それでも、任されたから。
「と、いうわけで。反省会行こっか!」
ミアさんが元気に言いだしました。
今回の議題は、真っ先にアルドさんが倒れてしまった時の為の、副リーダー決めです。
前、アルドさんが倒れてしまった時の戦闘、ぐだぐだでしたもんね……
エンツォさんがビッと手を上げます。
「俺はネロを推薦するぞ!ネロは全体を見ていて、いつも冷静だ!」
今度はミアさんが手を挙げます。
「ジオだって負けちゃいないんだから!この間の戦闘、真っ先に喋ったの、ジオだったもん!」
「俺はエルナなんかもいいと思うけどな」
ジオさん!?いきなり私を議題に押し上げないでください!
「いつも後ろで全体を見てるだろ?行けるって」
「むむむ、無理です!私はネロさんに一票です!」
無口だけどしっかり者。
あの時もアルドさんを助けたのはネロさんでした。
「………俺は、エルナがいい。」
ネロさんまで言い出した!?
これで……ジオさん1票、私2票、ネロさん2票……
アルドさん……どうしましょう?
「私はエルナさん推しです、実は結構、頭が回るの、知ってますよ。倒れにくい位置にいつも居ますしね。……パニックになりやすいのは、困りものですけど。」
なんてこと……まさか私が副リーダーに決まってしまうなんて!?
「ということで。」
アルドさんがぱんと手を叩きました。
「副リーダーが決まったお祝いでもしましょう!この間の花の討伐の報奨金、かなりありましたしね。」
「えっ……えっ……」
「決まり!エルナちゃんのお祝い〜」
「……料理は、俺が作る。」
「力仕事の手伝いは任せとけ!」
「えっ……えっ……!?無理です、私なんかには……嫌ですよ!」
しかし、そんな私に声がかかります。
「と、言うわけでエルナさん。」
アルドさんに笑顔でポンと肩を叩かれました。
「今から私と一緒に、ケーキ買いにいきましょうか。」
私は、アルドさんに連れられて、中央公園に来ていました……何故……?
「いえ、すこし私の話をしておきたくて」
「アルドさんのお話……?」
なんだろう……やっぱり私には副リーダーは無理って話かな……
そうだよね、私なんかが失敗して、怪我人でも出したら……。
「ええ……いま、不安でしょう、心配でしょう?でも、大丈夫。そのために、リーダーがいるんですよ。」
アルドさんは優しく微笑みました。
「私も任命されたばかりの頃、どうすればいいのか、責任を負うってどういうことなのか……凄く迷いました。面倒だし、無理だって思いました……けど……なんだかんだ、みんなに助けられている。」
「わ、私は……そんな、お役には……」
「もっと自信を持っていいんですよ、エルナさん。それで、駄目だったら……リーダーに押し付けちゃえばいいんです!リーダーってそんな時のためにあるものでしょう?」
頭だけならいくらだって下げられますよ!
それに、いざとなったら逃げちゃえばいいんです!
アルドさんはガッツポーズ。
私は……卑怯かもしれませんが、すこしだけ……ホッとしました。
「うん、いつものエルナさんに戻りましたね……じゃあ、行きましょうか。」
えっ?行くってどこへ……
「ケーキ屋さんですよ。」
……あれって私を連れ出すための方便じゃなかったんだ……
そしてケーキ屋さん。私はまだぼんやりとしていました。
色とりどりのケーキ。けど、頭に入ってこない……
「決まりましたか?」
「いえ……まだ……」
「気楽に決めちゃっていいんですよ。本当にどうにもならないことなんて、そんなにはないんですから……気に入らなかったら、ケーキ、交換してもらえばいいんです!」
その言葉に、私はなんとなくでケーキを選びました。
おいしそうないちごのケーキ。
でも、本当に気に入らなかったら交換してもらう、なんてやり方、許されるのかしら……
そしてケーキを買って帰る頃、宿はすっかり飾り付けられてました……
お客さんが私たち以外居ないからって、いいのかなこれ……
「副リーダーはそんな事気にするなって!力仕事は俺の役目だからな!」
「ほらほらエルナちゃんの席はここだよー!」
「………………」
ネロさんの持ってきたのはポテトのグラタン。チーズたっぷり……
私の好物です、覚えててくれたんだ……
孤児院での日々が蘇ります。みんなで争うようにして食べたっけ……
「エルナちゃん、グラタン好きだもんね!」
「特にポテトグラタンのときは目の輝きが違うよなあ。」
バレてた……恥ずかしい……
でも、あの頃は取り合いだったのに、今はこんなにゆっくり食べられるなんて!
そして、アルドさんがジュースを掲げます。……そこはお酒じゃないんですね……
「さて、皆さん。副リーダーの決定と成長を願って、乾杯!」
私も、強くなれるように、しっかりとグラスを握りしめました。
「「「「「乾杯!」」」」」




