第39話 冒険者エーリ
続きです。
今日はお夜の投稿ができなくなったため、急遽この時間に投稿させていただきます。
2018/01/06 読みにくい箇所を修正しました。
ギルドに入ると、その大きさに驚いた。
ロビーがとても広い。
大病院のそれを思い浮かべるとちょうどいいかもしれない。
「御用をお聞きしますので、まずはこちらにお並びくださーい!」
ど真ん中のカウンターでは受付の女性達が応対している。
叫んでいるのは見習いのようだ。
俺達も列に並んで待つことにした。
「凄いんだな、ギルドって」
「ええ、何でも屋みたいなものですしね。私も初めて来た時は慌てましたよ」
オードリーが昔を思い出したのか、眉間に皺を寄せて答えてくれる。
「オードリーの場合一人だったろうしな。凄いよ」
「ふふ。もっと褒めてください」
「エラいエラい」
ナデナデ。
「えへへー」
……こんなチョロいのは、厳しい家庭環境の影響だろうか……。
「次の方!」
「おっと」
遊んでいると順番が来たようだ。
「ご用件はなんでしょう?」
メガネをかけた美人さんが聞いてくる。
やっぱギルドって顔採用なの?
「ご用件はないのですか?」
「あ、すみません。え、と。痴漢の引き渡しと冒険者登録したいんですが」
「はい。まずは引き渡しですね。担当者を呼びますので少々お待ちください」
お姉さんがボタンを押すと、屈強な男性が登場し、痴漢を引き取ってくれる。
オードリーが事情を説明し、男達も認めたため、彼らはそのまま連れられて行った。
登録後に実績になるそうだ。
こっちはこれでよし。
「後は登録ですね。何か身分を証明できるものはお持ちですか?」
え? 誰でもウェルカムじゃないの?
んー、じゃあ、
「これでも、大丈夫でしょうか?」
俺は村長がくれた証明書を渡した。
「ありがとうございます。『ピッ』……ミルク村、エーリ様ですね。……え? あ、いえ、失礼しました。エーリ様はCランクからスタート出来ますが、それで宜しいですか?」
「えーと、出来ればランクがどうとかから説明していただきたいのですが」
え? とか言われたら気になるじゃないのさ。
「かしこまりました。それではご説明いたします。ランクはSS、S、A〜Gまでとなっておりまして、身分保障のない方は実力がどうあれGからのスタートです。身分が保障されている方は、保障された方の責任の元、その実績において相応しいと思われるランクが与えられます。とは言え上限があり、その最高はCランクです」
あー、保障するからSSで! とか言う馬鹿居そうだもんな。
「なるほど。あの、そうなると僕はいきなりCなんですが……」
「はい。ミルク村村長の証言により、魔物の討伐を……4万ほどと書いてあります」
……一応、少なく伝えてあるからな。
「あー、まあその位、かな?」
「……であるならばCは妥当かと存じます。いかがなさいますか?」
チラッと女性陣を見る。
オードリー。凄く嬉しそうにうんうん言ってる。
ルイーズ。片眉を上げて、好きにすれば? かな?
ステフ。肩をすくめている。……どうせすぐバレるんだし、それくらいがちょうどいいんじゃない? 低ランクが強い魔物討伐とかしたらそれこそ騒がれるわよ。……かな?
ふう。まあ、推薦でランクが上がるってことは、俺みたいなのもいるってことだしな。
「じゃあ、Cランクでお願いします」
「承りました。こちらに記入をお願いします。代筆は……大丈夫そうですね。後ろの方はパーティのメンバーの方ですか?」
かきかき。
「はい。オードリーとルイーズです。オードリーは冒険者です。ルイーズは……」
「一応冒険者だったこともあるわねぇ」
「ではプレートの提出をお願いします」
「はい」「はぁい」
この世界のギルドプレートには魔石が埋め込まれており、中に様々な情報が入っているそうだ。
それをお姉さんは専用の魔道具で中の情報を確認している。
「ありがとうございます。? こちらのプレートは大分古くなっておりますが、ルイーズ様のものでよろしいでしょうか?」
見るとルイーズのプレートは、傷だらけで今にも壊れそうだった。
「そうよぉ。魔石だけ新しいものに移していただける? プレートは記念に取っておくからぁ」
「かしこまりました。まずは確認させていただきます。……Dランク冒険者オードリー様。そして……?!」
お姉さんの目が見開かれ、冷や汗が頬を伝う。
ゴクリと唾を飲み込み、一度目を閉じた後は、また先ほどの表情に戻っていた。
「失礼いたしました。Cランク冒険者、ルイーズ様ですね。再登録させていただきます」
「仕事が早いのね。ありがとう」
「ここが最前戦であると考えておりますので」
何があったかわからないが、ルイーズとお姉さんの間には、信頼関係が出来たように見えた。
「書けました」
久しぶりに字を書いたなぁ。
「拝見します。……はい、大丈夫です。こちらがエーリ様のギルドプレートでございます。それでは、パーティ名をお願いいたします」
「え?」
「未登録でも構いませんが、通り名があった方が何かと便利かと思いますが」
うーん。悩むけど、センスないんだよな、俺。
「エーリきゅ「却下!」 ひう!」
危ねぇ……今絶対『エーリきゅんラブ』とかそっち系な名前を付けようとしたな。
「俺の名前が入るのはなしだ」
「絶r「却下!」 ぁん」
「他人が呼ぶのを躊躇うものもダメ」
オードリーとルイーズは、『他に思いつかない』みたいな顔をしている。
お前らな……。
「『虹の絆』ってどう?」
「え?」
ステフが顎に指を当てながら言う。
「私達って、なんだかんだミルク様のお導きで出会ったじゃない? ミルク様の魔法色は虹色だし、良いかな、と思って」
虹の絆、か。
「良いですね!」「良いと思うわぁ」「うん、良いな」
「私的な意見となりますが、私も良い名前だと思います。異論がなければ、パーティ名は『虹の絆』で登録いたします」
「よろしくお願いします」
お姉さんが紙に記載し、魔力を流すと、ボウっと燃えてなくなった。
「これでパーティ登録も終わりました。……ご用件は全てお済みになったでしょうか?」
「はい。ありがとうございました!」
「最後になりましたが、皆様のお手続きをさせていただきました、ジャンヌ・メイガードと申します。よろしければこれを」
名刺? のようなプレートを手渡される。
そこには[帝国ギルド上級受付 ジャンヌ・メイガード]と書いてあった。
「これを出せば帝国内で多少なりと便宜を図ってもらえるはずです。不要であれば捨てていただいて構いません」
「そんなことそませんよ。ジャンヌさん、ですね。ありがとうございます。これから色々とお世話になると思いますので、こちらこそよろしくお願いします!」
ジャンヌさんはニコっと笑って「はい」と言ってくれた。
ギルドを後にする。
「これで俺も冒険者か。これからよろしくな、オードリー、ルイーズ」
「はい! いつまでも一緒です!」
「ええ。いつまでもね」
俺たちのパーティ、『虹の絆』はこうして第一歩を踏み出した。
明日は18時くらいに投稿出来るかと思います。




