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こっそり探偵と正義の一日

「こんにちは、お婆さん!荷物重そうですね!持ちますよ!」


……珍しく街なかでエンツォさんを見つけてしまいました。

エンツォさんたら、普段どういう一日を過ごしているのか……

今日はネロさんも隣にいないみたいだし、気になります!

私、エルナは探偵気分でそっと後をつけました!


「お婆さん!ここで大丈夫だろうか?」

「ありがとねぇ……御駄賃をあげようね」


……子供扱いされてませんか?エンツォさん……


「いや、正義に見返りなどいらない!さらばだ!」


エンツォさんは颯爽と去っていきます。私はコソコソと追いかけました。



「お嬢さん!こんなところで何をしているんだ!?」

「………まいご………」

「そうか!御名前は?」

「カレン………」


エンツォさんは、カレンちゃんと手をつなぎながら、カレンちゃんのお母さん!!!と叫びながらゆっくり歩いていました……ほどなくカレンちゃんのお母さんが現れ、エンツォさんに向かって走ってきます。

……何度もお礼を言って去っていきました。大きく手を振るエンツォさん。

カレンちゃんも小さく手を振ります。



どうやらエンツォさんはおやつを食べることにしたようです……アイスクリーム……美味しそう。

私もあとで買おうかなぁ。

受け取って食べようとしたその時……!隣でアイスを落として泣いてる子供がいました。

慌ててエンツォさんは近づきます。


「きみ、大丈夫か!よかったらこの正義のアイスを食べるといい!」

「お兄さんのは?」

「また買うから大丈夫!今度は落とさないように気をつけるんだぞ!」


子供は笑顔になって駆けていけます。エンツォさんは少ししょんぼりしてアイスの屋台から去っていきました……

お金なかったんですね、エンツォさん……



そろりそろりとつけていくと、エンツォさんは教会にやってきていました……なぜ……?

何かを必死で祈っています。真剣過ぎて、神官だった私が驚くくらいです。

お祈りを終えるとエンツォさんは懺悔室へ入っていきました。

あんなに毎日正義とさけんでその通りに生きているエンツォさんにも悩みがあるんですね……



こっそり見ていたら、30分くらいでエンツォさんは出てきました……

なんとなく、スッキリした顔をしています。

その時、すれ違ったお姉さんから鞄を取り上げたひったくり犯が現れました!

偶然そこに居合わせたエンツォさんは、


「待て!正義の名のもとに……それは見逃せない!」


ひったくり犯を追いかけて……

しばらく後、ぼろぼろになりつつもお姉さんのカバンを取り返してきていました。

何かお礼を……というお姉さんに、


「正義は見返りを求めないものだ!」


と去っていくエンツォさん……こういうところは、カッコいいんですよね。



その後もエンツォさんは赤ちゃん連れのお母さんを助けたり、正義!と東広場で演説したりといろいろしていました。いつ休んでるのかしら……

そのうち日も暮れて、エンツォさんは宿へ帰っていきます。

私はエンツォさんの前に出ることにしました。


「エンツォさん。」

「エルナ!?びっくりしたな。」


エンツォさんはいつものさわやかな笑いで答えました。


「実は今日……エンツォさんの行動、こっそり見てました……ごめんなさい……」

「えっ!?恥ずかしいな……。正義に恥じない行いが出来ていただろうか?」

「もちろん!」


私は笑いました。

いつもから回ることの多いエンツォさんだけど、正義の気持ちは本物。

今日はそれを確認できただけでも価値があったとおもうのです。


「いつもありがとうございます、エンツォさん!」

「後衛を守るのは前衛の役目!礼を言われることなど何もない!むしろ、いつも回復ありがとう!エルナ!」


逆にお礼を言われてしまいました……

ちょっと悪いことをしたかな、と思いつつも。

正義、ってなんなのか、少しだけ、わかった気がしました。

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