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第7話 国軍(糞野郎ども)

本編に戻りますが、今回は書いていて胃がキリキリしました。


注! 糞野郎が出て来ます。そういった展開が苦手な方は、次回から読むことをお勧めします。


※2017/10/15 誤字など修正しました。

 ミルクフェス(本祭)から3日が経ち、引きこもっていたミルクも戻ってきた。

 フェスではあれほど怒ったり泣いたりしていたけど、戻ってきたミルクの表情は晴れやかだった。


『あの時は情けないものを見せちゃって、ごめんね。』


 そう言って舌をペロッと出す姿はとても可愛いく、

 二つ返事で


「だぁ!(許す!)」


 と言ったほどだった。ミリアとルークはビクッとしてたな。

 まあ、俺にとっての日常が戻ってきた。

 赤ちゃん生活では、赤ちゃんらしく振舞う術や、魔力の扱い方を練習して過ごし、ミルク様からもお褒めの言葉を賜るくらいには上達した。

 そうして2ヵ月が経った頃、


「湖にピクニックにでも行きましょうか。」


 とミリアが言ってきた。


「身体は大丈夫なのか?まだ休んでた方がいいと思うけど。」


 ルークはミリアを心配している。そうだぞ、無理すんなミリア。


「大丈夫よ。それに、エーリにもあの湖を見せてあげたいの。私達の思い出の場所を。」

「そうか。じゃあ、久しぶりに行ってみよう。ちょっと準備してくる。」


 そう言うと、ルークはピクニック用具を取りに出て行った。


 なお、俺の名前は晴れてエーリとなった。

 村長が寝てる時に、ミルクが一晩中頭に話しかけ続けたそうだ。

 名付けの時の村長は、目の下に酷い隈を作っていたっけ。


 暫くして準備が整い、この世界、と言うか前世含めて初めてのピクニックを行なっている。

 荷馬車を借りて俺とミリアが後ろに座り、ルークが御者台に座る。

 ガタゴトと振動は来るが、家族団欒のひと時はとても楽しいものだった。


『良い子たちね。』


 ん? ミリアとルークか?


『そう。出来るだけ優しくて、エーリを愛してくれる人に当たりますようにって、祈っていたのよ。最初は不安だったけど、この数ヵ月で祈りが届いたって、確信したわ。』


 神様も祈るんだな。その願いは誰が叶えるんだ?


『・・・私達神を信じてくれる全ての存在よ。面白いんだけど、神が出来ないことを、例えば人が簡単にやってしまったりするのよ。』


 ふーん。面白いな、それ。


『ふふふ。でしょう?』


 ミルクとの会話を楽しんでいると、目的地に着いたようだ。

 ルークに手伝ってもらいながら、俺を抱っこしたミリアが降りる。


「ほら見てエーリ。お父さんとお母さんが大好きな湖よ。」


 そう言ってミリアが俺の顔をそちらに向けてくれる。


「だぁ!(凄い!)ばぁば!(綺麗だ!)」


 思わず声が出るほどに、その湖は輝いていた。


「ははは! どうやらエーリも気に入ったみたいだな!」

「ふふ、私達の子どもですもの。」

「ミリア・・・。」

「ルーク・・・ん。」


 両親のこう言うのを間近で見せつけられるのって、なんか嫌だな。


「親といったってね。あ、爆発しろとか思わないでよ?」


 大丈夫だよ! あの時の俺とは違うの!


『なら良いけど。』


 その間も熱い口づけは続いている。

 俺はそれを見ないように湖の方を見ていた。




 キラっと、遠くに何かが見えたような気がした。


 ん? なんだ? 人?


 よく見ると、10人程度の集団? が湖畔にいるのが見えた。


「だぶ!(おい!)ばぶぅあば!(あそこに誰かいるぞ!)」

「ん! ど、どうしたエーリ?・・・ん? あれは、国軍、か?」

「んん! 珍しいわね。何の用かしら?」

「・・・そう言えば山賊の連中、国軍から離反してたんだったよな?」

「まさか、追ってきたのかしら?」

「かもしれん。とりあえず聞かれても知らぬ存ぜぬで行こう。」

「ええ。」


 うーん、山賊達を追ってきたかもしれない国軍、か。

 あんまり関わりたくないな。


 そう思っていると、国軍の一人がこちらを見て指を指しているのが見えた。

 ゾロゾロとこちらに向かって来る。

 近づいてきたそいつらは、フルプレート、と言うのだろうか?

 全身を銀色の鎧に包んでいた。


 顔の部分を開けていて、こちらを見ているのがわかるが、なんとなく嫌な予感がした。

 背筋がざわつくのを感じる。

 一際装飾が豪華な奴が立ち止まり、ミリアをじーっと見つめた後、ニヤリと笑う。

 この部隊の隊長、か?


「女。この先の村のものか?」


 偉そうな態度でミリアに声をかける。


「は、はい。そうでございます。」


「ふむ。我らは国軍でありながら不正を行ってきた反逆者を追ってきた辺境軍である。この付近に逃げ込んだとの情報が齎されたために、このような田舎まで参ったのだが、知らぬか?」


「さあ、ここ最近旅人もやってまいりませんでしたので。」


 糞ムカつく喋り方をするこの男に対して、素晴らしい演技をするミリア。流石だ。


「ふむ。村に向かいたいのだが道がわからぬ。案内してくれぬか?」

「でしたら私が案内いたします。」


 ルークが一歩前に出てそう言う。良いぞルーク。それでこそ男だ。


「お前はいらぬ。こちらにきて案内してくれ、さあ。」

「あ!」


 隊長がミリアの腕を掴み、無理やり引っ張っていく。

 ミリアは俺を落とさないように必死だ。


「何をするんです! 妻が嫌がっています、おやめ下さい!」


 ルークが隊長の手を掴んだ。


「邪魔だ、クズめ。」

「ぐっ!!」


 ズシャア!っとルークが吹き飛ぶ。

 この糞野郎、手甲で裏拳しやがった!


「ルーク!!」


 ミリアの叫び声が湖に響く。


「クズの分際で皇帝陛下より賜ったこの鎧に触るな!」


 糞野郎が吐き捨てる。


「さて、我らは長旅で疲れている。帝国国民たるそなたには、我らを癒す義務がある。違うか?」

「違いませんな!」


 糞野郎が部下に問いかけ、その部下も同調してニヤニヤしている。

 ・・・こいつら。


「妻と、ゲホ! 息子に手を出すな!!」


 ルークが剣を抜き、糞野郎に向ける。

 ダメだ、ルーク。多分こいつら・・・。


「おい、遊んでやれ。」


 やれやれ、といった顔で糞野郎が顎をクイっとすると、数人の部下がルークに向かっていった。

 遊ぶようにルークと剣を交えた後、ルークの剣を弾き飛ばし、よろめいてがら空きとなった身体に蹴りを加える。


「ぐふ! おえええぇ!」


 腹を蹴られたルークは、吐瀉物を撒き散らしながら腹を抑えている。


「おお汚い! これだから田舎の野蛮人は困る。クズはクズらしく、地べたを這いずり回っていれば良いのだ。せいぜいそこで、この女が我らを癒す様を見ていれば良い。」

「隊長殿! 一人何回でありますか?!」

「そうさな、夜までには村に着きたい。一人2回まで許そう。」

「ありがたきお言葉!」

「よっしゃ! こんな田舎で飛んだ収穫だったな!」

「ああ、超楽しみだぜ!」

「一緒にヤるか? この赤ん坊に弟か妹作ってやろうぜ!」

「お、良いね〜。誰の子が出来るかな?」


「い、いやっ!」

「ミ゛、ミ゛リア゛」


 糞野郎どもが下卑た会話をしている。

 ミリアの顔は青ざめ、カタカタと震えている。

 ルークも動こうとするが、痛みが酷いのだろう、動くことができずにいた。






 俺は、ミリアとルークが好きだ。


 ミリアは美人で、俺が何をしても嬉しそうにしてくれる。

 自分だって疲れているだろうに、いつも俺を第一に考えてくれて、

 時々ルークに申し訳ないと思うくらいだ。


 ルークも、最初こそ爆発しろだなんて思っていたけど、

 この2ヵ月ちょっとで、俺とミリアを愛してくれていることがわかった。

 俺の顔がどっち似かなんて話で、自分に似てるって言い張って、

 ミリアに苦笑いされていたな。


 大きくなったら俺といっぱい遊ぶんだって、

 子供みたいに目をキラキラさせてたっけ。


 俺のお父さん、お母さんはこの人たちだ。


 そのお父さん、お母さんを害するこいつらは、敵だ。





 もう、良いよな?ミルク。





『そうね。猶予は与えたわ。生かさなかったのは、こいつらの責任よ。』





 この世界に来て初めて、自分の意思で戦うことを誓う。

 俺の大切な人達を害するこいつらは、敵だ。





 絶対に





 許さない





 そうして、俺たちと国軍(糞野郎ども)の戦いが始まった。


これから少しシリアス回が続きますが、ご容赦下さい。

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