁ〜い」


 ルイーズが胸元からある物を取り出す。


 ゴトン


「これは……!」


 ココアさんの目が見開かれる。

 ようやく驚かすことに成功したな。


 ルイーズが出したのは、全属性分の魔石だった。

 道中コソコソ作っておいたものである。

 大きさは握り拳位だろうか?

 それが全属性、14種類分ある。

 ……ルイーズの胸も異空間に繋がってるんじゃないか?


「これほど良質な魔石を、全属性分……。失礼ですが、これをどこで?」

「こちらのルイーズは、魔石士なんです」

「腕はいいと自負しているわぁ。魔力の調達経路はお話し出来ませんけどぉ」

「そうでしたか。調達経路を明かさないのは当然でございます。申し訳ございません、口が滑りました」


 ココアさんが深々と頭を下げる。

 後ろに控える店員さんが口を開けて驚いている。

 ……余程のことなんだろうか。


「頭をあげてください。気にしていませんよ。なあ?」

「ええ、ぜぇ〜んぜん」


「ありがとうございます」

「それで、この魔石で足りるでしょうか?」


 足りなかったらもう一回魔石作って、後で持ってこよう。


「寧ろこちらがお支払いしなければならない程です。5年は魔力に困らないでしょう。この品質ですと、最低でも1つ金貨300枚、レア属性は金貨800以上……少なく見積もっても金貨10000枚ほどの価値があるかと思われますが……」


「そんなにですか? ではそれを代金の代わりにしてください。残った金額は、今後同じような買い物をした際の代金の前払い、ということでどうでしょうか?」

「今後も同じような、ですか?」

「はい。北部、西部、南部が残っていますから」


 ニッコリ。


「え?」


「こんなに美味しいもの、皆で食べた方がいいじゃないですか」


 ココアさんがキョトンとしている。

 そして、目が輝き、とても嬉しそうな顔になった。


「あの、何か変なこと言いましたか?」

「いいえ。エーリ様、この商品がなぜ『ミルク』の名前を許されているかご存知ですか?」


 首を振る。


「初代が、ミルク様から直接許可を得たそうです。その時に言われたらしいのですよ」



「『こんなに美味しいもの、皆で食べた方がいいじゃない』と。自分の名前が付いているなら、皆に食べてもらえると思ったそうですよ。初代の残した日記に、そう書かれていました」


 へぇ。

 なんか嬉しいな。ミルクと同じ考えだったか。


「ご注文、確かに承りました。当店の看板にかけまして、全ての受付嬢に届けさせていただきます」

「よろしくお願いします、ココアさん」


 手を差し出す。


 ココアさんは俺の手を両手で握り、若干頬を赤らめていた。


「私のことは『ショコラ』とお呼びくださいませ、エーリ様」

「え? あ、じゃあショコラさん」「『ショコラ』と」


 あれぇ?


「……頼むよ、ショコラ」

「はいっ!」


 恋する乙女が、そこにいた……。


 なぜこうなった?!


 右耳を触る。


 なんで?!


『まぁた落としてるよ……』

『エーリ。節操ないですよ』

『【女帝】を落とすくらいだものぉ。ココアさんなら余裕よねぇ?』

『エーリ様は女性好きですね』


 待て待て。

 ショコラを落とすつもりなんてなかったぞ?!


『もうショコラで定着させてるよ』

『流石[たらし]ですね』

『二つ名に恥じない働きだわぁ』

『エーリ様はたらしです』


 お前ら……。


 オフ!


「そ、そうだ。ショコラ」

「はい!」


「東地区支部と中央に贈る品の中で、メッセージカードを一つずつ入れて欲しいんだ」

「かしこまりました。どなた宛で、メッセージはどのように?」


 やっと仕事モードに戻ってくれた。


「東地区支部はジャンヌ・メイガード上級受付に『感謝を込めて 虹の絆一同』。中央はマチルダ・メイガード特級受付に『帝都のお母様へ エーリ&ステフ』で」


 サラサラとペンを走らせる。


「承知いたしました。ご両名に確かにお渡しします」


 キリっとした表情を見せるショコラ。

 仕事が出来る美人は素敵だね。


 その後、配達時期について話し合い、材料や職人の関係から、1週間後ということになった。

 相当な数をお願いしたんだから当たり前だ。


「これでご注文は全てでしょうか?」


「まだあるよ。元々は皆で美味しいものを食べるのが目的だったから、何かチヨコレイトを使ったお菓子が欲しいな。チヨコレイトを使った、ケーキやプリンはない?」


「「「「「え?」」」」」


「え? 何?」


プリン(・・・)、とは何でしょうか?」

「ケーキは知ってるけど……」

「はい。チヨコを使ったケーキはございます。ですが、プリンというのは聞いたことがございません」

「エーリ様、それ(・・)なんですか?」



 ヤバい……前世の知識、出しちゃった。


エーリがどんどんまったりから離れていく・・・。

でも、自分の意思で行動出来るのは良いですよね。


ユニークな方が4,000人を超えました!

マジか・・・。もう、ちょっとした町の人口くらいありますよ。


見てくださった全ての方に感謝を捧げます!

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