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ランダムきのこと迷惑な恋

ある朝目が覚めると、アルドさんがエンツォさんにベッタリとくっついていました。

ネロさんがエンツォさんの逆隣で青筋を立てています。

これ……私、どうしたらいいんでしょう……?



「アルドが!あのアルドがエンツォにべた惚れ!!!」


ひーひー笑っているジオさんとミアさん。

両脇からがっしりと腕を組まれているエンツォさん。


「エンツォさん……私、気がついたんです。貴方は素晴らしい人だ、是非私とーー」

「………アルド………」


ネロさんの地を這うような声に、エンツォさんは青くなりながら、


「正義は……どこに……」


と震えています。

一体何があったのか。必死で昨日のことを思い出します。



昨日はーーーたしか、依頼で近くの山にキノコを取りに行ったのです。

選別はこっちでやるから、取れるキノコ全部取ってきてくれ、とのことでしたが、

本当に大丈夫なのでしょうか……

いかにも毒なキノコ、美味しそうなキノコ、綺麗なキノコ、なんか光ってるキノコ……?

私はきくらげを木からはがしながらいろんなキノコで埋まっている籠を見ました。その時!


「ランダムきのこじゃないですか!」


アルドさんが叫びました。


「1日ほどランダムな効果が現れる大変珍しいキノコですよ!」


是非研究したい……アルドさんはそう言って、何本か生えていたランダムきのこのうち1本をすっと懐にしまってしまいました。


「えっ……!アルドさん……そのきのこ、大丈夫なんですか?」

「毒はありませんし、効果は1日で切れます。前から研究してみたかったんですよね……」


ウッキウキで笑っていました。

いえ、知らない人から見たら何かを企んで怪しく笑む人に見えるのでしょうが……

もしかして……もしかすると……


「アルドさん……ランダムきのこ、食べちゃったんですか!?」


アルドさんは完全にベッタリとエンツォさんにくっつきながら、


「そう言えばそんなこともあったような……」


と呟きました。ですがすぐに、


「ですが、エンツォさん…、私は今、あなたと居たい……」


迷惑ですか?

そう聞くアルドさんに間髪入れず「迷惑!」と返すエンツォさん。

アルドさんは何も気にせずうっとりとエンツォさんを見つめていました……

どうしよう、この状況。

いつもは冷静なネロさんはエンツォさんの逆隣で威嚇する猫みたいにシャーシャーしていますし……


「私だけを見て欲しいんです……」


アルドさんのセリフに、


「いや、その、俺には……」


と戸惑うエンツォさん。

そして、ついにネロさんがキレました。


「離れないなら……その腕、どうなってもいいんだな……?」

「その非力さで戦おうとは笑止千万!私も魔術師ですからいい勝負になりそうです!」


何を競い合ってるんですか!

ジオさんとミアさんはもう笑いすぎて死にかけていますし、

宿の人たちはなんだなんだと遠巻きに見ています。

……恥ずかしい……


「エンツォさん!あなたのためなら命も惜しくありません!」

「エンツォが嫌がっている……!」

「アルドは選ばないって言ってるのに!落ち着け!正義はこんな所で命の取り合いなどしない!!!」

「か、完全に……三角関係……」


ミアさんがひーひー笑っています。

少しは止めましょうよ……

いえ、ドン引きして止めていない私が言うのもなんなんですが。


「まーまー、そこら辺でやめとけって。」


ジオさんが無理やり間に入って止めてくれました。ひとまず安心……


「そもそもなんでアルドはこうなってるんだよ?」


私は昨日のキノコのことをジオさんとミアさんに説明しました……



「とりあえず……水飲ませてみるか?」

「下剤盛ろうよ下剤!」

「正直……気は進みませんが、解毒剤あたりにしておきませんか……?」


アルドさんとエンツォさんとネロさんは、結局最初のようにエンツォさんを挟んで腕を絡めていました。

とりあえず……私たちは即効性の解毒剤を盛ることに決定しました。

アルドさん……申し訳ありません……


「さーとりあえず、ジュースでも飲もうよ、ね?」


ミアさんが自然に解毒剤を盛ったジュースをアルドさんの前に置きます。


「そうですね……争いで少し喉が渇きました。いただきますね。」


やった!ジュースを飲んだ!

1秒、2秒……30秒……。何も起こらない?

しかし、ふとアルドさんは不思議そうな顔をして、エンツォさんから手を離しました。


「……あれ……?もう、夕方ですか……?おかしいな、朝だったはず……」


不思議そうな顔をして周りを見回すアルドさん。

やった、効いた!私達は3人手を取り合って喜びました。

エンツォさんはほっと胸をなで下ろし、まだくっついたままのネロさんをなだめています。


「…………?」


一人わかってないアルドさんに、鋭く声が飛びました。


「…………あとで話がある。」


………今日も私たちは平和です。

……アルドさんとネロさんを除いて……

2人がどうなったかは、全力で目をそらして行こうと思います。

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