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第21話 お泊まり会と親の愛

続きです。ちょっと真面目な感じです。


2017/12/19 誤字や読みにくい箇所を修正しました。

 ババババババババ!


 沢山のお婆さんではない。

 景色が、とんでもない速度で後ろに流れていく!!


「まだ準備中ということだったからな。ゆっくり行こう」


 ?!


「こ、これ、で……ゆ…っくり、なん……ですか!」

「ん? ああ、のーんびり散歩くらいか」

『じいちゃんは光の速さで動けるから、景色を視認できるくらいは大分ゆっくりよ。亀の散歩、くらいかしら」


 マジか?!


「おや、もう着いてしまったか。大分近いんじゃのう」


【神域】、通過!


 ザン!!


 村の入口に到着。


「あ……」


 入口にいた村人が、口を開けたまま動かない。

 そりゃそうだよ。音がしたと思ったら、俺を小脇に抱えた神様がいるんだもん。

 なお、この神様、多分身長が2.5mはある。


「ら、【雷神】様でいらっしゃいます、か?」


 よく言えたなー。凄いぞ。


「うむ。我が名はガルドリオス。【雷神】と呼ばれておるよ?」

「よ、ようこそミルク村へ! 村人一同、お待ちしておりました!」

「出迎えご苦労。では案内せい」

「はい!」


 出迎えてくれた村人に促され、ガルちゃんが進む。

 ちゃんと普通に歩けるじゃん。

 っと、その前に。


「ガル様! も、もう歩けます! 下ろしていただけますか?!」

「ん? おお、すまん。忘れておった」


 忘れてたんかい!!


 ようやく地に足がつく。おっと、かなりフラフラする。

 ……当たり前か。時速何百キロでぶっ飛んで来たんだから。


「お待たせしました。参りましょう」


 雑談をしながら、村の中心に向かって歩く。


「ミルクよ。この【神域】、随分力に満ち溢れておるのう!」

『う……。それは反省してるわ』

「いやいや、それはそれ、だ。これなら向こう1000年は大丈夫だろう?」

『まあ、そうね。本気の本気を出しちゃったから、私の記憶の中に、これより密度が高い【神域】はないわ』

「わしの記憶にもない。恐らく歴代最高密度だろう」


 これ、神様達が驚くレベルの結界ってこと?

 凄い結界を張ったもんだ……。

 まあ、滅ぼすつもりで放った攻撃力が、全部防御力に変換されたんだから、相当だろう。


 なんてことを話していると、もう広場に到着した。

 そこには全村人が待っており、中心には村長が青白い顔でニコニコしている。

 正直怖い。


 広場は村人達が必死になって用意したのだろう。

 神像は綺麗に飾り付けられ、舞台は整い、パーティー会場のような様相を呈していた。


 村長が一歩出て、ガル様に挨拶をする。


「神代より在わす【雷神】様に、このミルク村へお越しいただけるとは、望外の極みでございます。田舎の持て成しで退屈かと存じますが、我ら一同、心を込めて用意いたしました。楽しんでいただけましたら、幸いに存じます」

「この坊に呼ばれ来てみれば、魔法を教えてくれと頼まれてな。もう夜だからと、招いてくれたのだ。この村はミルクの加護が満ちておるいい村だな。今後もミルクの為に祈ってやってくれ」

「はは!」

『じいちゃん……』


 ミルクはガル様の優しさにちょっと涙ぐんでいる。

 村長はガル様の威容にちょっと涙ぐんでいる。

 イイハナシである。


「ではこちらへ」


 村長が必死にエスコートしている。

 足が震え、顔は青ざめ、フラフラしながら席へ向かう。

 それでも倒れないのはミルクへの信仰心ゆえか。


 村人は思った。こいつが村長で良かった、と。


 そうして、ガル様を歓迎する宴が始まった。

 神様って何を食べるんだろうと思ったが、出されたものは全て平らげていた。

 あーこの神様、健啖家としても有名だったわ。


 子ども達による『ミルク戦隊カフェオレンジャー』も好評だったようだ。

 目がキラキラしていて、俺に色々と質問して来た。

 村人によるダンスや歌、大道芸など、出来うる限りの持て成しを行い、ガル様を楽しませた。


 やがて


「うむ。とても楽しい時間であった。名残惜しいが、明日も仕事があろう? 今夜はもう休むがいい」

「お楽しみいただき、恐悦至極にございます。それで、その。本日の宿でございますが……」

「ん? 坊の所に泊めてくれるのではないのか?」


「え?」


 そ、そうなの?

『当たり前じゃない。エーリが呼び出したんだから、責任持ちなさいよ』


「え、と。お父さんとお母さんがなんて言うk「エーリ、頼んだぞ」


 村長!!!

 ……いや、確かに迷惑かけたのは俺か……。

 実際村長も村の皆も、よくこの短時間で用意したよな。


 よし、頑張ろう。


「わかりました。ガル様、こちらへどうぞ。村長様、村の皆。今日はありがとう。おやすみなさい!」

「「「「「「おやすみ! 」」」」」


 皆に挨拶をして、家に向かう。

 家の扉を開け、ガル様を中に入れた。


「ただいま!」

「おかえり!」

「お帰りなさい、エーリ」


 ルークとミリアが笑顔で迎えてくれる。

 うん、この顔は覚悟してた顔だ。

 ごめん!


「誰かはわかっておるが、坊、紹介してくれ」

「はい」


 ルーク、ミリアが並んでくれる。


「ガル様、こちらが僕の父と母。ミルク村のルークと、ミリアです」

「ルークと申します。この度は息子がお世話になります。【雷神】様、狭い家ですが、今夜はごゆっくりとおやすみください」

「うむ」

「ミリアと申します。ミルク様には村、そして私達家族を何度も助けていただき、とても感謝しております。【雷神】様はそのミルク様のお師匠様だとお聞きしました。何かあれば何なりとお申し付けください」

「うむ。ありがとう」


 二人とも凄いな。

 なんか今日はいつもより落ち着いていると言うか。


「お父さん、お母さん。こちらがミルク様のお師匠様で、僕の願いを聞き届けて顕現してくださった【雷神】ガルドリオス様です」

「ガルドリオスだ。ルークとミリアよ。いい覇気をしておるな」

「「恐れ入ります」」


 あー、確かに。

 特殊能力とかじゃなくて、気合いが入っている感じだ。

 なんでだろ。


『ルークもミリアも凄いな。相手はじいちゃんなのに』


 んん? どゆこと?


「坊にはまだわからぬか。ルークとミリアはな、わしが坊に危害を加える存在なら、立ち向かうと言う覚悟を持っておる、ということだ。親の愛というのは、素晴らしくも恐ろしいのう! 力の差など関係ないのだからな」

「え……?」


 この人に立ち向かう?

 俺は横にいるガル様を見る。

 今はこの姿をしているが、正体は雷そのものではないだろうか。

 全てを塵に帰す、雷の神。

 それに立ち向かうのは……無理だろう。


「え、と。お父さんとお母さんは、そう思ってるの?」


 ルークとミリアは笑顔で頷く。


 うん、思ってそうな顔をしてる。

 さっきから感じてる覚悟って、そういうことか。

 でもなんでそんな……。

 そうだ、前提を聞こう。


「ガル様は僕を害そうと思っていますか?」


 そもそもその気がないならこの話は終わりになるし。


「もちろんないぞ」

「ほらやっぱり! お父さんとお母さんもそんな覚g「今はな」

「え?」


 な、なんで?


「わしは神だ。それなりに矜持を持っておる。もしも神への侮辱や軽視があれば、神罰を持ってそれに返す。それにな坊、神にも色々おるのだ。行動が予想出来ぬものや、その性質上お前達にとっては迷惑な者もおる。幼い神などは何となく楽しそうだったから、といった理由で大きな影響を及ぼしたりもする。わしだって、もしこの村の者がミルクへの信仰心を失い、ミルクを蔑ろにしていた場合、滅ぼそうと思っておったしな」


 神、そう、神なんだよな。

 人間の都合では動かない、絶対の存在。

 ミルクが俺に色々してくれるから忘れてたけど。

 状況について行けてなかったのは、どうやら俺一人だったようだ。


 目が覚めた。よし、ちゃんとしよう。



「そう、ですね。神様ですもんね。お父さん、お母さん。心配してくれてありがとう。僕、ちゃんとガル様に教えてもらうね!」

「おう、頑張れよ!」

「ふふふ。張り切りすぎないでね」

「わしの教え方は上手いから安心せい」

『……上手いかしら?』


 おい。不安なこと言うなよ……。


 とまあ自己紹介から色々あったけど、恐らく歴史上初、【雷神】様のお泊まり会が行われた。

 ガル様は大きかったので、俺の部屋にベッドを作って寝てもらい、俺は久しぶりにルーク、ミリアに挟まれて寝た。


 二人の愛を知ったからだろうか。

 その日の俺はこの世界の父と母にたくさん甘え、心からこの二人の元に生まれて良かったと思った。


いつの間にか3000PV超えてました!!

こんなにたくさんの方にチラリとでも見ていただけるとは思っていなかったので、とても嬉しいです。


これからも書きたいものを書いていこうと思います。

いつも見ていただけている方も、初めて見てくださった方も、ありがとうございます。


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