第41話 魔法鞄の秘密
お待たせしました。続きです。
魔法鞄、ほしいですね。
2018/01/17 読みにくい箇所を修正しました。
魔法鞄に手を入れたら噛まれた?!
どういうこと?!
すぐに手を引っ込める!
よく見たらちょっと指先から血が出てる!?
「えぇ?! ちょっ! ?? えぇえ?!」
頭が混乱する!
なんで? どうして?!
「どどど、どういうことですか?!」
はぁ、とため息を吐くノーマンさん。
「お客様、レディに対してあのような行いをすれば、相応の代償を払わねばなりません」
「そうよ、エーリ。『エリザベータ』ちゃんに謝って!」
「へ?」
ノーマンさんもオードリーも頷いている。
「ご、ごめんなさい……」
もぞ。
よくわからず謝ると、『エリザベータ』ちゃんが……動いた?!
「あの、動いたように見えたんです、が?」
「当たり前でございましょう? 魔法鞄でございますから」
「うんうん」
「魔法鞄ですよね? 鞄が動くわけないと思うんですが……?」
ニヤァ……。
え? なんか地雷踏んだ?
「何を仰います」
コツコツ。
俺の後ろに来た。
「 魔法鞄は」
右耳! ひぃ!
「生物でございますよ?」
左耳! ヒィ!
……
「え?」
目が合う。
ニカっと笑ったその顔は、してやったりの表情だった。
「はぁ……?」
「おや、その顔は信じておりませんね? さあ我が娘達よ! 真実をお客様にお見せしなさい!」
もぞ。
もぞもぞもぞもぞ!
ピカ! 「うわ!」
急な光に目を閉じた。
ゆっくりと目を開けると、そこには……。
「「「「「いらっしゃいませ! お客様!!」」」」」
年齢、体型、その他諸々が全て違う、美女、美少女、美幼女が立っていた。
ストン……
あまりの光景に腰が抜ける。
「えええぇぇぇえええええええええええええええええええええ!?」
湧き上がる驚愕!
「ま、魔法鞄て、生きてるの?!」
「「「「「「あははははははははははははは!!」」」」」
その場にいる全員(俺以外)が、爆笑している。
ノーマンさんなんて指差して腹抱えてる!
魔法鞄達? もハイタッチやピースまでして、まるで『イタズラ大成功!』の様相だ。
ん? イタズラ? んんん?
バッ!
「オードリー! お前知ってたな!?」
「プフッ! あははははははは! ごめん、エーリきゅん! 魔法鞄が生きてるって知らない人に、こうやってドッキリを仕掛けて驚かす事が、この世界の人間の楽しみなの!」
何じゃそりゃ!!
「いやぁ〜、私が店主を務めて早20年になりますが、ここまで驚いていただいたお客様はエーリ様が初めてでございます。娘達も喜んでおりますよ」
「あなた最高!」「えええええええ!? だって! きゃははははははは!」「ヒー! ヒー!」
「そりゃ何よりで……。あの、『エリザベータ』さんは?」
「私よ」
ズイっと前に出て来たのは、金髪ツインテールお嬢様風の美少女だった。
「あの、さっきはすみませんでした」
「ちゃんと謝ってくれたし、すっごく驚いてくれたから許すわ」
「それはどうも」
「でも、あなたとは相性が良くないみたい。容量も、悔しいけど私じゃ荷が重いわ」
「そんなに、ですか?」
おおう。ノーマンさん。
「ええ、多分『ジョアンナ』でも無理だと思うわ。そうでしょ?」
「……はい。恐らく、容量は『あの子』ぐらいじゃないと無理かと」
「なんと! ……ついに現れたかもしれませんね。まあ、相性次第ですが」
ジョアンナさんは黒髪ロングのスレンダー美人さんだった。
「あの、相性って何ですか?」
置いてきぼりにしないで。
「これは失礼を。相性というのは主に2つございまして、1つは今出た容量。これは魔力量との相性でございます。魔法鞄達には魔力も入れる事ができますので、最低でも1回分位は入らないとダメなのでございます」
「なるほど……。2つ目は何でしょう?」
「それは、魔力の質、と申しましょうか。これに関しては本当に相性としか言いようがありません。娘達は本能でこの人だ、と感じるそうでございます」
へぇ〜。
「じゃあお金があっても、相性が悪ければ買っても意味ないんですね」
「左様です。……ジョアンナ、『アンジェリーナ』をここへ」
「はい、ご主人様」
少しして、ジョアンナさんが鞄を持ってやってきた。
「この子はアンジェリーナ。私など足下にも及ばない容量を持っていますが、どんな相手とも合わなかった……。魔力傾向も全く分からない。この子の相手はいないのではないかと心配しているのです」
1ブロック丸々入るジョアンナさんが足下にも及ばない……。
「エーリ様、この子の中に手を、入れていただけませんか?」
「え、と。噛まないですか?」
「ジョアンナの時のように、ゆっくりであれば大丈夫ですよ」
ゴク……。
そっと触れてみる。ちょっとビクっとしたな。
「では……。失礼しまーす」
そっと異空間に手を入れていく。
「あれ?」
「どうしたの?」とオードリー。
「いや、ざわっとした感じがないな、と思って」
「?! エーリ様、魔力を中で出していただけませんか? 全力でお願いいたします! 漏れる可能性のある魔力光は見ないようにいたしますので!」
ノーマンさんの言葉で、魔法鞄達は一斉に後ろを向いた。
祈るような仕草をしている子もいる。
オードリーを見ると、真剣な表情で頷いていた。
「じゃあ、入れるよ」
アンジェリーナに語りかけ、ゆっくりと魔力を入れていく。
虹の魔力を。
するすると魔力が入っていく。
この様子だと全然余裕だな。
「全部中に出すぞ? いいか?」
その問いかけに、アンジェリーナが動く。
「よし。じゃあ、全部だ。いくぞ」
思えば、最近は一度に全力を出す機会がなかった気がするな。
久しぶりの全力に躊躇しそうになるが、多分この子は大丈夫だ。
出力最大……全属性魔力、解放!!
自分の中の魔力を、入れた手に集中させる!
グングン吸われているが、まだ俺の容量も余裕だ!
「まだまだいくぞ! おらぁ!」
密度、質、両方の最高を出し続ける。
自分の力を受け止めてくれる存在というのは、こんなにも嬉しいものだったんだな。
やがて……
「はぁ、はぁ。これが今の俺の全力だ……」ガクッ!
「エーリきゅん!」
魔力の出し過ぎで目眩と頭痛が酷い。
オードリーが肩を貸してくれなければ、大の字で横たわっているだろう。
「どうだったんでしょう……」
ノーマンさんの顔を見る。
正真正銘の全力を出した。
「分かりません。全て受け入れたということは、少なくとも相性は悪くないはずです。後はアンジェリーナがどんな反応をするかにかかっております……」
もぞ。
「ご主人様! アンジェリーナが!」
もぞもぞ。
ピカ!
光が収まったその場には、
「……アンジェリーナ、か?」
「うん。そう」
アンジェリーナと思しき、おっとりとした美少女が立っていた。
薄いピンク色の髪でふわっとした髪質、髪型はゆるふわセミロング。
垂れ目がちで、少しふっくらとした印象だが、太っているわけではない。
庇護感がそそられる印象だ。
話し方もおっとりしている。
「あなたが、あの魔力の人?」
「ああ、そうだ」
そう言うと、微笑んでくれた。
「私の好きな魔力だった。あなたがご主人様だと、嬉しい」
「俺もアンジェリーナに受け止めてもらえて、また強くなれた気がする。君が来てくれれば、嬉しい」
どうやら、お互いのフィーリングはバッチリだったようだ。
「おお! ようやく……ようやく見つかったんだね、アンジェリーナ!」
「ノーマン。うん、見つかった。あなたの一族には、迷惑、いっぱいかけた。ごめんなさい」
「何を言うのです! 魔法鞄共に生きるのは、私達が好きでやっていることです。何も謝る必要などないのですよ!」
ノーマンさんは笑顔でアンジェリーナに語りかける。
アンジェリーナもそれを受けて笑顔になった。
「では、契約に移りましょう」
「あの、お金は……」
「そのようなもの、必要ございません。建前のようなものでございますから。……強いて言えば、この子が満足出来るように、色々な物をいっぱい入れてあげてください」
「分かりました。俺は世界を回るつもりですから、多種多用なものを沢山詰め込んであげます」
「楽しみ……」
そして、お互いの指の先に傷をつけ、それを合わせて契約とした。
「これでアンジェリーナはエーリ様と共にあります。どうかこの子を、末永くよろしくお願いいたします」
ノーマンさん、そして魔法鞄達が深々と頭を下げる。
「みんな……行ってきます」
ペコっとアンジェリーナが頭を下げた。
「行ってらっしゃい、アンジェリーナ」
ノーマンさんは旅立つ娘に優しく声をかける。
「アンジェリーナをお預かりします。大切にしますので、ご安心ください」
「ええ、お願いいたします」
「行こうか、オードリー、アンジェリーナ」
「はい」「うん。ご主人様」
こうして、俺は容量不明の魔法鞄、アンジェリーナを手に入れた。
100pt達成してました!
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