第17話 5歳の誕生日
ノリノリで書いたら長くなってしまい、投稿が遅くなりました……。
申し訳ありません。
しかも、長くなりすぎて2話に分けることに。一つ目をどうぞ。
2018/02/20 致命的な間違いを修正しました。
その日、俺は5歳の誕生日を迎えていた。
「エーリ、5歳の誕生日おめでとう! お母さんは嬉しいわ。あなたは覚えていないでしょうけれど、赤ちゃんの時は色々あったから……。こうして元気に育ってくれて……本当に……うぅ」
「ミリア! エーリの誕生日に何を泣いているんだ! 今日は一人前になったエーリの晴れの日じゃないか! 笑顔で祝ってあげなくてどうする!」
ミリアとルークが祝ってくれる。
俺の自慢の両親だ。
ミリアの『色々あった』のくだりで、殺気が漏れたような気がするのはきっと気のせいだ……。
「お母さん、お父さん、ありがとう。僕も赤ちゃんの時はもう余り覚えてないけど、ミルク様やお父さん達に守られてたことはぼんやり覚えてるよ。お母さんももう泣かないで? お母さんは美人さんなんだから、笑ってる方が僕好きだな」
「も、もう。どこでそんな言葉覚えたの?」
「お父さんがいつも言ってるもん。ミリアは美人で俺にはもったいない。だけど誰にも渡す気は無いって。酔うといっっつも言ってくるから覚えちゃったよ!」
「こ、こらエーリ! アレは二人の秘密だろ!!」
「ルーク……」
「ミリア……」
あ〜あ、相変わらずお熱いこって。
もう放っておこう。
「エーリ、本当におめでとう! この村始まって以来の神童が、これからどうなっていくのか。俺は楽しみで仕方がない。教えて欲しいことがあれば言うんだぞ? ヤバイもの以外は教えてやる。ヤバイものは、まあ追い追い、な?」
「? うん、わかった! アルおじちゃんありがとう!」
アルフレッド。
気のいいおっちゃん。
多分大きくなったら大人の世界を教えてくれそうだ。
今後とも仲良くしていきたい。
「エーリよ。そなたがミルク様のお力をその身に通して早5年、か。月日が経つのは本当に早いものだな。【聖域】を張って以来、ミルク様がわしらに語りかけることはないが、心はいつも共にある。決してミルク様を軽視するのではないぞ? それから……む、話が長いか。何はともあれ、おめでとう! 今日よりは魔法を使うことを許可する。ただし、1年間は大人がいる時に練習することだ。よいな?」
「はい。村長様もお身体に気をつけてくださいね!」
「なんとよい子だ……。うっ、うぅ……」
村長。
チョロい。
だけどミルクへの信仰心はダントツでぶっちぎり。
ミルク曰く『もうちょっとで聖人指定されるレベル』だそうだ。
そうそう、この村だけじゃなくこの世界の人間族は、魔力持ちであっても5歳になるまでは魔法を使ってはならないことになっている。
まあ人の言うことが聞ける年齢になるまで魔法なんて使わせません、てことだな。
誤発動を防ぐために、1歳から今まで、専用の腕輪型魔導具をずっとつけて過ごした。
今日この後のセレモニーで村長から外してもらう予定だ。
今日は村が騒がしい。
ミルク村の「神童」、エーリの誕生日ということで、村を挙げてのお祝いをしてくれているからだ。
普通の誕生日は近しい者達だけで行うそうなんだが、ミルク村にミルク様の加護をもたらした赤ちゃんということで、俺の顔と名前は全員がよ〜く知っている。
知っているだけなら皆互いに見知っているが、何でも俺が生まれて以来、村人の結束力は驚くほど上がったそうだ。
まあ団結しやすいことがいっぱいあったからな。
当たり前といえば当たり前か。
まあそれできっかけになった俺は、何かにつけて話題の中心になったわけで。
村人達からも可愛がってもらっている。
口々に祝いの言葉をかけてもらい、それにお礼を言う。
300人越えともなると時間がかかるが、全員知っている顔だし、こんなに多くの人達から祝ってもらえるなんてとても幸せだと思う。
前世を覚えているからこそ、感謝の念が強い。
そうして全員と挨拶を交わし終えた後、村長から腕輪を外してもらうセレモニーが始まった。
「今宵、このミルク村に5歳を迎える者がいる。皆も良く知っている、そう、エーリだ。今この時も我らを守ってくださっているこの【神域】、【聖域】の二つの結界をもたらしてくださった全能神ミルク様。その加護のきっかけになったのが、エーリの誕生だった。もちろん、他の子ども達が特別で無いというわけでは無い。誰もかれもこの村の大切な仲間だ。だが、エーリには不思議と注目を集める、不思議な才能があると、そう思ったことはないか?」
村人が何人も頷いている。
「そう、気になるのだ。ふと目をやるとそこにいる。何かが起こると、中心はエーリであることが多かった。もしかしたら全能神ミルク様でさえ、そんなエーリが気になって、この村に加護をもたらしてくださったのかもしれん」
ミルクもニコニコしながら頷いている。
「そんなエーリが今日、ついに5歳となった。この『魔封環』を外せば、もう一人前と認められる。皆に問おう。エーリの『魔封環』を外すのに反対の者はおるか?」
全員がにこやかに首を振る。
「よろしい。ではエーリ、ここに来なさい」
「はい、村長様」
村長の前に進み出た。
「それを外せば、お前は魔法が使えるようになる。その魔法を、お前はどう使う?」
「家族と、この村の皆や困っている人達を守るために使います」
俺の答えに、村長はゆっくりと頷いた。
「うむ。では腕を出しなさい」
「はい」
俺は利き手である左手を出す。
村長の手がかざされ、村長の手から紫の魔力光が放出される。
「ミルク村、村長たる我が願う。この者、エーリの魔力を封じる者よ。我の願いを聞き届け、エーリの魔力を解き放ちたまえ。願わくば、全能神の加護があらんことを。【解放】!」
その言葉とともに腕輪が外れ、俺の魔力が外に出せるようになった。
「エーリ、魔力を出してみなさい」
「はい。やってみます」
そう言うと俺は魔力の選別に取り掛かる。
普通に出すと虹色が出てしまうため、公式の魔力光、紫(雷)、青(水)、茶(土)をミルクと相談した割合で出す。
量は普通の2倍程度。
「おお……!」
「流石神童だ」
「お兄ちゃんの光キレイ!」
方々から称賛の声が聞こえる。
……なんか騙してすいません。良心がチクチク痛むぜ。
「よろしい。もう止めて良いぞ」
「ふう。なんとかできました!」
「立派であったぞ。おめでとうエーリ」
「ありがとうございます」
村長と握手をする。
これでもう一人前だ。
「「エーリ!!」」
「わっぷ!」
ミリアとルークが走って来て、思いっきり抱きしめられた。
う、嬉しいけど苦じい。
「これこれ、エーリが苦しがっておるぞ」
村長、ナイス……。
「ご、ごめんなさい!」
「わわ、すまん!!」
「けほっ! だ、大丈夫だよ。お父さん、お母さん、ありがとう。これからいっぱいお手伝いするからね!」
「「エーリ!!」
「ぐえ!」
同じ過ちが繰り返された……。
その後両親は村長に怒られ、ようやく解放された。
セレモニーが終わった!
よ、ようし!!
皆で練習したアレを見せるぞ!!
「そ、村長様」
「ん? どうしたエーリ」
「あ、あの。今日皆がお祝いしてくれて、僕本当に嬉しかったんです。それで、お礼をしたくて」
「ほう。何か用意してあるのか?」
「はい。村の子供たちで劇をしようと思います。今日までいっぱい練習したんです!」
そう! 本当にいっぱい練習したのだ。
俺が構想を練り、皆でアイディアを出し合い、役を決める際に一悶着あり、練習方法で対立し……。
今日まで本当に長かったな……。
子供たち皆とアイコンタクトをとる。
俺のように感慨に耽るやつ。
これからの本番に緊張するやつ(でもその目はやる気に満ちている)。
早く演りたくてウズウズしているやつ。
さあ行こう! 客が待ってるぜ!
次が本命です。




