南の大陸の、何もない一日
「うーん!ココナッツジュースっておいしいね!エルナちゃん!」
「こ、こんな硬い実の中にこんなに水分が……不思議ですね、ミアさん!」
女性陣はキャッキャと笑って南の大陸独特のジュースを飲んでいます。
二人とも、北の大陸にいた頃は真っ白だった肌がこんがりと焼けています。
……二人とも、いいなぁ……健康的な焼け方で……
焼けると真っ赤になってしまう肌の弱い私、アルドは羨ましいと思いながら2人を見つめました。
ローブを深くかぶり、なるべく日から避ける……
けど、暑いんですよねこの格好……
「ただいまー!小魚いっぱい捕れたぜ!」
「ただいま!ネロ!この小魚は揚げて食べるとそのまま食べられるらしいんだ!からっと揚げてくれないか?」
「…………分かった。やってみる。」
「ネロさんたまにはめんどくさいとか言っても良いんですよ……?」
私と同じく、日に焼けると肌が赤くなってしまうネロさん……
彼もしっかり薬を塗り込み、フードをかぶって基本的には屋内で過ごしている。
「その格好で揚げ物なんて暑いでしょうに……」
「はっ……!すまない!気づかなかったネロ!無理にそんな事する必要ない!」
「……いいんだ。俺も少しは役に立ちたい。」
揚げ鍋を用意するネロさん。今日のお昼はまた魚かぁ……
嫌いではないが、この港町に来てから毎日だ。飽きはする。
他にも、海を一つ隔てただけなのに、随分と食文化が変わってしまい慣れるのには結構苦労した。
……けど、あの街の食事も懐かしいなあ。
街を離れてから一カ月。私はすでにホームシック気味だった。
そうはいってもこの暑さ。
今は南の大陸は夏らしく、カラッとはしているが、暑くてたまらない。
私は溶けかけたかき氷をまたゆっくり口に運んだ。
……暑いからって急いで食べ過ぎて頭痛になったこともありました。
みんな好きなかき氷の味は違うようです……
エンツォさんはブルーハワイ、ネロさんはメロン。エルナさんはイチゴ。ミアさんはマンゴー。ジオさんはウジキントキ……?という味。ちなみに私はみぞれが好きです。
ただの削り氷にしか見えないって?そこが良いんですよ。
はあ……気だるいため息をつきます。
今日はギルドにも丁度いい依頼はなかったし、最近では海でジオさんとエンツォさんが魚を獲ってくるからそこまで食費にも困っていないし、暑くてやる気は出ないし……
……ぼんやりとしている間にかき氷は溶けてしまいました。
ああ、勿体ないなあ……
今日のお昼は小魚の唐揚げとライス。
南の大陸に来て初めて食べましたが、手で食べる現地の人のようには慣れなくて、私たちのパーティはみんなスプーンを使って食べています。
……飽きたとは言っても、ネロさんの料理、やっぱり美味しいんですよねぇ……
そうして女性陣は海辺へ泳ぎに行き、ジオさんとエンツォさんは昼寝に入り、ネロさんは食器の片付けをしていました……
私?私は……今日は何もしない日だと決めました。ゆっくりします。
そして夕日が沈む頃……この街からは、水平線に沈んでゆく真っ赤な夕日が見えます。
今日は本当に何もしない1日だったな……明日は真面目にしよう……
そう思いながら、私はゆっくりと目を閉じました。




