虹色鉱石と巨大ゴーレム
「鉱山帯に……謎の鉱石……?」
今日も今日とて、私、アルドはエルナさんと一緒にギルドに依頼を探しに来ています。
最近、少しのんびりしすぎましたからね。
真面目な依頼も受けなくてはなりません。
「鉱石を取ってくればいいんですか?」
「みたいですね……レアな虹色の謎の鉱石らしいですが……」
新しい鉱脈が見つかれば、商業でにぎわうこの街が、もっといろんな職業でにぎわうことになるのかもしれない。
人数分のツルハシを買わなくては……そう思いながら私は依頼書を懐に入れました。
「まあ、力仕事もできるぜ?ミアには……負けるが……」
「鉱石掘り、頑張るよー!」
「正義のツルハシが唸る時!鉱石は自ら姿を現し砕かれるだろう!」
「いや砕いちゃだめなんですって、エンツォさん……」
「……………」
「このツルハシ……結構、重いですけど……お役に立てるかな、私……」
思い思いに準備をして、いつものようにネロさんのお弁当を持って。
私たちパーティは出発しました!
目指すは街の北西!
しばらく前に閉山した、昔は銅鉱脈のあった山です!
鉱山は冒険者で溢れかえっていました……もちろん普通の鉱夫の方も。
新しい産業になるかもと大賑わいです!
私たちもツルハシを持って参加することにしました。
ですが……私とエルナさんは……
「す、すみません皆さん……」
「つ、ツルハシ……重くって……」
早々に離脱。リーダーが、なんて情けない……
暫くしてネロさんも離脱組に混じってきました。
正直シーフで力の無いネロさんがここまで頑張っただけでも凄いですよ……
とりあえず私たちはお昼の用意をします。
「………今日は、汗流すから、塩味濃いめ」
ネロさんが言います。
さりげないことですが、大事ですよね……
お昼時になって、エンツォさん、ジオさん、ミアさんが戻ってきました。
「今日も飯うまそうだな〜!」
「ネロの料理は俺の特権!分けてるだけなんだからな!」
「独り占めは正義じゃないよ〜?」
エンツォさん、撃沈。
お昼ゴハンをたべて、ほっと一息。少しだけ休んで、また掘削に戻ろうとした、そのとき……
ぐらり、と目の前が揺れる感触がしました。これは、魔力酔い……?
「虹色だ!虹色の鉱石が出たぞ!!」
ワッと湧く冒険者たち。ツルハシで叩く鉱夫の方々……でも、それは……
「なんだ?周りの岩、やたらと硬いな?」
「待ってください、その岩ーー」
言い終わる前に、変化が起きました。
岩壁から、ごとり、ごとりと巨大な手足……まさか……ゴーレム!?
「戦えない方は逃げて!逃げてください!」
正直あの大きさのゴーレム……!私たちだって戦うのは無理だ!
鉱夫の方々がつぎつぎと狭い通路を逃げてゆく……そこへ、ゴーレムの手が……!
「させないん……だからっ!」
ミアさんのシールドバッシュ!しかし!
「うそ!?鉄の大盾に買い換えたのに!?」
べっこりと凹んでしまっています。どれだけ硬いんだ!あのゴーレム!
とにかく鉱夫の方々を逃がし終わった頃、私たちやほかの冒険者パーティはそれぞれに攻撃を繰り出します。
しかし、とにかく硬い……動きが遅いのが、唯一の救いだ!
「ゴーレムの胸についている虹色の鉱石……あれが核です!」
しかし、狙うにもゴーレムは背が高すぎて届きようがない!
「水よ、わが力を持って――」
ほかの魔道士も詠唱を始めます!
「炎よ!弾けろ!」
まさか2カウントがいる!?この戦い、勝てるかもしれない!
「大地よ、わが力を持って、貫け!……くそっ、同じ地属性だ、効きが悪い!」
「目の前の敵を、凍りつかせよ!」
しかし、私の詠唱もろくに効いていない!
振り下ろされる拳。
逃げ場がない——間に合わない。
あ、私、死んだかな―――
そこへミアさんとエンツォさんとジオさんが3人で大盾を構えて滑り込んできました!三人がかりですら、押される!
「つまり核に直接攻撃できればいいんだろ!うおおおお!」
他パーティの戦士の人が、ツルハシを持って足に突撃します!他のパーティの人たちも一斉に両足に群がっていきます!
ゴーレムは手を振り回しますが……鈍足!こんどこそ、当たりません!
「俺たちも行くぜ!ゴーレム削岩!」
「もう怒った!本気でツルハシ使いつぶしちゃう!」
「正義の削岩お見せする!」
ネロさんも非力ながらツルハシを持って向かい、次にゴーレムの拳が来る所を指示して居ます!
エルナさんはふっ飛ばされた方々の回復に回りました。
とにかく私にできることは1つ!
「風よ、わが力を持って、切り裂け!」
「炎よ!弾けろ!」
「水よ、わが力を持って、目の前の敵を、貫け!」
他の人よりカウントが遅くても、何度もコアに命中させる事!
ピシピシ……と、ついにゴーレムの足にヒビが入り始めました!
「………崩れる!こっちのやつ、逃げろ!」
ネロさんの指示で他パーティは倒れたゴーレムから逃げ出します!
「うおおおこっちの足も崩しちゃる!」
「私の力、舐めないで下さる!」
他パーティの勢いもあって、ついにゴーレムのもう片足も崩れました!
私たちの魔法の連打で、核も少しひび割れかけています。
「今です!誰か!核にトドメを!」
私の声に、エンツォさんが動きました。くるりと向きを変えて、ぐっと踏み込み、突撃――……!
一瞬、全ての音が遠のいた気がした。
「正義は……いや、皆の力は、勝つ!!!」
ガツン、と重い音。虹色の輝きが散る。
そうして、ゴーレムの核は砕け、虹色の鉱石以外の土塊はサラサラと形をなくしていきました……
全員が、喜びに沸いた……!
私の魔法も、道を作れた——そう、思えました。
そして私たちは、砕け残ったゴーレムの核を手に、ギルドへ戻りました。
なんというか……大層珍しい魔法金属の一種だったそうで、ギルドは大騒ぎ。
私たちも、他のパーティも、きちんとギルドから報奨金が出ました。
そして……
「エンツォさん!あなた、レベルが上がっています!」
「な、何だって!」
その場にいた全員に胴上げされるエンツォさん。でも誰もとめません。
だって確かに、あの時ゴーレムを砕いたのは彼だったからです。
一歩ずつ、一歩ずつ……強くなれている、そんな気がしました。




