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第18話 ミルク戦隊カフェオレンジャー

情熱の赴くままに書いた二つ目。

後悔は全くしていません。


長いですがどうぞ。


※2017/12/10 読みにくい箇所を修正しました。

 村の広場、神像の前に造られた舞台の上。

 一生懸命作ったセットが設置される。


 大人達は何だ何だと期待してくれているようだ。


 村長が指示して椅子やゴザが用意され、観客が席に着く。


 いよいよだ……。

 子供たち皆で練習した劇を、村の皆に見てもらえる!


 それだけで俺たちの鼓動は早くなる。


 ……ふう。落ち着け。


 魂込めてやれば、何でもできる!


 手を握り、皆の顔を見回す。


「今日この日を迎えられたことを、俺は本当に嬉しく思う。こんな情けない俺によくぞついて来てくれた。ありがとう。始めた当初、役決めで揉めたよな。木の役って何だよ!って怒ったやつもいた。ふふ、お前だカイル。マリーも、お姫様役がやりたくて意地悪した時もあったけど、今じゃ誰よりも悪役が似合う女になった。キレイだよ。練習方法ではシュバルツと揉めたな。衣装ではユノが張り切って、いつもの大人しさがなくなって、皆ビックリしたもんだ。……ここまで来た。後は、全力で()ろう!! 準備はいいか? 皆?!」


「「「「「「「「「おう!!」」」」」」」」





 そして、伝説が始まった。


 夜の村に、静寂が訪れる。

 パチパチと篝火の音だけが響いていた。


 ブーーーーーーーーー!!


 ラッパの音が響き渡り、黒い衣装を来た人物が登場する。

 木は微動だにしない。さすがだ、カイル!


「わぁっはっは!私は悪の王、ゴクアクダー様だ! あの城に見目麗しい姫がいると聞く! 攫って私の妻にしてやろう!!」


 ゴクアクダー捌ける。

 続いてお姫様が登場。

 観客から感嘆の声が聞こえる。ユノの裁縫技術は村一番だな。

 あのドレスがまさかボロ切れの集まりだとは思うまい。


「明日は王子様との結婚式! あぁ、楽しみだわ! 早く明日にならないかしら」

 トントン!


「姫」


 王子登場。


「まあ、王子様! いけませんわ、明日は結婚式ですのに、花嫁の部屋に来たりしては!」

「すまない。はやる気持ちを抑えることが出来なかった……姫!!」


 ガバッと王子が姫を抱きしめる!


「キャー!」

 女性陣、特に年齢層高めのおばさま方の歓声が上がる。


「何しやがる!」

 と姫役のエミリアの父親が立ち上がる!!

 そこを周りの女性陣が引き止める!


 王子と姫がベッドインしそうになったその瞬間!

 奴が現れた!!


「ふはははははは!! いい雰囲気の所悪いな。このゴクアクダー様が、姫を嫁にもらいに来てやったぞ! さあ姫、こっちへ来い!」

「いやあ! 離してぇ!! 王子様助けてぇ!!」

「姫を離せ! この悪党め!」


 剣を抜く王子!


「ふはははははは!! お前なんぞ、このゴクアクダー様の敵ではない! 喰らえ、悪の波動!!」

「うわぁああああああああ!!」

「王子様ぁーーーーーーーーーーー!!」


 一瞬でやられる王子。

 観客もビックリしている。

 まあこの世界なら王子がカッコよく助けるんだろうが、そこはほら、地球育ちの俺監修だから。


「待てい! そこのゴクアクダー!!」

「む! 誰だ?!」


 神像の後ろがライトアップされ、5人のシルエットが浮かび上がる!

 影が強く、その姿は未だ見えない!



「鮮烈のレッド! ストロベリー!!」


「「「「 オ、レ! 」」」」


 赤色のスーツを着た少女が登場! ヤッフーーーーーーーーーーー!!

 ここからがクライマックスだ!!


「深慮のグリーン! マッチャー!!」


「「「「 オ、レ! 」」」」


「衝撃のイエロー! バ・ナーナ!!」


「「「「 オ、レ! 」」」」


「安寧のブラウン! ココア!!」


「「「「 オ、レ! 」」」」


 来る、来るぞ! ……ゴクリ。


「全能のパープル!! グレープ!!」


「「「「オ、レ! 」」」」


「伝説の戦士、カフェオレの遺志を継ぎし5人の戦士!」


「「「「「 ミルク戦隊! カフェオレンジャー!!!!! 」」」」」


 ボン!

 紙吹雪が舞う!!


 き、決まったーーーーーーー!!!!!


「「「うおおおおおおおおおお!!!!」」」

「スゲーーーー!!」

「凝ってるわね!!」

「これを、子供だけで……?」


 観客にも好評のようだ。

 これ、これだよ!!


 ポーズを決めている5人も今までで一番輝いている!

 ヤバイ……涙が出てきた……。


 そんな俺のことには構わず、劇は続いていく。



「カフェオレンジャーだと?! 奴の遺志を継ぐとは愚かな! 返り討ちにしてくれる! 者ども出会えぃ!!」

「「「「ウリィー!」」」」


 雑魚キャラの登場で場は戦場と化す!


 レッドのキック!


 グリーンの合気!


 イエローのチョップ!


 ブラウンのパンチ!


 そして、パープルは右手に持った剣を片手に、バッタバッタと雑魚を蹴散らしていく!



「く! これ程とは……。仕方がない、このゴクアクダー様が直々に引導を渡してやろう!」


 ついに宿敵ゴクアクダーとの対戦だ。

 観客も固唾を飲んで待っている!


「来い! カフェオレンジャー!!」


「いくぞ!!」

「「「「 おう! 」」」」


 5人が一斉にゴクアクダーに向かっていく。


「せい! やあ!!」

 それぞれが攻撃を繰り出すが、ゴクアクダーには掠らない!


「ふん!」

「「「「「 うわあ! 」」」」」


 只の一撃で5人は倒されてしまう!!


「え?!」

「だ、大丈夫なのか?」


 観客からもどよめきが起こる。

 悪を裁くヒーローが、ものの一撃で全滅したのだ!

 これでは姫がゴクアクダーの魔の手に落ちてしまう!


 広場を静寂が支配する。


 ……


 ……


 信じろ。


 ……


 信じるんだ。


 ……


 ヒーロー物の


 ……


 底力を!




「……んばれ」


 来た。


「がん、ばれ!」


「頑張れー!!」

「立つんだカフェオレンジャー!!」

「頑張れぇーーー!!」

「そんな奴に負けるんじゃなーい!」

「立ってぇえええええ!!」


「「「「「「「「 カフェオレンジャー!!! 」」」」」」」」


 カッ!!


 広場が光に包まれる!


 そして、


 光が収まったその場には……


 5人の戦士が立っていた!!!




「お……」



「「「「「「「「 おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!! 」」」」」」」」



 爆弾でも落ちたかのような大歓声。

 その場の熱狂は最高潮を迎えた!


「なにぃ?! お、お前達は倒したはず!! なぜ、なぜ立っている?! なぜ立てる?!」


「なぜかって? それは俺達が!! ミルク戦隊、カフェオレンジャーだからだ!!」


 プシュッ!!

 紙吹雪が舞う!


「「「「「 うおおおおおお!! 」」」」」


 次々と攻撃を繰り出す5人。

 今度は当たる! 当たる! 当たる!!


「ぐっ! ぐうう!!」


 ゴクアクダーも苦しそうだ!


 !


 遂に膝を折った!


「今だ!!」


 5人が集まり、ポーズを取りながら力を貯める!!


「「「「「ムトーカフェオレー〜〜〜、アターーーーーーッック!!!! 」」」」」

「ぐわぁあああああああああ!!!」


 ゴクアクダーが吹き飛び、悪は滅んだ!


「やったぁーーー!」

「よくやったぞカフェオレンジャー!」

「カッコイイ!」


 観客から惜しみない称賛が聞こえる!!



 だが、カフェオレンジャーは喜ばない。



 場内がザワザワし、そして静かになる。



 全能のパープル、グレープオレが口を開く。


「ゴクアクダーは倒した。だが、これで世界が平和になったわけじゃない。この世の悪を全て倒すため、俺たちの戦いは続くんだ!行くぞ、皆」


 ザッザッザッザっと光の中に消えて行く5人。


 そこへナレーションが入る。


『ゴクアクダーを見事倒したカフェオレンジャー。しかし、彼らの戦いはこの後も続く。助けを呼ぶ声がある限り、彼らが休む日は来ない。弱きを助け、強きを挫く。伝説の戦士カフェオレの遺志を継ぎし5人の戦士! そう、彼らの名は……』


「「「「「 ミルク戦隊、カフェオレンジャー!!!!! 」」」」」


 ドカーン!!

 うおおおおおおおおお!!! っと、この日何度目かの大歓声が村を包み、俺たちの劇は大成功を遂げた。

 俺たちは抱き合い、泣き、互いを讃えあった。

 これまでの苦労が報われ、最高の形で終われたことは、誕生日を迎えたことよりも嬉しかった……。













「エーリ…………ちょっと来なさい」


 ミリアの顔を見るまでは……。


 ガシィ!!

 ミリアの指が頭に食い込む!

 ?!

 一体どこにこんなパワーが!?


「子ども達だけで劇。うん、許したわ。衣装や小道具。うん、協力したわ。化粧の仕方。うん、教えたわ」


 ミリアの指に更に力が籠められる。

 イダダダダダダダ!!!


「でもなぁに? アレ。村の皆や私達家族を何度も助けてくれた、ミルク様をモチーフにしているのかしら?まさかねぇ? エーリをそんな恩知らずに育てた覚えはないわぁ……。じゃあ、私が今掴んでるのは何かしら? うーん、分からないから刻んじゃおうかしら。 私の、愛刀で」


 ジャキン!

 ミリアの愛刀(肉切包丁)、【絶望(ぜつぼう)】が光る!


「ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさーーーーい! 」





 5歳の誕生日、俺は納屋で過ごすことになった……。

 一応布団は支給された……。




 その夜、夢を見た。

 ミルクが出てくる夢だ。


『エーリ、今日は凄かったわね!! 村の皆も喜んでくれて!」


 そうなんだよ、本当にやってよかったよ!

 ミリアには怒られちゃったけど。


「私は好きよ? カフェオレンジャー。地球のヒーロー物みたいでカッコよかった!」


 やっぱわかる? ミルクはいつでも俺のみかt「ネーミングセンスは最悪だけど」


 ……え?


「ミルク戦隊、カフェオレンジャー。私の名前が入ってるわね。私、変に持ち上げられるの嫌いなの。知ってるわよね? 怒りで【神雷】落とすくらいだもの。……じゃあ問題。いま、わたしは、怒っているでしょうか? 喜んでいるでしょうか?」


 満面の笑顔で近づいてくるミルク。


 くっつきそうなほど近づいた時、無表情になった。


「神の怒りを知りなさい」


 あまりの恐怖に、夢の中で気を失った。




 翌日。



 俺の身には確かに『神の怒り』が刻まれていた。



 おねしょである。



 それも、おねしょでミルク像を書いていたのだ。


「ミルク様の奇跡じゃーーーーーー!! エーリのおねしょがミルク様を描いておるーーー!!」

「ちょっ?! 村長?!」


 それを目ざとく発見した村長によって神像の前に供えられ、祝いの式典まで開かれた。

 し、死にたい。


 後世に伝えられるほどの伝説となったこの事件は、俺の黒歴史として、深く刻み込まれることとなった。





休日よりも平日の方が筆が進む不思議。

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