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指揮なき戦い

「妖精の森に、危険な花……?」


私エルナは、いつか行ったあの森の依頼を見つけました。

友好的なドラゴン……いたずら好きな妖精たち……

もしかしたら情報を聞けるかもしれません。

私はアルドさんに依頼を持っていきました。


「妖精の森……妖精の森ですかあ……」


アルドさんは渋っている様子。あの森では色々大変でしたものね。


「けどドラゴンや妖精たちに情報を聞けるかもしれませんし……」


あ、私と同じ事思ってる!気が合いますね!


「あれから一度も挨拶に行っていませんでしたし、助かりましたし、お礼を持って行ってみましょうか!」



「妖精の森!?またドラゴンの……姉御に接待するのかよ!?」

「ジオ気に入られてたもんね〜」

「こんどこそネロは駄目だからな!」

「……………」


皆、思い思いの反応をしています。アルドさんは、


「ですが……森から出られたのはドラゴンのおかげですし、お礼ついでに魔物を倒しに行きませんか?」


と、多めに買った上物のワインを見せました。


「………それなら俺が菓子を焼く………」


ネロさんも行く気になったみたいです!


「アルド、礼ついでに依頼……なんか気が抜けてねぇか?危険な花なのは確かなんだろう?」


ジオさんの指摘!アルドさんはハッとしました。


「そう……ですよね。リーダーの私がしっかりしなくては。」


そうして、私たちは思い思いのお礼を持って、妖精の森へ向かいました……



妖精の森は……

相変わらずキラキラはしているけれど、なんだか輝きに元気がないようでした。


「妖精よ、わが力を持って、目の前に、姿を現せ!」


光の一つ一つが妖精にかわります……

けれど、妖精たちは前の無邪気さが鳴りを潜めたかのように怯えていました。


あっ!冒険者!また来てくれたの?今森には怖いのがいるんだよ!俺の友達は食べられちゃった……私の友達もよ!


一斉に喋る妖精たち……


「えっと……私たち、たぶんその怖いのをなんとかしに来たの。ドラゴンさんに挨拶をしたら向かう予定だから、少し待ってね?」


妖精たちは一気に湧きました……



妖精たちに導かれて奥へ、奥へ……

ドラゴンのいる妖精の森の中心地へ……

そうして、そこに、変わらずドラゴンはいました。

私たちではたとえ天地がひっくり返っても勝てない、圧倒的な相手……

足が震えます。それでもアルドさんは声をかけました。


「あ、あの、ドラゴンの御方。私たちは、少し前に助けられた冒険者です……」


ドラゴンは目を開けて……

あっという間に金の光に包まれ、その形を人へと変えてゆきます。


「おお!悪役顔ではないか!元気であったか!ワイルド系に綺麗系に……初々しい花も元気そうだな!うむ!」


私たちは思い思いに選んだお礼の品をドラゴンに渡します……ドラゴンは


「また酒宴でもせぬか?ワイルド系と綺麗系は私の隣。花は膝の上で……」


などと言われましたが、丁重にお断りしました。

その代わりアルドさんは言いました。


「私達は、今日は危険な花を倒しに来たのです……妖精たちも、怯えているみたいですし……」

「ああ、あの花か……邪魔だし花粉のせいでくしゃみがよく出る。倒してくれるなら、それに越したことはない」


と、危険な花の場所を教えてくれました。しかし――


「気をつけろよ悪役顔よ。あの花は人や妖精を状態異常にして喰らうのだ。花粉は吸い込むな。いいな?」


私達はドラゴンの忠告を受け、その場を後にしました……



そうして……私たちは花の場所へたどり着きました……

何この匂い……?甘い匂い……?クラッとする……

そこには、まるでラフレシアみたいな大きな花が鎮座していました……

今にもぐったりとした妖精が食べられてしまいそうです!


「止めなさい!」


アルドさんが咄嗟に杖で触手を叩きます……その瞬間、花粉がアルドさんに!?


「うっ……!?」


アルドさんは耐えようとしましたが、直後ぐったりと、その場に倒れ込んでしまいました……

どうしよう!?アルドさんは最大火力なのに!?

一瞬の空白……誰も指示を出しません!どうしたら?


「とりあえず叩くぞ!」


ジオさんの声が飛びます!


「あのままじゃアルドが食われちまう!」


前衛の3人は同時に飛び出していきました……

しかし、どうにもタイミングが合いません。

ジオさんとミアさんは思い思いに叩き、エンツォさんが……


「突撃ーーー!」


と叫んで、花の触手で叩かれ続けています!

私は……アルドさんの所まで行かなくちゃいけないのに……

触手が邪魔をして、前へ進めません!

花は……アルドさんへ視線を向けます。まさか、食べようと……!?


「……ジオ、ミア、アルドまでの道を切り拓け!」


ネロさんから指示が飛びます!

ジオさんとミアさんは触手を振り払い、斬り払いながら……

そこへネロさんが突っ込んだ!?

アルドさんを無理矢理引きずり、ネロさんが私の下までやってきました!


「……任せた。」


そう言うとネロさんはエンツォさんを差し殺そうとする触手を振り払いに行きました。


「アルドさん!アルドさん!起きてください!」


必死に私はアルドさんを揺さぶりました。

それでも目覚めないアルドさん……これは、最終手段です、ごめんなさい!


「えーい!」


パアンとアルドさんの頬が鳴りました。

うう、とつぶやいて、目を開けるアルドさん……

すでに戦闘が始まっている場面を見て、ぎょっとしています。

慌ててアルドさんは指揮に戻りました。


「ジオさんとネロさんは触手に集中して!ミアさんはエンツォさんを庇って!エンツォさんは最大火力で突撃を!」


指示を飛ばして、魔法のカウントに入ります!

私もそのあたりに倒れている妖精たちの救護に回りました!


「うおおおお!」


エンツォさんの突撃!

刺殺してこようとする触手から、ミアさんに庇われて、今度はキレイに決まりました!

花はぐらりと傾きます!


「水よ、わが力を持って、目の前の敵を、貫け!」

「ここで負けるかあああぁ!!!」


アルドさんの魔法と、エンツォさんの再びの突撃!

花は突撃で空まで吹き飛ばされ、そこへ魔法で貫かれました……



「はあ……ひどい目に遭ったぜ……」


ジオさんは触手のムチであざだらけです。


「やっぱり指揮って大事だよねー……」


ミアさんは疲れ切っている様子でした。


「本当にすみません……」


最初に脱落したアルドさんはしょんぼり顔。


「だがアルドがいてくれたから勝てた!正義だ!」

「…………エルナもだ」

「いえ、私なんかより、アルドさんを助けてくれたネロさんが……」


わいわい、がやがや……

また今日も一つ人の役に立って、同じ宿に帰る。

いつものことですが、なんだかとても奇跡的なことのように思えました。

人の出会いって、不思議ですね。

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