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第10話 国軍(糞野郎ども)事件の終結

この回で長かった国軍(糞野郎ども)事件が終わります。


※ 最初の方はコメディタッチですが、後半グロテスクな表現がありますので、苦手な方は文中の注意書き以降をちょっと飛ばして見ていただきますよう、お願いいたします。


※2017/12/10 読みにくい箇所を修正しました。

【雷帝(らいてい)】ジェフリー・アーヴァンスレイン。


 帝国軍最強の一人。38歳。既婚。

 若くして雷魔法を使いこなし、剣の腕も超一流。

 現在「将軍」の地位にいる。

 戦闘時雷を身体に纏い、目にも止まらぬ攻撃を行う。

 戦場を雷の様に走り回るその様から、この二つ名で呼ばれている。


 そんな男が、帝国のど田舎、ミルク村(仮)にいる。


「あー。つっかれたー」


 首をコキコキさせながら言う。


 見た目からして


「待たせたな」


 って言いそうなナイスミドル。

 誰にも見つからずに潜入とかしてそうだ。



『遅い』

「はい! 師匠! すいません!」



 そんな男のイメージは、ミルクの一言で壊れる。


 目の前には、見えない誰かに向かって、ひたすら謝り続ける舎弟の姿があった。


「なんか国軍(うち)の奴らが悪さしてたみたいで! え?! いや、オレの部下とかじゃないですよ?ホントですホントです! 辺境軍はゴルドンの奴の管轄ですって!! 師匠に嘘言うわけないじゃないですか、イヤだなぁ!!」



 なぜだか涙が出てきた。

 最初の紹介文が変更を余儀なくされる。


【雷帝(ぱしり)】ジェフリー・アーヴァンスレイン。


 帝国軍(みるくぐみ)最強(しゃてい)の一人。38歳。既婚。

 若くして雷魔法(ぱしりまほう)を使いこなし、剣(もみて)の腕も超一流。

 現在「将軍(しゃていがしら)」の地位にいる。

 戦闘(ぱしり)時雷を身体に纏い、目にも止まらぬ攻撃(かいもの)を行う。

 戦場(じょうかまち)を雷の様に走り回るその様から、この二つ名で呼ばれている。



 気がつくと村人も皆泣いていた。

 最強とまで言われた男の凋落ぶりに、

 先ほどまでのシリアス展開が嘘の様だった。



『で?なんでこんなに遅かったの? 「すぐ来い」って皇帝に伝えてあったはずだけど?』


「あの、師匠……帝都からここまで結構距離がありまして……」


『言い訳?』

「すんません!!」


【雷帝(ぱしり)】が土下座している。


 村長が漏らしそうだ!

 ルークはサッと目を逸らした!

 ミリアは残念なものを見る目をしている!

 久々登場のアルフレッドが、膝から崩れ落ちる!!



 ミ、ミルク……その位にしてあげてくれ。

 もう、見ているこっちが限界だ……。



『ん?そう?でも国軍(笑)がこうなってるのって、上の奴らがしっかりしないからよ? ちょうどいい機会だし、きっちり文句言わないと』


 もしかして、皇帝にも同じことしたの?


『皇帝には「後でお話しましょうね」って言っただけよ?』


 うわぁお。俺だったら漏らしてるぜ!



 えーと、この空気のなか、パs、あ、いや【雷帝(ぱしり)】さんには何をしてもらうの?


【雷帝(ぱしり)】さんは正座して待っている。



『そうだったわ。ジェフ!こっち来なさい!』

「はい! 師匠!」


 トン


 ……見えなかった。


 気づいたら目の前に居た。

 凡そ20メートルはある距離を一瞬で詰めて来た。


 もしこの人が敵なら、絶対に助からない。

 そう思い知らされる。


 でも、既に【神域(しんいき)】の中に入っていることを考えると、

 この人は俺達の味方であることが証明された。



「師匠、記憶を見せていただけますか?処遇についてはそれから決めます」


 その目は真剣だった。


『良いわよ、はい』


 恐らくあの映像を見せているのだろう。

 時折眉がピクリと動き、眉間に深い皺が刻まれていく。

 歯を食いしばる音がギリっと鳴った。

 殺気が漏れ始める。


 立ち位置的に目の前に居たミリアとルークは、

 余りの変貌ぶりに腰を抜かしてしまった。


 やがて映像を見終わった【雷帝(らいてい)】は、静かに言う。


「極刑です。弁明の余地はないでしょう。被害者にはそれ相応の補償をしなければなりませんから、誰か一人くらいは事情聴取のために暫く生かさなければなりませんが」


『そう、妥当な線ね。聴取はあの副隊長っぽいので良いでしょう。後は良いわよ』


「承知しました。あ、村の皆さんは解散してください。特に子どもは絶対に外に出ないように。罰は私が与えておくので。師匠、遮音お願いします」


 そう言うと【雷帝(らいてい)】は、糞野郎どもの方に向かっていった。


 結果として、その言葉は正しかった。あんなもの、見ないほうがいいのだ。



 ーー 注意!! 以下の文章にはグロテスクな表現が含まれます。ーー


 糞野郎は怯えていた。


 幾ら情けない態度を取ろうと、目の前に居るのは


【雷帝(らいてい)】


 なのだ。


 昔戦場で見たときは、余りの恐ろしさに漏らしてしまった。

【雷帝(らいてい)】の通った後に残るのは、ミンチになった死体だけ。

 無表情で万の死体を生み出すその姿は、今でも夢に見るほどだった。



 そんな【雷帝(ばけもの)】がそこにいる。

 敵うはずがない!逃げなければ!!


「うわあああああ! 来るなぁ!!!」

「隊長?!」


 糞野郎は逃げた。

 部下を置き去りにして逃げた。

 馬に乗って走り出す。


【雷帝(ばけもの)】が部下に気を取られているうちに、できるだけ遠くに逃げなければ!


 森に入って夜まで待てば、いかに【雷帝(ばけもの)】であろうと追ってこれるはずがない!

 部下達も多少は出来る奴らだ。少しくらいは時間稼g「どこへ行く?」


「うわああああああああああ!」


 馬から転げ落ちる。


「お前が一番悪いだろう。お前が一番偉いだろう。お前が一番逃げちゃいけない」


 無表情でそう言う。


「私は国軍に忠誠を誓った身! 悪行などしようはずがございません! 田舎の野蛮人どもが我らを謀っているのです!」


【雷帝(ばけもの)】の眉が僅かに動く。


「あの村ではその昔、国軍を名乗る一団に若い女を連れ去られたことがあると聞きました! そのことで国軍に不信感を持ち、任務で来ていた我々を貶めるような嘘を言っているのでございます!」


「お前さあ、神様の存在って信じる?」


「は?」


「どうだ?信じてるか?」

「もちろんでございます!我が国は神に愛された国でありますれば、その臣民たる私めも神を信じております!」


「そっか。じゃあさ、皇帝陛下と神様だったら、どっちを信じる?」


 何の話なのだこれは?!


 糞野郎は戸惑っていた。無表情で問いかけてくる【雷帝(ばけもの)】の意図が読めない。

 だが、間違えばすぐ殺されそうなほどの殺気。

 無表情で殺気を放つ。その組み合わせは違和感の塊であり、それが恐怖を助長する。


 先程から神様と言い続けているのだ! 正解は神のはずだ!


「か、神を信じます!」


「そうか……」


 どっちだ?! 正解か? それとも……。

 糞野郎は祈った。信じてもいない神に。


 そして


「俺と同じだな!」


【雷帝(ばけもの)】が笑っている!

 私は賭けに勝ったのだ!


 この【雷帝(ばけもの)】さえ何とかなれば、後は奴らへの復讐方法をじっくり・・「・・とさ」

 しまった! 【雷帝(ばけもの)】が何か言っていた!


「あの、もう一度お聞かせいただいても……」


「ん?ああ、いいぞ」




「神様がお前に、『苦しんで死ね』だとさ」


「へ?」


 トン


 糞野郎の意識はそこで落ちた。





 ん……?


 ここはどこだ? 【雷帝(ばけもの)】と話していて、それで……。


 次第に脳が覚醒し、周りが見えて来る。


 糞野郎の視界には、真っ赤な大地と何かのパーツが映っていた。


「ふが! んん! くうぃdjぢいえj!!」


 口には猿ぐつわがされており、何を話そうとしても言葉にならない。

 身体も大の字に縛り付けられており、動くこともできない。

 目の前にあるモノ。それは、恐らく部下だったモノ。

 ドレがダレなのかわからないほどに散乱していた。


「お、起きたか。じゃあ【百叩き】始めるぞ〜」


【雷帝(ばけもの)】は授業を始める、と言わんばかりの雰囲気だ。


 何を、始めるつもりだ?! 【百叩き】?! 何で叩くつもりだ?!


 嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ怖い怖い怖い怖い怖い嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!


【雷帝(ばけもの)】が棒きれ片手に近づいて来る。


 ?!


 いや待て! あんなもので人が死ぬはずがない!

 これは……そう、パフォーマンスだ!

 罰を与えているという芝居だ!

 鎧を着込んでいる私に、棒きれで叩いて見せて、クズどもの溜飲を下げようという流れだな!

 恐らく周りの血のようなものも、馬か何かだ!

 ようし、ここはひとつ一世一代の演技を


「いーち」


 グチャ


 え?


 右手前腕が潰れた。


「!? sjをふぃfjrfにmdhshりfjxn!skrしd?※jちskfじぇhdk!!」


「あ、魔法で気絶は出来ないようにしてあるから。にーい」


 グチャ


 右手肘関節が潰れた。


「あ゛gけkfjfsjこるwyちfjsじょふぃdjskふぉgksじいとgkdlslvjふえq!!」


 もうわかった!! もうしない! 反省した! 心を入れ替える! だから!!


「さーん」


 糞野郎の断末魔は、夕方まで続いた。




 結局、【雷帝(らいてい)】の行いを最後まで見ていたのは、村長、ルーク、ミリア、俺の4人だけだった。

 村長は一番上に立つ者として最後まで残ると言い、ルーク、ミリアは当事者として見届けたいと言った。

 本来赤ん坊の俺には絶対に見せてはいけない代物だったが、【以震伝心】で見たい旨を伝え、家族揃って、抱きしめ合いながらガタガタ震えて見ていた。



 ーー 注意!! 上記の文章にはグロテスクな表現が含まれます。ーー



 全てが終わった後、死者を弔った。

 それには元国軍の奴らが手伝ってくれ、おかげで他の村人に酷い光景を見せずにすんだ。


【雷帝(らいてい)】は、残った副隊長(心が壊れていた)を連れて、来た時と同じように一瞬で去っていった。


「またな、坊主!」


 と、いい笑顔で言われたが、ギャップがあり過ぎてうすら寒くなっただけだ。





 その夜、今日の出来事を思い返してみた。



 家族団欒が楽しかったこと。

 湖の綺麗さに感動したこと。

 糞野郎の行為に怒りが湧いたこと。

 初めての実戦で、自分の力が大切な人を守るには足りないとわかったこと。

 ミルクはやっぱり全能神だということ。

 魔法は面白いものだと再確認したこと。

 絶望には底がないということ。

 人を殺そうと思うことは簡単だということ。

 同じ人間にも規格外の存在がいるということ。

 人を殺すのは簡単だということ。

 人を殺すのは重いことだということ。



『私が、怖い?』



 ミルクがそう聞いて来た。


 怖い? 何で?


『【雷帝(らいてい)】を連れて来て、あいつを殺させたじゃない』


 あの人は確かに怖かった。

 同じ人間なのに、同じ人間じゃない気がした。


 でも、あの人が来なかったら、俺がやってたと思うんだ。

 命を引き換えにしてでも。

 そして今頃、ルークもミリアも、村長や村のみんなも、泣いてたんじゃないかな。


 赤ちゃんに人殺しをさせてしまったって。


 それに、ミルクへの信仰心にも影響が出たと思う。

 誰も幸せにならない結末を迎えるから。


 ミルクもさ、わかっててやったんだろ?

 俺に同じ人間族を殺させないために。

 だから、既に慣れてしまったあの人を連れて来たんだろ?


 こうなってはダメなのよって。


 ミルクは怖くなんかないよ。

 ミルクは優しい。


 むしろ優し過ぎて、前世の俺よりも自分を犠牲にしているんじゃないか?

 自分を大切にしなきゃいけないのは、きっとミルクの方だ。



 俺、強くなるよ。



 優しいミルクがずっと笑っていられるように。


 みんなで幸せになれるように。


 目指せまったり異世界生活!


 ……これからもよろしくな。ミルク。





 俺の独り言を聞いている間、ミルクはずっと泣いていた。


 でも、最後の言葉を言った後



『これからもよろしくね。エーリ』



 か細い声で、そう言っているのが聞こえた。





 こうして、俺のその後の人生に大きな意味を持つことになった、

 国軍(糞野郎ども)事件は終わった。

本編第10話まで行きました!!

これも見てくださる皆さんのおかげです!


どこまで続くか私にもわかりませんが、これからもよろしくお願いいたします。

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