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ひとつだけ、うまくいった

最近、ミアさんの元気があまりありません……

笑っていても、パッとした明るさが感じられないんです。

この間の依頼のこと、やっぱり気にしているのかしら……

私だって……何もできなかったのに……

……そうだ!

私、エルナはいい事思いついちゃいました!



「と、いうわけで……ネロ師匠、よろしくお願いしますね!」

「よ、よろしくお願いします!」

「…………!?」


ネロさんはおやつの時間少し前に乱入してきた私たちに目を白黒させています。


「今日はバナナクレープでしょう?ミアさんの大好物なんです!だから、ミアさんに完璧なクレープの作り方を伝授して欲しくって!」


もちろん私も横で見てますから!そう言うとネロさんは、


「…………ああ。」


と言って、半分スペースを空けてくれました!

やったねミアさん!

これで少しでもミアさんの料理で大変なことになる人も減るといいのですが……


「……まずは、薄力粉をボウルに……」

「これね!」


ドサーッ!


「ミアさん量を測ってください量を!!!」

「…………」


ネロさんが遠い目をしています……やっぱり無茶だったのかしら……



ちゃんとミアさんには必要な量を測り直してもらって、2ターン目です!


「溶き卵、砂糖、多少の塩を……」

「これね!」

「ミアさん……落ち着いて測ってくださいね……ミアさん!」

「だ、大丈夫!」

「………………」


ネロさんが怪訝な目で見ています……

みんなの分の生地は守ろうとしてるみたい……



「……牛乳を三分の一……まず混ぜる。ダマにならないように……泡だて器で……」

「こう?」


ガシャシャシャシャ!!!


「ミアさん落ち着いて、ミアさん!!!」


ダマどころじゃありません!

あっ、ついにネロさんの目が警戒モードに入りました!



そして私たちは溶かしバターを加え……

なぜかマヨネーズを入れようとするミアさんをおちつかせ……

少しの休憩に入りました。

クレープ生地は30分くらい寝かせるんですって!


そして休憩した後、寝かし時間が終わるまでにバナナとクリームを用意します!

3ターン目!ネロさんの手際がいい!姿勢もいい!見習わなくちゃ……!

ミアさん?ミアさんはすごい勢いでクリームをカチカチに泡立てていました。

止める間も無かったです。すごいなー……

そしてついに焼くターン!

ここまで割とまともに来れてる……ネロ師匠、凄い!


「ミアさん強火じゃなくて中火です!それだと焦げちゃいます!」

「えっ?でもこのほうが早くできるよね?」


……ネロさんは諦めたのかみんなの分のクレープ生地を淡々と焼いていました……

できたクレープ生地はほとんどが真っ黒焦げ。

でも1枚だけ……綺麗な生地がありました!まるで奇跡のように……

ミアさんは一生懸命手巻きしています……

売ってるものとは違って、ちょっとだけ焦げてるけど、クリームは硬いけど……

けど、真っ当なクレープの完成です!

……真っ当って言って良いですよね?



そうして迎えたおやつの時間……

ミアさんは、ジオさんにクレープ皿を差し出しました。


「この間はごめんね……今日は、最初からエルナちゃんに見てもらったから、微妙じゃないと思う……」


いつもの料理も微妙じゃありませんけどね……(凄い意味で)

ジオさんは、少し躊躇って……一口、がぶりと噛みちぎりました……

5秒……10秒……


「………美味い………」

……誰も、すぐに声を出せませんでした。

本当に、本当ですか……?

やった!私とミアさんは手を取り合って笑いました!

……ネロさんは大量の黒焦げ生地を見つめていましたけれど、いつもの被害と比べたら微々たるものです!

粗食に慣れてる私も食べるの手伝います!


「ネロに教わったのか!?さすがネロ!ネロの料理は正義だ!」


今日はエンツォさんの言葉に頷きたい気分です!

そして……結局私たちはそれぞれ黒焦げクレープを分け合って食べ……

ネロさんのクレープも食べ……

お腹いっぱいになりすぎてしまったのでした……

でも、ミアさんが元気になってよかった。

そんなふうに思えた1日でした。

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