表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

41/352

第31話 旅立ち

なんとか間に合った。


ようやく舞台がミルク村から世界へ。

長かったなぁ。


2018/01/06 読みにくい箇所を修正しました。

「じゃあ、エーリきゅん、4年後にね」

「ああ。成長した俺に驚くなよ?」

「ふふふ。楽しみにしてる。おやすみなさい」

「おやすみ。オードリー。良い夢を」


 パキパキ、とオードリーの周りから氷が生えて来る。

 見てる方としては心配になるが、大丈夫だそうなので止めはしない。


 やがてオードリーの全身を氷が覆い尽くし、どこぞのファンタジー物に出てきそうな、氷の結晶になった。


「よし、じゃあ運ぼう」


 オードリーは、神像の横に作られた小神殿に祀られることになった。


「神秘的で、誰も盗ろうとはしないだろう」


 とは村長の弁であるが、そもそも【神域】内でそんなことができようはずもなく。


 あれから1年が経った今では、毎日村人や観光客に拝まれている。

 天才ステフも2歳になり、言葉はもう大人顔負けだ。

 我が家ではミリア以外毎日振り回されている。


「さて、じゃあ俺も修行するか。よいしょっと。さあ行くぞ、ステフ!」

「はーい! お兄ちゃん、ゴー!」


 ドン!


 ステフをおぶってまずは【神域】の外周を100周。

 各属性を体内に満たし、常人なら目で終えない速度で突っ走る。

 ステフにも俺の魔力を満たしているから、怪我をしたりはしない。


 こうして各属性の特徴をステフに教えていく。

 使えなくても、対処できるようにするためだ。


 これだけで初動に天と地の差が生まれる。



「ふう。次は、ゲム魔法だな」

「お兄ちゃん、ゴーレム! ゴーレム!!」

「ステフはゴーレム好きだなぁ。ようし、離れるなよ?」

「うん!」


「【鉄人創造】」


 ズワっとドームが形を変え、某ロボットの形を取る。

 初期のロボットアニメを支えた、青い鉄人の姿をしている。

 こちらの世界のゴーレムとは少し違うが、ルークにこっそり見せたら「このゴーレム欲しい!!」と言っていたから、ゴーレムで通っている。


 俺とステフはあの主人公よろしく、2本の棒が突き出たコントローラーで、鉄人を動かす。


「行け、鉄人! そこでパーンチ!!」


 ガションガションとステフがコントローラーを動かせば、鉄人はステフの思い通りにパンチを繰り出している。


 最近はこの魔法がお気に入りで、修行について来る日は必ずこれで遊ぶ。

 俺としてもゲム魔法に触れている人間の感情や、簡単な思考なら読み取れるようになった。

 鉄人を動かす際も、細かな動きも出来るようになったため、満足している。


「ステフ! そろそろあいつらのところに行くぞ?」

「え! もうそんな時間? 」

「ああ、もう1時間経った」

「楽しい時間は過ぎるのが早いね。了解、お兄ちゃん」


 1時間程遊び、次に実戦形式の修行をしにあいつらの下へ行く。

 あいつらというのは……いたいた。


「ギギィ! グギャグギャ!」

「ブオ! モォ〜オ」

「ゴワァアアアアアアアア!!」


 そう、魔物達のところだ。


 あの戦いの後、俺は一人で墓参りしに魔物達のところへ行ったんだ。

 俺が来たことで殺気だったりした奴らもいたが、花や食べ物を持って行ったし、あえて魔力を出さずに行ったことで、敵意無しと判断されて、襲われることはなかった。

 あいつの墓は、愛用の斧が刺さっただけの簡素なものだったが、地球式に花などを供え、手を合わせて祈ったところ、なんと魔物達も同じようにしてきて驚いたものだ。

 それからと言うもの、ちょくちょく遊びに来ては、魔物達の中でも強い個体と実戦形式の修行をしている。


「よお、アルフォンス! 元気にしてたか?」

「モーォ!」

「はは! そうか。今日はステフも一緒だ。また色んな奴と会わせてやってくれ」

「ブモッ!」

「じゃあステフ。アルフォンスの言うことはちゃんと聞くんだぞ? 種族が違えば、作法も違うからな?」

「はーい。じゃあお兄ちゃんも頑張ってね!」

「おう!」


 会話が終わると、アルフォンスはステフを乗せて森の奥へと向かっていった。

 ああ、アルフォンスってのは、あいつの息子だ。

 牛と蜘蛛の魔物の混血で、上半身は牛で、下半身は蜘蛛と言う、かなり凄い見た目をしている。

 まだ小さいが、強さはもう、あいつを超えたんではないかと思うほどだ。


 親の仇である俺のことを許してくれ、他の魔物との橋渡しの役割も務めてくれている。


『エーリの周りには、面白い存在が溢れて来るわね』


 とは、とある全能神が話したことだが、確かにそうかもな。

 だけど、仲良くできる奴とは、そうなっておいた方が絶対にいいと思うんだ。


 ステフも懐いてるし。

 それにしてもあの子はやっぱり天才だよ。


 魔物達を見て、最初の反応が不敵に笑うことだったからな。

 多分、「こいつら使える」とか思ったんじゃないかなぁ……。

 怖くて聞けてないけど。


 我が妹ながら、ちょっと黒いわ。


 まあいい。こっちはこっちで修行だ。



 〜〜 4時間後 〜〜


「エーリお兄ちゃん!」

「ん? おお、ステフか。どうだ?楽しかったか?」

「うん! 今日は悪魔系の人達とお友達になったよ」

「そうか。そりゃよかったな。アルフォンスもありがとな」

「ブモウ」

「おっし。じゃあ帰ろうか」

「はーい」


 魔物達の森を後にし、家へ帰る。

 魔力切れギリギリだが、あえて全力で帰る。

 自分の限界を伸ばすためだ。

 日々こうしていれば、ステータスが伸びるとミルクから聞いていたためだ。


 何が起こるか分からない世界だからな。鍛えておいて損はないだろう。


 オードリーが起きた時、ビックリさせてやらないとな。




 〜〜 さらに3年後 〜〜



「おはよう。二人とも」

「「おはよう」」


「……いよいよね」「そう、だな……」


 ルークもミリアも、朝からテンションが低い。

 今日、俺たちが旅立つからだ。


「お母さん! お父さん! そんなに悲しい顔しないでよ。別に死ぬんじゃないんだから」

「そうそう。帝都まではオレも付いて行くし、養成所内にはまともな国軍の人しかいないって話だし」

「そうは言ってもね。子ども達が揃っていなくなると思うと、流石に寂しいのよ」

「ああ、俺の可愛いエーリとステフが、こんなに早く親元を離れるとは思ってなかった」


 お、可愛いにはちゃんと俺も入っている。

 ポイントアップだぞ、ルーク。


「うーん、じゃあ私達が帰って来る頃にはもう一人増えてるかもしれないね、お兄ちゃん」

「そうだな。どっちがいい?」

「私弟!」

「もう! 二人ったら!」

「そ、そうだぞ! ……なあ?」


 二人が見つめ合っている。

 この分だと本当に増えそうだ。

 というか俺たちが出て行った後、すぐに出来そうな気配である。


 ガチャ。


 家の扉が開き、村長が顔を出した。


「おお、おはよう。今日は旅立つのに素晴らしい天気だな。エーリ、オードリーが目を覚ましそうだぞ」

「本当?!」

「ああ、何やら氷が光ってゆっくりと溶け始めている」

「では、皆で迎えに行きましょうか」

「うん!」


 広場の小神殿に行くと、既に村人たちが周りに集まっていた。

 氷は半分以上溶けており、そろそろ腕や足などが自由になりそうだった。


 やがて強い光とともに全ての氷が溶け、オードリーの目が開く。

 皆から歓声が湧く。


「ん……」

「おはようございます、オードリー。お気分はいかが?」

「おは、ようございます。ミリア、さん。今は……」

「あなたが眠ってから4年後ですよ」


 目を開けた時に興奮させないように、まずはミリアが話しかけた。


「そうですか。皆さん、4年もの間、私を守ってくださって、ありがとうございます」

「ミルク村には美女が眠っている、と話題になって、観光業が盛んになったからな。全く迷惑などかかっていないよ」

「その分、下心のせいで【神域】を通れない人達も一定数居たけれど」


 オードリーが小神殿から出てくる。

 足取りも安定しているから、筋力なども眠った当時そのままだということがわかる。


「おはよう! オードリー、私を覚えてる?」

「……その声、ステファニー?」

「正解! どうやら頭の中も劣化はしていないようね!」

「へ?」

「こらステフ」

「ごめんなさーい!」

「いえ、いいんです。やっぱり4年も経つと凄く大きくなっていますね。あの、それでその……」


 オードリーがモジモジしている。

 チラチラ周りを見渡し、俺を探しているようだ。


「お兄ちゃんを探してるの?」

「は、はい」

「会いたい?」

「ええ、とても」

「じゃあ登場してもらいましょう! みんなーそこ開けてぇー!」


 ステフの号令の下、広場にスペースが出来た。

 ようし、派手に行こう。


 パリ


 パリパリ


 バリバリバリバリバリバリバリバリ!


 空いたスペースに小さな雷が煌めく。

 周りからはおぉ、と驚きの声が上がる。


 そして、



 ドン!



 雷属性魔力に身を包んだ俺が広場に現れた。

 赤ちゃんの時に見た、【雷帝】のそれとほぼ同じことをやったのだ。


 修行の成果で、過去の【雷帝】と同じ速度で動けるようになっている。

 恐らくあれでも手を抜いていたんだろうが。


 とは言え、晴れ着を着て当社比2倍の格好良さの俺が、オードリーの目の前に登場したのだ。


「……エーリ、きゅん?」

「そうだよ。おはよう、オードリー」

「おはよ、う。本当に、エーリきゅん?」

「成長したろ?」

「うん、うん! すっごく格好良くなった!」


 オードリーがピョンピョン跳ねて喜んでくれる。

 その度に、目の前の山脈が上下に揺れる。……ゴク。


  「お兄ちゃん……」


 ステフがジト目だ。

 4年間積み重ねた兄の威厳が、脆くも崩れさった気がした。

 しょうがないだろ。


「ごほん。 起きたてで悪いが、3人の出立の式典があるのでな。こちらへ来てもらえるかな?」


 村長がそう言って、村の舞台へ手をやる。

 俺達は揃って舞台へ上がった。


「今日! 大切な村の仲間が、新たな地へと旅立とうとしている。エーリ、ステファニー、そしてオードリーだ。オードリーは皆も知っての通り、4年前に村の一員となった。話したことがない人間も居るだろうが、我々は神像様の横に居るオードリーを常に見ていた。仲間であると言って、反対する者はおるまい」


 村の皆も頷いている。

 オードリーも嬉しそうだ。


「ステファニーはこの度、帝都の養成所に入所することになっている。これはこの村始まって以来の快挙である! 皆もステファニーの有能さは良くわかっておるだろう。きっと、学ぶ全てを自分のものとし、もっと凄いことをやってのけると、私は確信している!」


「任せといて! 帝都の全て、掌握して帰ってくるわ!」


 おいおい。乗っ取るつもりか。


「そして最後に。エーリだ。この村が今日まであるのも、ここに居るエーリのおかげであることは、私を含め、皆理解し、感謝している。産まれてから今まで、色々と困難がその身に降りかかった。中には死んでいたかもしれないものも多々、あった。しかし! エーリはその困難を、ミルク様の加護と、自身の努力によって乗り越えてきた! ミルク村の英雄だ! その英雄が、今日新たな道を切り開くため、この村から旅立つ! 皆でその門出を祝おうではないか!!」


「おおおおおおおおおおお!」

「おめでとう!」「今までありがとう!!」「頑張れよー!」「ステフー!結婚してくれー!」


 皆から祝いや感謝の言葉が叫ばれる。

 数人関係ない言葉を発していたが、ルークがその場所を凝視していたので、犯人は後悔することになるだろう。


「エーリ、ステファニー、元気でね。いつでも帰ってきていいんだからね?」

「そうだぞ! お前達の故郷はここだ、俺とミリアは、いつまでも待っているからな」

「お父さん、お母さん。今までありがとう。行ってきます」

「心配しないでよ! 3年で全て終わらせるわ!」

「エーリきゅんは私の命に代えてもお守りします。安心してください」

「いいえ、オードリー。あなたも無事に帰って来てくださいね」

「ミリア……。はい」


「では、達者でな」


「「「はい」」」




 皆に祝福され、俺達は故郷を旅立った。



結構大変だったので、やっぱり7〜9時にしようかな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ