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第110話 オーク大戦 〜 初戦 〜

続きです。

 皇帝の戦闘準備の掛け声で一斉に動く。


 遠距離攻撃が得意な人達は【神域】近く。

 防御が硬い人達は前線へ。

 遊軍として配置されている冒険者達は各々指定された所で待機している。


 初撃は、遠くにいる敵に大規模魔法を放って数を減らす。

 基本的に将軍職やSランク指定されている冒険者、ゴーレムによる投石が指名されているが、俺も魔力量や威力などから考えて初撃の大役を担うことになった。


 距離は数km前方、狙うは敵陣ど真ん中。


 オードリーはエクレールに乗って上空から支援してくれる。

 今回女性冒険者や女性兵士は後方支援に回る。

 というか回らざるを得ない。


 オークは戦場だろうとなんだろうと、女がいれば犯そうとする。

 事実戦場でオークに孕まされたという文献も残っている。


 将軍【風姫】ですら直接戦闘を禁じられているのだ。

 この戦いでは、絶対に奴らに増殖の機会を与えてはならない。


 伝わってくる振動が大きくなるにつれて、オークの姿も徐々にハッキリと見えてくる。


 闘技場での説明時に見たそのまま。

 兜と禍々しい鎧に身を包んだオークジェネラルと思しきものまでは確認できるな。

 それに一際デカいギガントオークもかなりの数だ。

 何か、巨大な赤い杭の様なものをいくつも抱えている。


 ……攻城戦用か?


 俺が訝しんでいると、後方から軍団長の声が響いた。


「ギガントオークの持っている杭を絶対に【神域】まで届かせるな!! あれ(・・)は対結界用に作られた破界鎚だ! 人族の血で呪詛を書き、呪力で結界を侵食して破壊する! 絶対に届かせてはならん!」


 そんなものまで用意出来るのか。

 見える限りかなりの数がある。

 1発で【神域】が消されるとは思えないが、届かせない方がいいのは確実だ。


 俺達が警戒していると、ギガントオークだけ、10kmほど前方で止まっている。

 乱戦になって手一杯になった所に破界鎚とやらを使う気か?


 そう思っていると、2人1組になったギガントオークが、破界鎚を持って走ってくる。


『エーリ! 投げてくる気です(・・・・・・・・)!!』


 ?!


 音魔法! 【以震伝心】!!

『破界鎚の投擲認む! 迎撃態勢!!』


 俺の言葉に反応した将軍達が檄を飛ばす。

 遠距離魔法特化部隊も魔力の錬成を始めた。

 魔砲にも魔力充填が続けられている。


 間に合え!


 そう俺が思ったのと同時に、ギガントオークが放った破壊鎚が真っ赤な矢となって青空を舞った。

 その数優に数百。


 対する人族は遠距離魔法、魔砲による弾幕にてこれを迎撃。

 大半を撃ち落とすことに成功する。

 俺も【魔電砲】で石を飛ばして何本か撃ち落とした。


 だが、それで撃ち落せないものがチラホラある。


『エーリ、何か変です。魔法を弾いているものがあります!!』

 何?!


 目を凝らしてそれを見つめる。


 ……黒い、点?


 ……?!


 くっ!!


『破界鎚にオークメイジがくくりつけてある物が混じってる! 魔力を含んだ攻撃は無効化されるぞ!!』


 伝えた時には時すでに遅し。


「衝撃に備えよ!!」


 軍団長がそう言うのが精一杯だった。

 響く轟音、伝わる衝撃。


 大多数の破界鎚はレジストされたとはいえ多少の効果があったのか、大地に突き刺さった。

 それでも着弾した傍の兵士を弾き飛ばし、突き刺さった大地を赤黒く染めている。


 そして


「【神域】が!!」


 悲鳴の様な兵士の声が表す様に、【神域】に破界鎚が何本か突き刺さってしまっていた。


 虹色の結界に黒いシミが少しずつ広がっていく。

 そこから溶けるように穴が開いていった。


 皇帝が指示を出しているのが見えるが、後手に回らされたのは確実だ。

 クソ!


 俺達が慌てている間に、オークの歩兵が確実に近づいてきた。


『距離凡そ5km。あと10分程で接敵します!』


 オードリーから敵の接近を告げる報告が上がり、それを魔法で伝える。

 もうそろそろこちらの初撃を与えないと、そのままの数で戦うことになる。

 それだけは防がなくては!


「遠距離戦用意!」


 号令もかかり、俺達は穴が開いた【神域】に背を向け、魔力錬成を始める。

 そして奴らがあと3kmに迫った頃、こちらの攻撃が漸く始まった。


 将軍達、高ランク冒険者達の大規模魔法。

 空に色とりどりの魔力が煌めき、オークの部隊を蹴散らしていく。

 俺もここまでで練り上げた魔力を1番得意な魔法に変換して叩き込む。


 これをこの規模でやるのも久しぶりだ。

 よくもミルク村にもある【神域】を汚してくれたな……!


「俺達の怒り、その身をもって思い知れ! 【千客万雷】!!」


 5歳の時に初めて使った大魔法。

 あの時とは比べものにならないぞ。


 俺の魔力が空を覆い、オークの部隊がいる場所めがけて極太の雷が雨霰と落ちていく。

 炭酸が弾ける様にオークらしき黒い物体が飛び散っていくのが見えた。


 俺達の戦果に、後手に回って落ちていた兵士達の士気も上がる。


 オードリー、今のでどれくらい減った?

『ちょっと待ってください。煙が凄くて……そんな』


 オードリーの焦り、恐怖の感情が流れ込んでくる。


 見たままを伝えてくれ。

『は、はい……オークの軍勢、今の大規模攻撃での損耗率、5%いくかどうかです……。今も山頂から続々と増援がきていて、数が、わかりません』


 震える声。

 絶望の数は以前の何倍も膨らんでいた様だ。


 俺も冷や汗が吹き出るのを感じながら、皇帝にその事実を伝える。


 チラリと見た皇帝は、遠くを見つめて歯ぎしりをしていた。

 こちらの予想を覆すオークの軍勢。

 戦況は刻一刻と悪くなっていく。


 だが、立ち止まってもいられない。

 俺がフルチャージでの大魔法を使おうと魔力を練っていると、大規模魔法で出来た煙を文字通り突き破り、















 破界鎚が飛来した(・・・・・・・・)。





「なっ?!」


 余りに突然の出来事。

 その衝撃に、人族の時は止まってしまった。

 誰もが呆然とその行方を見つめ、結果……。


 バリン! 、という音を立てて、全能神ミルクの防御結界【神域】は崩れさった。


 結界が崩れ去る姿を見て、膝を折る兵士が見える。

 信奉する神の力が破れさるという事実は、兵士達の上がっていた士気を地下深くまで落としていた。


 そんな時、



『何をやっているのよ!!』



 全員の脳内に、あの声(・・・)が響いたのだった。


流石に2日徹夜は老体には無理でした。

遅れてしまって申し訳ないです。

年内はこんな感じになるかもしれませんが、年末休で何とか戻そうと思います。

あ、メリークリスマス。


いつも見て下さってありがとうございます。

お気に召しましたらブクマ、最新話下の評価をよろしくお願いいたします。

感想もお気軽にどうぞ。

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