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第30話 天才ステフと兄の行く末

続きです。


宜しければご覧ください。


2018/01/06 読みにくい箇所を修正しました。

 俺の妹は天才だった。


 言葉を理解し、魔力の流れもわかっているそうだ。

 記憶力も良く、産まれてから今までの記憶がある。


 そして、『絶魔』の才能。

 魔法効果の有無を任意で選択できる。

 つまり、自分に害をもたらす魔法はレジスト、益をもたらす魔法はそのままということが出来る。


 魔法使いにとって、自分の努力が無にされる才能。


 それを天才が使ったらどうなるか……。


 考えるだに恐ろしい。



 まあ、俺の妹だから関係ないけど。


『関係あるわよ!!』


 え? なんで?


『やっぱり気づいてない……。さて問題です。「絶魔」を【神域】に使ったらどうなるでしょう?』


 ……え? 消えるの?


『せーかぁ〜い。ある意味最強よねぇ。村人の命も握れるわよ』


 うーん。ステフには言って聞かせないとな。

 このお兄ちゃんが!


「あの……」

「どうした? オードリー」


 先程からオードリーがモジモジしている。


「トイレか? それならそこの扉を出てひd「違うよエーリきゅん!!」


 顔を真っ赤にして全否定する。


「そうじゃなくて!! この子、帝都の養成所入りが決まってるの」


「「「……え?」」」


 家族3人が固まる。


「いま、何て……?」


「あの、だから。ステファニーは、帝都の養成所入りが決まってr「「ダメだ!!!」」


「ひう!!」


 俺とルークが怒声を上げる。

 ギュッと目を瞑るオードリー。


「こんな可愛い子、帝都に連れて行ったらどうなる?! 一気に狙われるぞ!! あの手この手でステフを好き放題しようとロリコンどもが群がってくるに決まっている!!」

「そうだそうだ!」


「え、と。もう決まってしまったことで、私にもどうしようもn「言い訳なんて聞きたかないね!!」


「きゃう!」


 オードリーの言い訳なんて聞いてたまるか!!

 俺のステフを連れ去ろうとする奴は生かしておかん。

 社会的に死ぬがいいわ! ふははははははは!!


「オードリー……。お前は俺に変態的な行為をしたよなぁ? んん? バラされたくなかったらステフの帝都入りを全力で止めr「はい、そこまで」 ガシィ!!


「?! お母さ! 離s……」


 ミリアのアイアンクローが俺の頭にめり込む。

 みし みし めり

 音が!! 頭蓋の音が!!


「ルーク、座って。……聞こえないのかしら? ……座って? そう、いい子ね。……それで、鑑定士様。何か理由がおありなのでしょう?」


「は、はい。あの、これはステファニーから言ってきたことです」

「ステフが?」

「ええ。精神世界では話ができるので、才能の件と、優秀な者は帝都の養成所に入れることを伝えました。ただ、そうすると5歳で家族とは離れ離れになって、15歳を迎えるまでは村に戻れないことも。そうしたら『養成所に行きたい』と即答されて」


 なんで、ステフはそんなことを?!

 お兄ちゃんと離れたいの?!

 ウザいから?! ねえウザいから?!


『エーリ、今ほんとにウザい……』


「ステフは何と?」

「『養成所には多くの優秀な人達がいるんでしょう? 多分血統的にも上流の人達もいるんでしょうし、出自は悪くても能力はピカイチの人間も来る。だったらその人達と『仲良く』なっておいた方が、後々便利じゃない?』……と」


「うわぁ……」


 ルークの顔が引きつる。

 いや、ここにいるステフ以外の顔が、だ。


「ぁい! おーせーお! いう!」


 養成所行くって絶対言ってるな。


「もう帝都に報告もしてしまっていますし、これを覆すのは流石に……」


「ステフ。いえ、ステファニー。あなたは全て理解して、それでも行くというのね?」


 ステフに普通に話しかけている。

 ミリアはもう、ステフを一人の自立した人間として見ているようだ。

 まだ立ててないけれども。


「あい!」


 ステフは元気いっぱいに応えた。

 ああ、可愛いなぁ、もう!


「わかりました。ステファニーが養成所に行くことは、家族の決定事項とします」

「そ、そんなぁ。あと、たった4年しかないんだぞ……」

「むしろ良かったと思っているわ。このままだと数年以内に確実に離婚しそうだったもの」

「ミリア?!」


 うわぁ……。お母さん、ホントに嫌だったんだ。


『ミリアだって、母である前に一人の女よ? 娘とは言え、他の女にデレデレする旦那に愛想尽かすのなんか当たり前じゃない』


 そういう、もんなのか?


『そういうものよ』


 おおう。教訓にしよう。


 ただ、ステフが帝都に行くのはちょうどいいな。


『あ、言うのね?』


 ああ!


「わかった! ステフが帝都に行くときは、俺もついて行く!!」

「エーリきゅん?!」「エーリ?」「エーリ?!」


 皆が俺を見る。

 妹と離れたくないシスコンだからじゃないよ?

 それもあるけど。


『あるのね……』


「皆には前に言ったかな? 俺も、世界を見てみたいんだ。冒険者になって、色々な所に行きたい。人間族だけじゃない、たくさんの種族がこの世界にはいるんだろ? どうせなら、そんな奴らと話して、遊んで、冒険したいんだ。帝都にはステフの護衛でついて行って、ギルドで冒険者登録しようと思ったんだよ」


 ステフが5歳になる頃、俺は10歳を超えている。

 この世界では、もう一人前として見られる年齢だ。


 元々10歳になったら一度村を出るつもりでいた。


 せっかくの異世界だ。

【トラホイ】があろうとなかろうと、人間族だけと関わってばかりは面白くない。


「エーリ……お前」

「もう、お兄ちゃんだものね」


 ルークもミリアも、寂しいような、嬉しいような、そんな表情をしていた。


「エーリきゅん。冒険者になるんだったら……その。もし、良かったらだけど……私とパーティ組まない?」

「オードリーと?」

「うん」


 うーん、俺とオードリーはおよそ11歳差だ。

 俺が10歳の時、オードリーは21歳。

 この世界はどうかわからないけど、結婚してても良い年齢じゃないのか?

 ……うーん。


「あ、年齢のこと?」

「え? う、うん。オードリーはいいとこのお嬢さんだろ? そんな歳まで一人って、無理がないか? 親御さんだってお見合いやら言ってくるかもしれないし」


 政略結婚とかもありそうだし。


「あ、それなら大丈夫。冒険者になるに当たって、家とは絶縁したよ」

「……は?」

「だって、『冒険者などと言う下民と同じ職に着くなど言語道断! 冒険者になるというのなら、お前とは絶縁だ!! 二度とアールの姓を名乗るな!!』って言われたの」


 結構重い話だった。


「それに、年齢が離れてる問題も、冬眠? すれば大丈夫」

「は? 冬眠?」


『水魔法の派生で氷魔法っていうのがあって、自らを氷の中に封印出来るのよ。然るべき所に置かないと、自分ごと盗難にあうけど』


 そう、なのか。

 でも、家に絶縁されてるんだったら、どこで?


「どこで、眠るつもりなんだ?」

「え? ミルク村で。村長さんに頼んで、村に移住させてもらえることになったの」


「はい?」

「だから全部問題ないよ! お願いエーリきゅん! 襲ったりしないし、ちゃんとパーティメンバーとして接するから!!」


「いや、でも……」


 ちらっとママンを見る。


「…………」


 無言で笑顔がとても怖い。


「え、と。お母さん。オ、オードリーがこう申しておりますが……」


「エーリ」「は、はい!」


「どうするかは自分で決めなさい。あなたと行動するということがどんな意味を持つのか。わかっているでしょう? それに、そろそろ大丈夫かどうかくらい、人を見る目も育ったんじゃないの?」


【トラブルホイホイ】か。

 ミルク曰く、オードリーは放っておいても巻き込まれる運命だそうだしな。

 何だかんだ美人でスタイルが良い。

 襲わないって言ってるし、冒険をするに当たって、知っている人間がメンバーだと心強い。


「わかった。オードリー、俺とパーティを組んでくれ。一緒に、世界を回ろう!」

「い、いいの?!」

「ああ!」

「えぐっ。うぅう〜。良がった……こどわられだらどうしようかどおもっで! うわぁあああああん!!」


 いつもは感情を表に出さないようにしているオードリーが、人目もはばからずに泣いている。

 よほど俺とパーティを組みたかったのか。

 考えてみれば、赤ちゃんの時からの知り合いだし、俺のことを好き好き言ってたしな。


 俺のために冬眠までするって言ってるし、頑張って修行して、もっと強くなろう!


「ほら、もう泣くなよ。美人さんが台無しだぞ?」

「だぁっでぇ〜〜。絶対にはんだいざれるどおもっでだからぁ〜! うえええええぇん!」

「あーよしよし」


 相変わらず泣いているオードリーを慰めながら、ステフの鑑定と、俺の決意表明は終わったのだった。





ついに本編が30話になりました!


自分でも、良く続いたものだと思います。

軽い気持ちで始めたので・・・。

設定の甘さや文章の稚拙さは、今後修正していくつもりです。

ただ、好きなように書いていく、というのが書き始めた時に思ったことなので、そのスタンスでこの先も行きたいと思います。


拙作ですが、今後ともよろしくお願いいたします。

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