表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

59/352

第48話 夕食会

続きです。


楽しい夕食会です。


2018/02/03 読みにくい箇所を修正しました。

 夕食の準備が整う間、少し自分たちのことを話した。

 ミルク村の【神域】の話は帝都まで来ている様で、とても興味深く聞いてくれた。


「私はそのご縁でエーリと共に冒険者などしております」

「いやいや、縁というものはとても面白いものだねぇ。こうして私とも繋いでくれた」

「私達もこのご縁に感謝しております」


「父さん。夕食の準備が整いました」

「ああ。ありがとうジャンヌ。飲み物は大丈夫かな? では、この出会いに!」

「「「「「「出会いに!」」」」」」


 グラスを掲げ、夕食会がスタートした。


「……でね。この子は昔からお転婆娘で、ギルドで見せる様な、あんな静かな人間じゃなかったんだよ」

「父さん! ……もう、やめてって言ってるでしょう? せっかく頑張ってきたのに。それに、仕事で素を出していたら受付なんて出来ないのよ」


 ジャンヌはアルベルトさんがいるからだろう。

 普段の『仕事ができる才女』って感じではなく、普通の女の子って感じだ。


「へぇ〜。意外ですね。ギルドでの仕事に打ち込むジャンヌさんも素敵ですが、こういうリラックスしたジャンヌさんも素敵だと思いますよ」

「エーリ様。ご冗談を……」

「ん? お前何を赤くなっているんだ? ははは。気に入った相手に褒められるとモジモジするのは変わらないな!」

「父さぁ〜ん」


 ジャンヌは赤くなってモジモジして、アルさんはお酒も入って上機嫌だ。

 こちら側もオードリーとルイーズはお酒を飲んでいるため、いつもより饒舌になっている。


「そうそう、エーリくんは冒険者だそうだが、目的はあるのかね?」

「ええ。世界を回って、色々な種族に会いに行きたいんです」

「ほほう。だがそれは冒険者でなくともできるのではないかな?」


 アルベルトさんは顎に手を当て、首を傾げている。


「子ども心に、冒険者に惹かれるものがあって、そちらはただの憧れなのですが。私は過分な力を与えられたようですので、この力をもっと色々な存在に使えないかと思ったというのもあります」


「ほう。確かに、冒険者ならば種族関係なく依頼をこなせるしね。依頼という形をとれば、両者気兼ねなく助け、助けられるということが出来る。いや、その歳にして随分考えているんだね」

「恐れ入ります」


 後半は今思いつきました。


「アルおじ様は昔どんなことをなさっていたのですか?」


 白ステフが目を輝かせている。


「確かに、これだけの調度品や家具を集めておられるというのは、一朝一夕で出来るものではないですよね。アルベルト様の過去に私も興味があります」

「所作も洗練されておりますわよねぇ。失礼でなければお聞かせ願えないかしらぁ?」


 俺も気になってたんだよなぁ。

 一般市民にしては俺でもわかる気品? みたいなのを感じるし、部屋に置いてある家具も、どこかの部族? みたいな物から西洋、東洋系の物もあるし。


「ははは。こんな老骨の話、退屈じゃないかね?」

「いいえ。ぜひお聞かせください」

「エーリ様、父は元冒険者です」

「「「「「え?」」」」」


「ジャンヌ〜〜。父さんの楽しみを奪わないでおくれ……」


 ガックリとうなだれたアルベルトさん。

 これは、あれか。

 ドッキリ潰しだな。


「父さんの冒険者話は長いでしょ?! 下手すりゃ朝までかかるじゃない!」


 うわぁ……。

 昔話中毒者か。


「いいじゃないか! 最近じゃ聞いてくれる人が居ないんだから。お前や母さんや兄さんはハイハイ言って聞いてくれないし……」

「そりゃお酒飲めばおんなじ話を何度もするし、もうスルーよ」


 アルベルトさんも結構普通の人なんだなぁ。


「ア、アルベルトさんは冒険者だから、世界を色々と回ったのではないですか? 調度品を見ると色々な国のものが混じっているようですし」


 しょうがないから助け舟を出そう。


「おお、そうなんだよ! 私も昔頑張ってねぇ。色々な国に出入りさせてもらったから、目はその時肥えたんだ」

「一応、Sランクだったらしいですよ。今はこんなですけど」

「失礼な! お前の母さんともそれが縁で結婚できたんだぞ?!」

「はいはい、それも何度も聞きました」


「Sランク?」


 俺は右耳を触った(・・・・・・)


『Sランクって全冒険者のうち、どれくらいの割合でいるの?』

『大体1%くらいでしょうか。そのクラスともなると、主要な国のギルド長が審査して、許可されなければなれないので、相当な腕だと思われます』

『今はあんなだけどぉ、衰えたかどうかはわからないわねぇ』

『お兄ちゃんと同じで、人は見かけによらないね』

『ご飯美味しいです』

『よし、一旦終わろう』

『『『『はい』』』』


「ジャンヌさんのお母様と言うのは……?」


「ん? ああ、すまないね、放ったらかしにしてしまって。ジャンヌの母、私の愛するお嫁さんは帝国中央ギルドの特級受付なんだよ。マチルダと言う名前でね。そりゃあもう美人なんだよ」

「母が特級なので、父にはまだまだ甘いとよく言われるんです」


 あー、だからルイーズの紹介の時にあんなことを言ってたのか。


「ではお兄様ももしかして……?」


「はい。冒険者をしております。兄もその、Sランクです」

「それは凄いですね!」


 1%が大安売りだな。


「まあ、あれもまだまだだけどね。それはそうと、エーリくんには聞きたいことがあったんだよ」

「なんでしょうか?」


 アルベルトさんはにっこり微笑む。

 思わずこちらも笑ってしまう。





「君の部屋に満ちていた、無属性の……魔法? について聞かせてくれるかい?」





 場に緊張が走った。





「え?」

「とぼけなくてもいいよ。 部屋に充満していたし、今も君達を覆っているだろう? 無属性の魔力なら何度か見たことはあるが、あれはどう見ても、魔法だ」


 バレてるな。


 右耳を掻く。


『どうする?』

『現状何か仕掛けてくるわけでもないようですが……』

『流石は元Sランクってことかしらぁ』

『これからは何が起きてもいいようにした方がいいよ、お兄ちゃん』

『ご飯が美味しいです』


『わかった。敵ではないと思いたいけど。これからは油断なく行こう。オンのままでいい』

『『『『はい』』』』


「いつから気づいていたんですか?」


「エーリくん達があの部屋で何かした時からだよ。私が管理している物件には、建物に何かあった時のための魔法がかけられていてね。あの部屋で異常に高密度の魔力を感知したから、見に行ってみたんだ」


 筋は通っている、か?

『そう言う魔法も確かにあります』


「行ってみたら部屋に圧力のような何かを感じてね。手を当ててみると、なんと無属性の魔力! しかも魔法にまでなっているじゃないか! これは是非とも話を聞きたかったんだよ」


 にこやかに話すアルベルトさんには、敵意は感じない。

 だがなんとなく、油断してはならない、と思った。


「あれは【神域】が貼られた頃に、赤ちゃんだった私が無意識に作ったものらしいです。両親が昔話してくれました。物心ついた頃から使えたので、話と言われましてもなかなか……」


「ほう。なるほど。全属性の【神域】に触れ、赤ちゃんだったエーリくんに影響を与えたのかもしれないね。なるほどなるほど」


 これ、絶対納得してないよな。

『してないと思う』

『何か値踏みされているような気がしますね』

『雲行きが怪しくなってきたわぁ』


「ジャンヌさん。おかわりください」

「え? あ、はい。今お持ちしますね?」


 ジャンヌがアンジーの皿を持って部屋を後にする。


「ところで、私がSランク冒険者だったと言うのは聞いたね?」

「はい」

「私も色々な呼ばれ方をしたものだよ。その中で特に気に入ったものがあってね」

「どんな二つ名なんですか?」


 ……来るぞ。














「【確殺(かくさつ)】のアルベルト」




 ツン




「!!」




 目の前からアルベルトさんが消えたかと思った瞬間、ナイフが首元に当てられていた。

 ……ゲム魔法を貫通してやがる。



「エー「動かないでもらえるかな?」……!!」



 殺気を孕んだ優しい微笑みを向けられ、オードリーの動きが止まる。



「……今のはどうやったんです?」

「自分で考えたまえ。冒険者だろう? ……これは、君への激励と捉えてもらいたい」

「激励?」


 アルベルトさんが席に戻り、ナイフを置いた。


「私もSランクに上がるまでに色々あった……。仲間が犠牲になったことも、1度や2度ではない。大抵の場合、何をされたかわからないまま、死なせてしまうことが多かったんだ」


 テーブルをぼんやり見つめるそのめには、確かな悲しみが映っていた。


「考えなさい。力があっても死ぬ時はある。想定できる全て、想定できない全てに備えるんだ。君と、君の仲間に、それが出来ることを祈っているよ」


 ……どうやら敵ではなさそうだけど、激励通り警戒は最大レベルで行こう。

 これを続けていけば、今回のようなことは起きにくくなるはずだ。


「はい。ありがとうございます。それにしても、【確殺】、ですか。とんでもないですね」

「まあ元、だけどね。今は息子が名乗っているよ。私とは方法が違う(・・・・・)がね」


 とんでもない家族だな。


『エーリ、すみません……』


 オードリーが気に病む必要はないよ。

 正直、ゲムが通じないとは思わなかった。

 この教訓はありがたく受け取っておこう。


『はい……』


『私はとりあえず、ジャンヌさんやご家族経由で弱み握っておくね』


 頼もしいな妹よ。


『元、でこれだけ凄いんだもの。利用しない手はないよ。人脈も凄いだろうし』


 流石ステフだな。頼んだ。


『私はゲムちゃんを貫通した方法について、考察しておくわぁ』


 ああ、後で皆の意見も取り入れよう。


『あの人、優しいから大丈夫だと思います』


 ……アンジーは、そう言うのがわかるのか?


『はい。何となく』


 そうか。

 じゃあこれから見た目と中身が違う奴がいたら、教えてくれ。


『はい』


「アンジェリーナさんお待たせ……って、何かあったの?」


 ジャンヌが戻ってきたが、何となく場の雰囲気が違うことに気づいたようだ。


「いえ、アルベルトさんの昔話で、お仲間を亡くされた話をお聞きしまして」

「ああ。エーリくん達にはそう言う思いはしてほしくなくてね」

「もう! 夕食会で話すことじゃないでしょう」

「すまん……」


 ありがとうジャンヌさん。

 場に明るさが戻ってきたよ。


「あれ? 母さんと兄さんはまだ?」

「そろそろだと思うんだが」


 全員来るの?!


『……まだ一悶着ありそうねぇ』

『人脈、弱み……ふふふふふ』


 落ち着けステフ……。



 はあ……。

 まだまだ夜は長そうだな。




続けていられるのも読んでくださる皆様のおかげです!


ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ