食卓とささやかな騒動
「みんなー!ご飯できたよー!」
ミアさんのその宣言に、私たち3人はびくりと肩を揺らしました。
どうしてこうなってしまったのだろう……そんなことを思いながら………
その日は、また碌な依頼がありませんでした。
最近は多いなあ。ちゃんとした依頼が欲しい……
そう思いながら私、アルドは朝の薬草取りに出かけます。
すごく地味だし、手にはいるお金も少ないですが、この街のポーションの原料。
手を抜くわけにはいきません。
事件が起こったのは、昼前頃でした……
朝からどことなく具合の悪そうだったネロさんが、倒れてしまったのです!
医者を呼んで、ただの風邪だと知った時のエンツォさんのホッとした顔は忘れられません。
ですが、問題が、一つ………
部屋から戻ってきた時すでに、ミアさんがお昼ゴハンを作っていたのです!
「み、ミア!そういうのは俺がやるから!」
「やだなぁジオったら……前回戦闘であんまり活躍できなかったんだし、このくらい手伝うわよ!」
ネロさんも倒れちゃったしね!
そう言って、ミアさんはキッチンへ戻っていきました……
私たちは、絶望的な思いで、椅子に腰掛けました………
「みんなー!ご飯できたよー!」
ミアさんのその宣言に、私たち3人はびくりと肩を揺らしました。
どうしてこうなってしまったのだろう……そんなことを思いながら………
テーブルに置かれた鍋は一見普通です。時々、ボコリと泡が出てくる以外は………
「味見したけどやっぱり微妙になっちゃった。でも食べられないことはないから!」
ジオさんが必死で首を横に振ります。
食うな!食えば死ぬぞ!……ジェスチャーから嫌ってほど伝わってきます。
……そっか……ミアさんは味覚おかしい系だったのかー……
そのミアさんが微妙、ということは……
「わ、私、いたただき、ますね。」
エルナさん!優しさは美徳だが、あまりにも危険だ!
そして、エルナさんは鍋を一口啜り……
「あれ?意外と――」
私たちは拍子抜けしました。今回は割といけたのかな?
しかしエルナさんはそのまま椅子ごと倒れました。そんなに!?
「皆!少しネロも落ち着いて――」
部屋から出てきて状況を見たエンツォさんはそのままバタンと扉を閉めて鍵をかけました。
正義はどこいったんですか!?
「ミア!ミアの料理は全部俺が食うから!」
ジオさん……!
「ジオったら……みんなの昼ごはんまで食べようだなんて、駄目よ!」
ああ……わたしもエルナさんの二の舞になるんですね……そう、心を決めたその時!
鍋が、ブワッと音を立てて、膨らみました。
「ヨクモ……ワレラヲ……コノヨニ……」
なんか恨み言つぶやいてますけど!?
「もーう!まだ抵抗する気!?」
ミアさん、普通の料理は抵抗しません!!!
「アルド」
ジオさんが小声で話しかけてきました
「ミアには本当に悪いが、あの鍋、戦闘ついでに割るぞ!いいな?」
私はこくこくと頷きました。正直、こんなところで死にたくありません。
「まったくもーう!」
普段の盾のかわりに大きな中華鍋でのミアさんのシールドバッシュ!強い!
ですが鍋も負けてはいません!
「ナゼウミダシタ……」恨み言からの爆発煮汁!うわっ服についた!
「頼む!大人しくなれ!」
鍋ごと叩き割るような真上からのすりこぎの叩きつけ!ジオさん強い!
しかし煮汁は二手に分かれ、再び一つに戻ります……強い……!
「うおおおおみんなに食べさせるためにつくったんだからーー!!!」
あっ、ジオさんがすごく気まずそう!
でもこんな戦い考えたほうが負けです!
「水よ――」
清らかな水よ、命の水よ。
「わが力を持って――」
私の力を、どうか使って。
「目の前の敵を――」
敵を、皆の命を奪うものを。
「氷となって砕かん!!!」
鍋ごと砕けええええ!!!
目論見通り!鍋はバキバキに凍りつき……ピシピシと割れて、散らばりました。
「あーっ!もったいないよー!」
勿体ないのはこの鍋に使われた材料です。
「ミア……こうなっちまったもんは仕方ねぇよ。休んでな。片付けと料理は俺がやるから……」
ジオさんはいい感じにまとめようとしています。
そしてエルナさんは………
「忘れてた!大丈夫ですか!?エルナさん!?エルナさーん!!」
「えっ!?ネロに続いてエルナちゃんまで風邪!?」
私たちは慌てて再びお医者さんを呼びました……
そうして、エルナさんは病院に運ばれ、ジオさんはネロさんのおかゆを作り、私たちはピザを頼みました。
エンツォさん?知りません。
放って置く事にしました。
逃げ出した正義など正義ではない……いいですね?
本人はネロを守っていた!とか言ってますが知りません。知りません。
そんなことよりピザって素晴らしいですね!
私とジオさんはしみじみ、そう思いました……
しかし私たちは気が付かなかった。
背後にタバスコを持ったミアさんがいたことに……




