第32話 いざ帝都へ!
お待たせしました。
続きです。
明日も同じ時間に投稿します。
2018/01/06 読みにくい箇所を修正しました。
『エーリ、ようやく旅立てたわね。おめでとう』
ありがとう。産まれてから色々、本当に色々あったけどな……。
でも、冒険者になるのは楽しみだ。
いっぱい世界を見るよ。
『ふふ。頑張ってね。私はちょっと調べ物があるから、暫く会えなくなるわ。エーリの旅路に、平穏が訪れることを祈っているわね」
はいよ。ミルクも元気でな。
「うん」
手を振ってミルクが消えていった。
そんなわけで、オードリー、ステフと3人で、生まれ育ったミルク村を出て人生初の冒険の旅をしている。
記念すべき最初のクエストは、『ステフを帝都に送り届けよう』だ。
徒歩だと恐らく3ヶ月はかかるのではないだろうか。
まあステフの入所式は半年後なので、問題はない。
ただ、ゆっくり歩いても仕方がない道が多いので、隣町で馬車を借りて、道中観光しながら行くことにする。
幸い街道沿いは村や町が多く、野宿もほぼしなくていいはずだ。
お金は魔物を狩って行くことで、補充する予定である。
「でもいいの? エーリきゅん」
「ん? 何がだ?」
「エーリきゅんて、魔物と和解したって聞いたけど……」
「ああ、そのことか。確かに俺は森の魔物と和解した。あいつらは知性と文化を持つようになったからな。言わば新しい種族だ。この世界にはどうやらいないようだから、あいつらのことは『魔族』と呼ぶことにしようか」
「魔族……」
「魔族なら意思疎通を図る。じゃなきゃただの魔物だから、狩っても問題なし!」
そう、この世界、魔族が居なかったのだ。
地球での悪魔の様な姿をした人型の種族は、魔『人』族。
あくまで人であって、魔族ではない。
新しい種の登録って、どうすりゃいいんだろ?
とりあえず帝都で相談かな。
「つーことだから、ガンガン稼ごうな!」
「うん!」
「頑張ってね! お兄ちゃん達!」
「手伝えよ、ステフ……。鉄人貸してやるから」
「ほんと?! じゃあ殺る!!」
……今のは殺すと書く方だな。まあいいか。
そうこうしていると、隣町が見えてきた。
【聖域】展開時に作られた町だ。
ほぼ100%開拓者が作った町で、住人も当時の開拓者が多い。
なかなか立派な町なので、門がある。
「やあ、ミルク村の人かな? 証明する物は何かあるかい?」
なかなかの好青年風門番が話しかけてくる。
「はい。え、と。これですね」
オードリーはギルドプレート、俺とステフは村長が作ってくれた証明書を提示する。
「……ありがとう。どれどれ。オードリー、エーリ、ステファニー……! 特級鑑定士様にミルク村の英雄と天才ステフ!! どんな豪華パーティだい?!」
「僕は冒険者になるために、特級鑑定士様と一緒に帝都に行くんです。妹も養成所入りが決まっているので、護衛も兼ねて!」
「お兄ちゃんと一緒だから安心なの!」
「はは! そうか……おっと! 引き止めて悪かったね。通っていいよ」
「ありがとう!」
「……」ペコ
興奮気味の門番がこちらを見て祈っている。
ここら辺では結構有名になっちゃったな……。
よそ行きの対応をしたのも久しぶりだ。僕とか言うの、いつぶりだっけ?
「プフッ! お兄ちゃん、『ぼく』だって! ……ブフッ!!」
「こらステフ。町を出るまでは我慢しろ」
「はーい。……プッ!」
「……怒るぞ?」
「ご、ごめん。……くっ」
はぁ。
「それで、エーリ。帝都までは何で行くつもり?」
オードリーはちゃんとよそ行きの態度が取れている。
後で褒めてあげよう。
「うーん。お金はあるから馬車を買うか、定期便に乗って行くかしようと思ったけど?」
定期便と言うのは、各地を繋ぐ乗り合いバスの様なものである。
定期便のほとんどはゴーレム馬車で、生き物ではないため、水や食料の消費がない。
その分荷物を積み込むのだが、代わりに魔力を食う。
そのため乗客は基本料金に加えて、魔力、魔石、食べ物、料理など、自分が出せる対価を払う必要がある。
「(お兄ちゃんなら作れるんじゃないの?)」
「……ああ、その手があるか」
「ダメです」
「「えっ?」」
いい手かと思ったが、オードリーから待ったがかかった。
「オードリーさん。どうしてですか?」
「ゴーレムの所持には国の許可がいります。頭のいい二人ならわかるでしょう? 無許可のゴーレムが、帝都にいっぱい居たら、どうなります?」
「なるほど。使えそうですね……」
「おい。……まあ言いたいことはわかりました。じゃあ定期便にしましょう」
「ええ、わかったわ、エーリ」
テロし放題になるもんなぁ。
ん? 待てよ? それじゃあ……
「お兄ちゃん、鉄人、使えないんじゃ……」
「す、ステフ……」
ステフの顔が絶望に沈む!
「まあ、魔法っぽい感じにすれば何とk「それじゃ鉄人じゃないよ!」
「うっ!」
それは、そうなんだけどさ。
「まあまあ。ちゃんと許可を取れば良いのですし、まずは帝都に行って、それから考えましょう?」
「ううう。鉄人ん〜」
何なんだ、ステフのこの鉄人愛は……。
「次の定期便を調べてきますね。二人は食料や必需品を買っておいてください」
「「はーい」」
一時的にオードリーと別れ、ステフと買い物をしていく。
あれやこれやと買っていくと、結構な荷物になった。
村で大きめのバッグを作ってもらっていたため、何とか全部入った。
「はぁ。いくらでも入る鞄が欲しいよ……」
「ん? 兄ちゃん、魔法鞄欲しいのかい?」
買い物をした商店で、店主のおじさんがニヤニヤしながら聞いてくる。
なんだ?
「魔法鞄て、そんなのがあるんですか?」
「ああ、ここにゃないが、帝都には専門店がある。まあ、高いがね」
「へぇ〜。いくらぐらいですか?」
「容量でピンキリだが、安いのでも金貨100枚からだな」
「はぁ〜。高いんですねぇ。でも、冒険者になって、いつか買いたいです!」
「ははは! 頑張れよ! いつか買ったら、俺にも見せてくれ」
「はい!」
笑顔で店を後にする。
金貨100枚、つまりは100万円くらいか。
小さいって言っても、どれくらい入るんだろう。
後でオードリーにも聞いてみるか。
町中を歩いていると、オードリーを見つけた。
どうやらゴーレム馬車の御者と話をしているようだ。
「オードリーさん!」
「あ、エーリ。買い物は終わったの?」
「はい。ちゃんと買えました。オードリーさんは……」
「ええ、ちゃんと話はつけました。ちょうど出るところだったので、タイミングバッチリですね」
危なかったんじゃねぇか……。
「さあ! さっさと乗ってくれ! 後はあんた達だけなんだ!」
「はい。ほら、ステフ」
「んしょ。ありがとう、お兄ちゃん」
「皆さん、お騒がせしました。さあ行きましょう」
「ったく。アンタが仕切るなよ。よし行け!」
ブウン、と音を立てて、馬型のゴーレムが走り出す。
少し慌ただしくなってしまったが、帝都へ向けてまずまず順調な滑り出しとなった。
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