遠ざかる街
その日、商業都市の宿に、手紙が届きました。
「"寄せ集めの6人組、アルド様へ"?私に……誰だろう?」
裏を確認してみると、北の街の、宿のオヤジさん……?
"元気にしているか?お前らが何をしたのかは知らないが、エンツォをしつこく探してた奴らは1週間くらい前に居なくなっちまったし、そろそろ帰ってきな!"
……良かった、きっと諦めてくれたんだ……
なぜエンツォさんを探していたのかは知らないけれど、安心させようと、そして……
そろそろ帰還の目処を立てようと、私は仲間の集まる宿のラウンジへと降りてゆきました……
報告を聞いた皆は、ホッとした顔をしていました。
逃げるときはあれだけ慌てて大変でしたから、当然ですよね。
「良かったですね!エンツォさん!」
「これで堂々と街へ帰れるぜ!」
エルナさんとジオさんは嬉しそう。
「もうちょっと居てもよかったなー」
「まだこの商業都市に正義を広めきれていない!」
名残惜しそうなのがミアさんとエンツォさん。
「………………」
ネロさんは……
エンツォさんの隣でボウガンの手入れをしています。
我関せずといった感じですね。
というわけで、私達は北の街に帰る前に、お土産物を買っていくことにしました……
まずは老舗の元祖和菓子屋さん!
「日持ちのする和菓子……羊羹なんかどうですかね……でも、もうこの街を去られるんですか?寂しくなりますね。」
……ギルドの皆さんと、宿のオヤジさんたちに羊羹を買いました……
そうですね……確かに、私も寂しい。
この街には、楽しい思い出が多かったから……
「私は宿のオヤジさんにこの硬いフルーツをお土産にすることにしたよー!」
「私は……この街の特産の、フウリン、というものにしました。風が吹くときれいな音が鳴るんです!」
ミアさんとエルナさんはそれぞれ朝市で買ったフルーツと、特産品にするようです!
「俺はまだ決まってないんだよなぁ……あのオヤジさんだぜ?土産とかいるか?」
「ジオはー!礼儀を知りなさいー!」
大騒ぎです。
ネロさんとエンツォさんは2人で美味しい魚の干物を選んできていました。
「形に残るものもいいが、感動した体験をおすそ分けだ!」
「………………」
皆さん、楽しそうです。
そうしてジオさんは結局自分のサボテンをひとつお土産にすることに決めたようです。
「オヤジさんに大事にされるんだぞ……サボ子……」
名前つけてたんですか。
私たちは最後にと、都市の屋台でイカ焼きを食べました。
クラーケン焼きのことが思い出されます……
あれ完全にイカだったな……肉厚なイカだったな……
そうして私たちは船に乗り、1週間の旅に出ます。
だんだん遠くなっていく商業都市。
マーマンに絡まれた日。
何もしなかった暑すぎた日。
海賊の宝を探した日。
花火をみんなで見た日……
そして、クラーケンをみんなで撃退した日……
思い出は、たくさんあります。
エルナさんもそうなのでしょうか、寂しそうに商業都市を見ています。
「……また来ましょうか。いつか、また。」
「……そうですね!楽しかったですもんね!」
そうして私たちは船で大陸を渡り、定期便で元の街に戻って来たのでした。
なんだか旅行気分でもあったけど、成長も感じられた、そんな旅でした。




