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第25話 ゲム魔法と戦いの結末

遅くなって申し訳ありません。

一度殆ど消えまして・・・。

書き直すのに時間がかかりました。


対魔物戦もようやく終わります。

エーリの心に大きな変化をもたらします。


2017/12/23 読みにくい箇所を修正しました。

 俺が使っているこの無属性魔法に、俺は『ゲム魔法』という名前を付けることにした。


 名前を付ければ威力が上がる、この世界のルールに則るためだ。


 何となく、魔法も気に入ってくれた気がした。



「まずは威力吸収から、だな」


 そんなことを言う俺の眼前には、魔物達の爪、牙、剣、岩が迫っていた。

 それらがゲム魔法に触れた瞬間。


 動きが止まる。


 魔物達は驚愕の表情を見せた。

 それはそうだろう。

 油断している獲物に向かって、渾身の一撃を加えたはずなのだ。

 だが、『ただ置いた』その程度にしか反動がない。


 では、その衝撃はどこへ行ったか?


 目の前のドームに吸収され、光の球となって浮かんでいた。


「うん、吸収にも魔力は使うな。威力に比例して消化する、と。流石に無限に使えるわけじゃないか」


 俺はゲム魔法の特性を掴むため、実験をしていく。


「まずはそのまま返してみよう」


 まずは目の前で爪を振りまくっている狼くんに当ててみる。


 バン! ボキ!

 牙が砕けた。


「問題なし。魔法みたいに飛ばせるか?」


 引っ張って当てる。

 ビュン! バン! キャン!!


 狼くんが動かなくなる。


「よし、次々いこうか!」


 攻撃し続けてくれる魔物達に感謝しながら、実験を続けた。

 最早どちらが魔物か分かったものではない。


 その実験の成果として、以下のことが分かった。


 ・衝撃(魔力含む。以下同じ)の吸収には、その威力に比例する魔力が必要

 ・吸収した衝撃は球となり、当てたり飛ばしたりして攻撃に利用することが可能

 ・球は合成でき、威力は足し算となる

 ・違う属性同士を合成した場合でも、相殺することはない

 ・圧縮した球は威力が掛け算となるが、それには一定の魔力が必要

 ・圧縮からの合成は恐らく無限に可能だが、2回目から使用魔力が二乗となる

 ・球には後追いで魔法付与が可能

 ・作成した球は、即時、時限、任意での起爆が可能

 ・変形可能(手のようにして掴むことが出来た&変形させて飛ばせた)

 ・伸び縮みし、ゴムのように跳ねる(ただの魔力の塊時点)

 ・くっ付く

 ・液体化出来る(粘性も自在)


 ……チートに過ぎる。

 正直この魔物達に負ける要素がない。


 実際、この実験の時点で3万ほど倒した。

 ただ、魔力量が赤ちゃん時よりも伸びているため、枯渇する気配がない。

 恐らく使用量よりも回復量の方が多いのだろう。


 時々間食してるし。


 ただ、恐らく弱点もあるはずだ。

 それが分かった時が死ぬ時、とかだとシャレにならないため、今後の課題とする必要がある。

 ただ、ここら辺の魔物では強さや属性の多様性が少ないため、練習にならないだろう。


 後でガル様や【雷帝(ぱしり)】さんに頼めないかな。


 そんなことを考えているうちに、

『エーリ、5万を切ったぞ。その、『ゲム魔法』とやらは禁止だ』


 実験は終了となった。


「はい。最後にこの球達使ってもいいですか?」

 大分余っている。


『うーむ……。死体をどかすのには使っても良い』

「はーい。っよっと!」


 ドン!!!

 ドドドド!!!


 およそ20万の死体を脇にどかす。

 この光景、村の皆には見せられないな。


「よし、綺麗になった」


 血やら何やらは残ったが、大分場所は確保できた。


 残っている魔物は、いわゆるボスクラスなのだろう。

 今までの奴らよりデカく、面構えも強烈である。


 こちらはゲム魔法の使用禁止。

 魔力を満たすことによる身体強化と、大魔法以外の魔法で戦わなければならない。


 ただ……


「ふう。負ける気がしないな」


 言ってから気付いた。

 うーん、絶対に油断してるよなぁ、これ。


 なんか無双っぽい感じになって、調子こいて敵の実力を見誤って、油断から大切な存在を消されて、その衝撃で精神崩壊。魔力暴走で辺り一面焼け野原にして、関係ない人達まで消し飛ばす未来しか見えない。


 そんなんじゃまったり異世界生活とか無理ゲーだわ。

 大切な存在を守りきっての転生生活だ。


 よし。ちゃんと戦おう。


 敵の観察、魔力の練成。

 あと気合い。

 発症!


「忘れてんじゃねぇぞ! 失うのは一瞬だ! 戻ってこない!! それでいいのかエーリ!!」


 自分に問いかける。


「絶対に嫌だろ! 大切な何かを守るためにお前は何をする!?」


「敵は!! 全力でぇ!! ぶっ飛ばす!!!」



 ドン!!



 雷を纏って突っ込む。

 手には雷の剣を持って。


「うらぁ!!」

 ザシュ!!


【雷帝】には及ばなくとも、一歩手前くらいの速度で突っ込んだおかげで素人の剣でも敵に当たる。

 デカい虎みたいなのを切り倒した。


「うらうらうらうらうらうらうらうららららららららら…………!」


 当たるを幸いに、戦場を縦横無尽に駆け回る。

 通った後に爆弾代わりの雷撃を置くのを忘れない。


「次は火だぁ!」


 満たした魔力を火属性に変える。

 魔力が熱を帯び、見た目が炎の化身のようになった。


 ゴウ! という音と共に、少し溜めた後一気に加速する。

 通った後には火が残り敵を焼き尽くしていた。


「水ぅ!!」


 滑るように加速。すれ違いざまにウォーターカッターで切り刻む。

 傷口を毒水で汚染し離脱。

 敵はそこから腐っていき、泡を吹いて絶命する。


「土ぃ!」


 次々と属性を変え、その度に死の山を量産した。


 5、4、3、2、1……


「はぁ、はぁ……」


 残り1万となったところで、流石に魔力も心許なくなってきた。

 一撃では倒せず、俺の体にも小さな傷がいくつも出来ていた。


「ようやく、戦いらしくなってきたじゃないか……」


 どちらか一方が無傷だなんて、そんなの戦いじゃない。虐殺だ。


 だが、ふと思う。

 こいつら、何か悪いことしたんだろうか。

 確かに魔物だし、多分人も食うだろう。

 もし村の皆が襲われたら、絶対に復讐する自信がある。

 だが、全滅させることに意味があるのだろうか?


 言われたから戦ってきたけど、そんなので殺して良かったのか?

 ゲム魔法なら、止めることも出来たんじゃないか?


 なんかよくわからなくなってきた。

 ……うーん。


 迷っていると、一際大きな魔物が出てきた。

 ミノタウロス?


 目の前に立つ。多分、4m位か。

 手には斧を持っているが、攻撃はして来ない。


 ジッと目を見つめる。

 目に映るのは、悲しみと憎しみと、恐れと……覚悟、か。


「言葉、分かるか? ……なあ、終わりにしないか? 引いてくれれば追いはしない。住処や家族を奪ったのは俺だ。憎むのは俺一人にしてほしい」


 俺がそう言うと、奴は後ろの魔物達の方を向いた。


「ヴモオオオオオオォオオオオオオオオオオオ!!!!!」


 凄まじい声が響く。

 何事かと思ったが、雄叫びが終わると、魔物達が座りだした。


 それを見届けると、持っていた斧を俺に向ける。

 少し離れて、俺の方を向き、顔の前に斧を掲げる。


「ヴモォオ! ブモォオオオオオオオオ!」


 恐らく、名乗りを上げている。

 奴は俺との一騎打ちで、全ての決着をつけるつもりだ。



 覚悟には覚悟で応えなきゃな。



 息を吸う。


 魔物達に向かって話しかける。


「我が名はエーリ! ミルク村! ルークとミリアの子!! 【雷神】に言われてお前達をぶっ殺してきた! 今考えると正直流されてた! すまない!! 憎かったろう! 痛かったろう!! 悲しかったろう!! 許せとは言わない!! 一生恨め! だが、それは俺と、仕向けた【雷神】だけにしろ!! お前達の代表とこれから戦う! どちらが勝っても終わりにしよう!! こいつが勝ったら【聖域】を消してもらう!! 全ての森をお前達に返そう!! だが俺が勝ったら、今ある領域だけで我慢してくれ!! その内俺が用意しよう!! 【雷神】には俺が文句を言う!! もっと強くなって、いつか殴り飛ばす!! それで納得してくれるか?!」


「グルァアアアアアアアアアアアアアア!!!!」


 魔物達からの返答だ。


 その場から動かないところを見ると、納得してくれたようだ。

 ありがとう……。


「すまない、待たせた」


 奴に向かって言う。

 少し頷いて、斧を構える。


「さあ! やろう!!」


 どちらからともなく突っ込んでいく。

 斧と剣で激しく斬り結ぶ。


 極限状態の中、奴と俺の死闘は続いた。


 2時間に及んだその戦い。


 最後に立っていたのは、俺の方だった。



「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」



 勝ち鬨を上げる。

 戦いが終わったことを知らせるために。


 それを聞いた魔物達は、静かにその場から去っていった。

 何匹かの魔物が、奴の死体を持っていく。


 俺はその光景を、最後の一匹が居なくなるまで見つめ続けた。


「帰ろう……。ルークとミリアに会いたい」


 戦いが終わっても気は晴れず、肝心の【雷神】も現れなかった。


 俺は魔力の回復を待って、ミルク村に帰った。


細かい保存は大事ですね・・・。

身に沁みました。。。

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